(写真は第34節札幌VS鹿島戦)
J2の徳島と岐阜が各15人。J1の札幌が10人で,発表時点ではまだ降格ラインにいた東京Vが11人。
鹿島の連覇で幕を閉じた2008年のJリーグだが,来年度の契約予定通知期限として設定された先週末,一斉に各チームの契約満了選手が発表になった。その結果がこれだ。
どのチームもかつてない大量解雇の理由に「若返り」と「人件費の削減」を挙げている。プロ野球と異なり,年間の試合数が少なく,放送権料も低いJリーグにおいては,一般に試合の質に直結する運動量の面で不利と言われる面も含め,年俸に占める実績給の割合が高いヴェテラン選手を切ることが,財務体質の健全化に繋がる側面を一概に否定できない部分はある。
そういった方向を選択し,経験は少なくとも若くて安くて運動量が多い選手で構成されたチームが,優秀な参謀の指揮の下,総年俸が数倍のチームを凌駕するような闘いを見せてくれた例は,イビチャ・オシム監督に率いられナビスコ杯を獲った頃の千葉や,2~3年前の甲府など,Jリーグでも枚挙にいとまがない。そんな過去の実例も,そういった判断に拍車をかけているという一面もあるだろう。
経営的に苦しい立場にいるチームが,戦術・戦法やレベルのみならず,チームの雰囲気そのものを変えてしまうリスクを承知で,敢えて選手の大量入れ替えを敢行する背景には,そんなことを始めとしたいくつかの要素が絡んでいるため,一方的に球団の判断を批判することが危険なことは承知の上で,敢えて言いたい。やはり限度はあるのではないだろうか,ということを。
この国にサッカーを文化として根付かせる。
Jリーグが創設され,W杯という祭典が,競合局との叩き合いを経ずしてテレビ東京がひっそりと深夜枠で放送するものではなくなった時点から,至る所で繰り返し言われてきたお題目だ。
しかしプロ野球の選手に比べて選手寿命が短く,大半の選手の年俸は桁が一つ少ないという環境で頑張っているJ選手が,単純に「年俸が高い」という理由,しかもより若い選手に比べると相対的に高め,という程度の理由で,こうも簡単に契約を切られることが慣行となってしまえば,サッカー選手を目指す子供たちがいなくなってしまうという事態を招くことは間違いない。
今のところ今回の大量解雇騒動について,発表時期の問題を別にすれば,犬飼日本サッカー協会会長が憤慨しているベストメンバー問題のようには問題視している論評を見かけない。球団経営の厳しい状況に配慮した雰囲気が支配的,ということが大きいのかもしれない。
しかし収支の改善を図るための最大限の努力を行わずして,選手を単なる手駒として扱い,人件費の削減のみによって何とかチームの存続を図ろうとする経営手法が,日本サッカー協会が掲げる目標と齟齬なく繋がっていくのかどうか,注意深く見守っていく必要はあるはずだ。
J2の徳島と岐阜が各15人。J1の札幌が10人で,発表時点ではまだ降格ラインにいた東京Vが11人。
鹿島の連覇で幕を閉じた2008年のJリーグだが,来年度の契約予定通知期限として設定された先週末,一斉に各チームの契約満了選手が発表になった。その結果がこれだ。
どのチームもかつてない大量解雇の理由に「若返り」と「人件費の削減」を挙げている。プロ野球と異なり,年間の試合数が少なく,放送権料も低いJリーグにおいては,一般に試合の質に直結する運動量の面で不利と言われる面も含め,年俸に占める実績給の割合が高いヴェテラン選手を切ることが,財務体質の健全化に繋がる側面を一概に否定できない部分はある。
そういった方向を選択し,経験は少なくとも若くて安くて運動量が多い選手で構成されたチームが,優秀な参謀の指揮の下,総年俸が数倍のチームを凌駕するような闘いを見せてくれた例は,イビチャ・オシム監督に率いられナビスコ杯を獲った頃の千葉や,2~3年前の甲府など,Jリーグでも枚挙にいとまがない。そんな過去の実例も,そういった判断に拍車をかけているという一面もあるだろう。
経営的に苦しい立場にいるチームが,戦術・戦法やレベルのみならず,チームの雰囲気そのものを変えてしまうリスクを承知で,敢えて選手の大量入れ替えを敢行する背景には,そんなことを始めとしたいくつかの要素が絡んでいるため,一方的に球団の判断を批判することが危険なことは承知の上で,敢えて言いたい。やはり限度はあるのではないだろうか,ということを。
この国にサッカーを文化として根付かせる。
Jリーグが創設され,W杯という祭典が,競合局との叩き合いを経ずしてテレビ東京がひっそりと深夜枠で放送するものではなくなった時点から,至る所で繰り返し言われてきたお題目だ。
しかしプロ野球の選手に比べて選手寿命が短く,大半の選手の年俸は桁が一つ少ないという環境で頑張っているJ選手が,単純に「年俸が高い」という理由,しかもより若い選手に比べると相対的に高め,という程度の理由で,こうも簡単に契約を切られることが慣行となってしまえば,サッカー選手を目指す子供たちがいなくなってしまうという事態を招くことは間違いない。
今のところ今回の大量解雇騒動について,発表時期の問題を別にすれば,犬飼日本サッカー協会会長が憤慨しているベストメンバー問題のようには問題視している論評を見かけない。球団経営の厳しい状況に配慮した雰囲気が支配的,ということが大きいのかもしれない。
しかし収支の改善を図るための最大限の努力を行わずして,選手を単なる手駒として扱い,人件費の削減のみによって何とかチームの存続を図ろうとする経営手法が,日本サッカー協会が掲げる目標と齟齬なく繋がっていくのかどうか,注意深く見守っていく必要はあるはずだ。