子供はかまってくれないし,わかってくれないので,映画と音楽と本とサッカーに慰めを。
子供はかまってくれない
2012年TVドラマ冬シーズン・レビューNO.5:「最後から二番目の恋」
久しぶりの連ドラ主役となる中井貴一と,映画で新たな中年アイドルの形態を模索中の小泉今日子ががっぷり組んだことで話題になっているフジの木10枠。
アラフォー,アラフィフ世代をターゲットにして,金妻的恋愛ドラマと橋田壽賀子的なホームドラマの中間あたりを狙って岡田惠和が放り込んできたドラマだが,これまでのところ,向井理の「ハングリー!」に1ポイント負け,山Pの「最高の人生の終わり方」に0.4ポイント勝ちと,若手人気俳優が主役を張るドラマと遜色ない数字を叩き出しているのは健闘と呼べる成績だと思う。
「いい人」故に家庭でも職場でも今ひとつ存在感の薄い50男をドラマの主役に据える,という一種のチャレンジを成功に導いたのは,妻に先立たれ,一人娘にも冷たくあしらわれる鎌倉市役所観光担当課の課長という,どこから見てもおよそドラマとは縁遠い地味なキャラクターを,微苦笑まじりの自然体で作り上げた中井貴一の演技によるところが大きい。小泉今日子も決して悪くはないのだが,いかにも「業界古株で独身ですけどそれが何か?」的なにおいを発散させてしまうのが,時に鼻についてしまうことと比べると,余計に中井の余裕に満ちた爽やかさが際立つ。
役柄上の対比から,小泉の設定をかなりデフォルメしているのは明らかなのだが,それでももう少し普通にやらせた方が二人のノリ突っ込みトークが生きると思うのだが,どうだろうか。
更に気になるのは,中井と小泉がぶつかり合いながらも次第に惹かれ合っていく,というオーソドックスな恋愛劇がベースになって話が進んでいく筈なのに,本来は物語の背景に留まっているはずの,中井を含む4人兄妹の話がやたらと前面に出てきてしまうことだ。
中井のすぐ下の妹(飯島直子)は夫との不仲から家出して中井家に居候中。双子の弟(坂口憲二)は何やら重篤な病を抱えているらしいのだが,喫茶店を切り盛りしながら周囲の女性に見境なく尽くし,妹(内田有紀)は引きこもり気味のエキセントリックな不思議ちゃんながらも横から小泉にちょっかいを出す。これに中井の一人娘や,母娘とのW見合い,更にはTVドラマのプロデューサーである小泉と担当脚本家である益若つばさとの絡みや,同年代の独身女二人との傷の舐め合いなどが重なって,結果的にすべてのエピソードが薄口・軽口に留まってしまっているのは,物語の引き出しを広げ過ぎてしまった制作陣の見込み違いだったと言える。
それでも同年代の視聴者にとっては,矛盾しているようだが「地に足の着いた空想恋愛物語」として楽しめる内容になっていることは,十分に評価したい。
ただ,何処にでもいそうでいない,ありそうであり得ない,手が届きそうで届かない,そんな人物やエピソードを楽しんだ視聴者が,クレジットでいきなり流れ出す浜崎あゆみの「ド演歌」声を望んでいたかどうかは定かではない。
アラフォー,アラフィフ世代をターゲットにして,金妻的恋愛ドラマと橋田壽賀子的なホームドラマの中間あたりを狙って岡田惠和が放り込んできたドラマだが,これまでのところ,向井理の「ハングリー!」に1ポイント負け,山Pの「最高の人生の終わり方」に0.4ポイント勝ちと,若手人気俳優が主役を張るドラマと遜色ない数字を叩き出しているのは健闘と呼べる成績だと思う。
「いい人」故に家庭でも職場でも今ひとつ存在感の薄い50男をドラマの主役に据える,という一種のチャレンジを成功に導いたのは,妻に先立たれ,一人娘にも冷たくあしらわれる鎌倉市役所観光担当課の課長という,どこから見てもおよそドラマとは縁遠い地味なキャラクターを,微苦笑まじりの自然体で作り上げた中井貴一の演技によるところが大きい。小泉今日子も決して悪くはないのだが,いかにも「業界古株で独身ですけどそれが何か?」的なにおいを発散させてしまうのが,時に鼻についてしまうことと比べると,余計に中井の余裕に満ちた爽やかさが際立つ。
役柄上の対比から,小泉の設定をかなりデフォルメしているのは明らかなのだが,それでももう少し普通にやらせた方が二人のノリ突っ込みトークが生きると思うのだが,どうだろうか。
更に気になるのは,中井と小泉がぶつかり合いながらも次第に惹かれ合っていく,というオーソドックスな恋愛劇がベースになって話が進んでいく筈なのに,本来は物語の背景に留まっているはずの,中井を含む4人兄妹の話がやたらと前面に出てきてしまうことだ。
中井のすぐ下の妹(飯島直子)は夫との不仲から家出して中井家に居候中。双子の弟(坂口憲二)は何やら重篤な病を抱えているらしいのだが,喫茶店を切り盛りしながら周囲の女性に見境なく尽くし,妹(内田有紀)は引きこもり気味のエキセントリックな不思議ちゃんながらも横から小泉にちょっかいを出す。これに中井の一人娘や,母娘とのW見合い,更にはTVドラマのプロデューサーである小泉と担当脚本家である益若つばさとの絡みや,同年代の独身女二人との傷の舐め合いなどが重なって,結果的にすべてのエピソードが薄口・軽口に留まってしまっているのは,物語の引き出しを広げ過ぎてしまった制作陣の見込み違いだったと言える。
それでも同年代の視聴者にとっては,矛盾しているようだが「地に足の着いた空想恋愛物語」として楽しめる内容になっていることは,十分に評価したい。
ただ,何処にでもいそうでいない,ありそうであり得ない,手が届きそうで届かない,そんな人物やエピソードを楽しんだ視聴者が,クレジットでいきなり流れ出す浜崎あゆみの「ド演歌」声を望んでいたかどうかは定かではない。
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