子供はかまってくれない

子供はかまってくれないし,わかってくれないので,映画と音楽と本とサッカーに慰めを。

2008シーズンを終えたJリーグについて思うことNO.2:入場料金

2008年12月08日 22時07分42秒 | サッカーあれこれ
(写真はJリーグ第34節札幌VS鹿島戦)

SS指定席4,500円。
コンサドーレ札幌が今シーズン札幌ドームで行ったホームゲームの入場料金だ。
止まるところを知らない経済不況,娯楽の多極分散化が続く中,リーグ戦の集客力を高めていくことは並大抵のことではない。
特にホームゲームに何度も駆け付けてくれるコアなサポーターをどれだけ掴まえておけるかということが最大の課題であることは間違いない。その方策をあれこれ考える時に,どうしても避けて通れない問題がこの「入場料金」ではないだろうか。

シーズン・チケットを入手する権利を獲得できるまでに,何年も待たなければならないリーガ・エスパニョーラの人気チームのソシオ(資金サポーター)の場合,チケットは借金をしてでも手に入れるものであり,それを保有していることが地域社会におけるステイタスになっている,という話を聞いたことがある。プレミアリーグの場合も,年々高騰するチケット代が古くからのサポーターの間で問題になっているケースもあるらしいが,人気チームのシーズン・チケットはやはり今でも希望者が全員購入できるとは限らないと言われる。

翻ってJリーグの場合,熱烈なサポーターの殆どはメイン・スタンドから観て左側のゴール裏に陣取る。今年の札幌の場合,この「B自由席」の単券が会場によって若干の差があるがほぼ2,000円前後で,これがシーズン・チケットだとナビスコ杯も入れた18試合でファンクラブ会員価格が27,000円だった。これだと1試合当たりの価格が1,500円で,映画料金の各種の割引価格とほぼ同等にまで下がる。

残念ながら基本給の下方修正の断行から回復していない給与生活者である私の感覚からすると,この「1試合1,500円を年間18回≒月当たり1.5回」というところが,普通のサラリーマンのお小遣いで,職場の付き合いも適当にこなしながら,いくつかある趣味の一つとしてつぎ込める額のほぼ上限値なのではないか,という気がする。
勿論,サッカー観戦よりも上位に他の趣味が鎮座している人の場合は,その位の金額でも結構厳しい状況になっているであろうことは容易に想像がつく。
それでも自分の住んでいる町にチームがある以上,それが出来るだけ長く続いて欲しいと願うのは,サッカーファンとしては当たり前の願望であり,成績やパフォーマンスへの期待とは別の次元で,一種のお布施というような気持ちでチケットを購入しているファンも少なくないはずだ。

そんな状況下で冒頭に記したSS指定席の値段が,果たして合理的な理屈のつく設定になっているかどうかは,充分に精査が必要だろう。
私が通う札幌ドームでは,ゴール裏のB自由とバックスタンド側のS自由がほぼ満席になっても,メイン側のSS,S指定が3~4割を上回ることは滅多にないように見える。
優勝がかかった鹿島戦の入場者数は2万6千人だったが,さすがにこの時は高額席も「入っているなぁ」と感じられる入りだった。応援合戦も含めて,明らかに普段と違うスタジアムの空気は,サッカーの試合を見に来た,という実感を与えてくれるものになっていた。アウェイとホームを分離するために設けられたスペースを考慮すると,ほぼ8割近くを埋められれば高額席も含めて「大入り」になる勘定だが,こんな試合は例外と考えなくてはならない。

「良いパフォーマンスを見せる」という当たり前の目標はひとまず置いておき,まず考えなくてはならないことは,入場料金が一般的な娯楽の値段と比較してどうか,そして安い席に比べて高くてもそれだけの付加価値があるかどうか,という2点だろう。
そのための方策をこの小枠で語りきることは難しいが,取り敢えず前者についてはシーズン・チケットの大幅値引きを,後者についてはマッチデイ・プログラム(札幌戦は無料のものが配られるが,他のチームは多くが有料(大体300円前後)である代わりに,写真や関連情報が豊富)の差別化を,提案しておきたい。

ただ勝利を求めて来場するサポーターを繋ぎ止める一番の方策が,「勝利」という明確なパフォーマンスであることは間違いない。今季の札幌戦を観戦したサポーターでその感激を味わえた人の確率11.8%(リーグ戦34戦で勝てたのは4回)を,少しでも上げることを喫緊の課題としつつ,不況に苦しむ北海道において,逆境を跳ね返す象徴となるであろう満員のメインスタンドを実現するための策略をこそ練り上げてもらいたい。


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