確実に視聴率が稼げる職業ものドラマと言えば,法廷(弁護士)ものと医療ものにとどめを刺すが,珍しく今季は法廷ものがお休み。その代わりに,医療ものはしっかりと2本がラインナップされており,主人公とその父親が医者で,終末医療のあり方もテーマの一つとなっている「風のガーデン」も含めれば,2本半という相変わらずのモテ振りだ。
これらのうち,小西真奈美主演の「小児救命」は,サラリーキャップならぬ,視聴可能本数キャップ(私が1シーズンに観られるドラマ本数の限度:今季は5本)の関係からパスして,「チーム・バチスタの栄光」の方をフォローしている。
ベストセラーとなった原作は既に中村義洋監督によって映画化されており,今回連続TVドラマになったことによって,もう後は連続ラジオドラマ化か,連続紙芝居化しか残っていないと思われるが,どちらにしても凄い人気だ。
その映画の方は,主人公の田口公平役を女性に変えたアレンジが功を奏し,竹内結子のちょっと天然系の持ち味をうまく生かした佳品に仕上がっていた。特に厚労省から派遣されてきた調査官の白鳥役を演じた阿部寛が,エリートでありながら職人的な行動力で事件に挑む変人という役柄にうまくはまっていた。
このコンビがTVでは伊藤淳史と仲村トオルに替わったことによって,ユーモアが減り生真面目な部分が強く出た結果,総体としてややパワーダウンしたという印象は免れないが,典型的な凸凹コンビとしてそれなりの味は出して健闘しているように見える。
それよりも気になるのは,どうにも話の展開がまったりしていて,連続ドラマに不可欠な「次は一体どうなる?」という緊迫感に乏しいことの方だ。
いくら桐生(伊原剛志)がバチスタ手術において日本有数の名手とはいえ,連続殺人が起こっていることがかなりの程度で明らかならば,白鳥が主張するように新しい患者の手術を止めることが先決な訳で,そうなるとTVドラマに必要な「新たな展開」が生じなくなってしまう。2時間の映画ではさして気にならなかったそんな矛盾に躓いてしまうのも,3ヶ月に亘って物語を紡いでいく連ドラならではの宿命なのだが,果たしてスピード感と展開を獲得することは出来るのか,犯人よりこちらの方が気になるというのは,如何なものか。
WOWOWのドラマ「パンドラ」で名を上げた井上由美子が手掛けたのは,複数世代の女性の秘密をサスペンスでまとめ上げた「SCANDAL」。大石静の「四つの嘘」に続く「デスパレートな妻たち」テイストのドラマだが,こちらはかなりレヴェルが高い。
特に,最年長の桃井かおりの好き勝手アドリブ演技(としか見えない)が,他の3人をぐいぐい引っ張って,物語にドライブ感を与えており,徐々に彼らの過去の秘密が露わになっていく展開と相俟って見応えがある。
脚本上の設定もあるが,彼女たちに対する男性陣に今ひとつ覇気がないのが残念だし,笑えない美容師役を演じる桜塚やっくんの役者としての将来性もよく分からないが,週末を締め括るにはやや密度の濃い1時間も悪くない。どんな結末を迎えるのか楽しみなドラマというのも久しぶりだが,それにしても井上由美子,来てるようだ。
これらのうち,小西真奈美主演の「小児救命」は,サラリーキャップならぬ,視聴可能本数キャップ(私が1シーズンに観られるドラマ本数の限度:今季は5本)の関係からパスして,「チーム・バチスタの栄光」の方をフォローしている。
ベストセラーとなった原作は既に中村義洋監督によって映画化されており,今回連続TVドラマになったことによって,もう後は連続ラジオドラマ化か,連続紙芝居化しか残っていないと思われるが,どちらにしても凄い人気だ。
その映画の方は,主人公の田口公平役を女性に変えたアレンジが功を奏し,竹内結子のちょっと天然系の持ち味をうまく生かした佳品に仕上がっていた。特に厚労省から派遣されてきた調査官の白鳥役を演じた阿部寛が,エリートでありながら職人的な行動力で事件に挑む変人という役柄にうまくはまっていた。
このコンビがTVでは伊藤淳史と仲村トオルに替わったことによって,ユーモアが減り生真面目な部分が強く出た結果,総体としてややパワーダウンしたという印象は免れないが,典型的な凸凹コンビとしてそれなりの味は出して健闘しているように見える。
それよりも気になるのは,どうにも話の展開がまったりしていて,連続ドラマに不可欠な「次は一体どうなる?」という緊迫感に乏しいことの方だ。
いくら桐生(伊原剛志)がバチスタ手術において日本有数の名手とはいえ,連続殺人が起こっていることがかなりの程度で明らかならば,白鳥が主張するように新しい患者の手術を止めることが先決な訳で,そうなるとTVドラマに必要な「新たな展開」が生じなくなってしまう。2時間の映画ではさして気にならなかったそんな矛盾に躓いてしまうのも,3ヶ月に亘って物語を紡いでいく連ドラならではの宿命なのだが,果たしてスピード感と展開を獲得することは出来るのか,犯人よりこちらの方が気になるというのは,如何なものか。
WOWOWのドラマ「パンドラ」で名を上げた井上由美子が手掛けたのは,複数世代の女性の秘密をサスペンスでまとめ上げた「SCANDAL」。大石静の「四つの嘘」に続く「デスパレートな妻たち」テイストのドラマだが,こちらはかなりレヴェルが高い。
特に,最年長の桃井かおりの好き勝手アドリブ演技(としか見えない)が,他の3人をぐいぐい引っ張って,物語にドライブ感を与えており,徐々に彼らの過去の秘密が露わになっていく展開と相俟って見応えがある。
脚本上の設定もあるが,彼女たちに対する男性陣に今ひとつ覇気がないのが残念だし,笑えない美容師役を演じる桜塚やっくんの役者としての将来性もよく分からないが,週末を締め括るにはやや密度の濃い1時間も悪くない。どんな結末を迎えるのか楽しみなドラマというのも久しぶりだが,それにしても井上由美子,来てるようだ。