子供はかまってくれないし,わかってくれないので,映画と音楽と本とサッカーに慰めを。
子供はかまってくれない
2010年TVドラマ春シーズンレビューNO.3:「素直になれなくて」
人気脚本家北川悦吏子が4年振りに取り組んだ連続TVドラマは,瑛太,上野樹里,ジェジュン,玉山鉄二という,人気・話題両面で今が旬,という役者を揃えた青春群像ドラマだ。主な登場人物が皆,深刻な悩みや暗い過去を抱えていること,更に(関めぐみも含めた)5人が関わり合うことによって知らずにお互いを傷付け合ってしまう,という展開から,同じ主演(上野樹里と瑛太)ということもあるが,浅野妙子の「ラスト・フレンズ」を想起する人も多いはずだ。
今回扱われている「問題」は,不倫,妊娠,外国籍,同性愛にパワハラと盛り沢山だが,ひょっとするとメインプロットが異母兄妹の恋愛になっていくのか?という予兆もある。確かに今どき「清く明るいホームドラマ」に現実を打つ力があるのかと問われても,返す言葉はないのだが,だからといって「悩み深きリアルな現代人」もここまで来ると,じゃあ「私の方がまだまし」と思って貰うためにドラマを作るのか,という感じもしてくるほど,救いがない設定だ。
そんな設定を別にして第4回までを観た印象は(群像劇にありがちな傾向だが)筋らしいものが見当たらないにも拘わらず,とにかく「せわしない」の一語に尽きる。5人の登場人物だけでは飽きたらず,(ほぼ全員の)家族まで登場させ,その家族との絡みも描こうという壮大な(?)試みは,残念ながら今のところは物語の焦点をぼかす方向にしか作用していないようだ。
役者陣を見ると,自らの騒動に負けずに懸命に日本語をこなしているジェジュン,華はないけれど「柄」を活かしている関めぐみ,そしてゲイであることを自覚して戸惑う玉山鉄二の3人は,それぞれ役を掴まえてしっかりとした演技を見せていると思う。
ただ「のだめ」以降3度目の共演となる肝心の主役二人の絡みは,明らかに新鮮味に欠ける。しかし,これは当の二人の演技の問題というよりも,キャスティング,もっと言えば企画段階の問題だろう。「ツイッター」を前面に出した新手のドラマと思わせることで目先を変えようとしたのだろうが,実際のところ「ツイッター」は小道具の域を脱しておらず,既視感のみが番組を覆ってしまった結果が,二桁を割り込みそうな視聴率にはっきりと表れてしまっている。
更に言えば,初回に見せたタトゥーによって,瑛太が属する宗教団体か麻薬シンジケートの一員か,とも思わせた井川遥扮する人妻は,どうにも設定とキャラクターが乖離しているし,瑛太の父親役で,元カメラマンらしい吉川晃司が風吹ジュンの昔の恋人というあり得ない設定も完全に浮いている。
5人が顔を合わせる渋谷の飲み屋も,一体ここは昭和何年だ?と考えさせるような安手の美術で驚かされた。
思う存分「役得」を堪能しているように見える渡辺えりが,瑛太もジェジュンも,ついでに吉川晃司をも食ってしまうという「パワハラ肉食おばさん」として主役に躍り出る,というあっと驚く展開(それでもホラーのマニアしか見ないだろうが…)になれば話題にはなるかもしれないが,脚本,役者,プロダクション,全てが後手を踏んだ立ち上がりを挽回するためには,初回の冒頭で見せてしまった悲劇のクライマックス(多分)をひっくり返すくらいのサプライズが必要だ。
今回扱われている「問題」は,不倫,妊娠,外国籍,同性愛にパワハラと盛り沢山だが,ひょっとするとメインプロットが異母兄妹の恋愛になっていくのか?という予兆もある。確かに今どき「清く明るいホームドラマ」に現実を打つ力があるのかと問われても,返す言葉はないのだが,だからといって「悩み深きリアルな現代人」もここまで来ると,じゃあ「私の方がまだまし」と思って貰うためにドラマを作るのか,という感じもしてくるほど,救いがない設定だ。
そんな設定を別にして第4回までを観た印象は(群像劇にありがちな傾向だが)筋らしいものが見当たらないにも拘わらず,とにかく「せわしない」の一語に尽きる。5人の登場人物だけでは飽きたらず,(ほぼ全員の)家族まで登場させ,その家族との絡みも描こうという壮大な(?)試みは,残念ながら今のところは物語の焦点をぼかす方向にしか作用していないようだ。
役者陣を見ると,自らの騒動に負けずに懸命に日本語をこなしているジェジュン,華はないけれど「柄」を活かしている関めぐみ,そしてゲイであることを自覚して戸惑う玉山鉄二の3人は,それぞれ役を掴まえてしっかりとした演技を見せていると思う。
ただ「のだめ」以降3度目の共演となる肝心の主役二人の絡みは,明らかに新鮮味に欠ける。しかし,これは当の二人の演技の問題というよりも,キャスティング,もっと言えば企画段階の問題だろう。「ツイッター」を前面に出した新手のドラマと思わせることで目先を変えようとしたのだろうが,実際のところ「ツイッター」は小道具の域を脱しておらず,既視感のみが番組を覆ってしまった結果が,二桁を割り込みそうな視聴率にはっきりと表れてしまっている。
更に言えば,初回に見せたタトゥーによって,瑛太が属する宗教団体か麻薬シンジケートの一員か,とも思わせた井川遥扮する人妻は,どうにも設定とキャラクターが乖離しているし,瑛太の父親役で,元カメラマンらしい吉川晃司が風吹ジュンの昔の恋人というあり得ない設定も完全に浮いている。
5人が顔を合わせる渋谷の飲み屋も,一体ここは昭和何年だ?と考えさせるような安手の美術で驚かされた。
思う存分「役得」を堪能しているように見える渡辺えりが,瑛太もジェジュンも,ついでに吉川晃司をも食ってしまうという「パワハラ肉食おばさん」として主役に躍り出る,というあっと驚く展開(それでもホラーのマニアしか見ないだろうが…)になれば話題にはなるかもしれないが,脚本,役者,プロダクション,全てが後手を踏んだ立ち上がりを挽回するためには,初回の冒頭で見せてしまった悲劇のクライマックス(多分)をひっくり返すくらいのサプライズが必要だ。
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