『古舘伊知郎トーキングブルース「言葉2022」』
現在、配信でご覧頂くことができます。
(12月11日23時59分まで)
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<その2>
2回目の打ち合わせは2022年1月21日。
実はその前に、制作スタッフだけの打ち合わせがありました。
そこで2014年の一夜限りの復活以降もテーマを設けて来なかったが、今後はテーマを設けた方がいいのではないかという話が出たのです。
20年ぶりに「言葉」をテーマにという話もこの時に出ました。
この提案は古舘さんにも受け入れてもらえ、1月21日の打ち合わせは「言葉」というテーマで何ができるかを話し合うところから始まりました。
この時の僕のメモには、すでにソシュールの名前が出てきています。ただし、まだネタにするかどうか検討する段階ではなく、古舘さんがここ数年で学んだ「言葉」に関する知見を説明してくれる、その流れで出てきたに過ぎませんでした。
小ネタでいうと「若隆景」の名前はこの時すでに出ています。
本格的に打ち合わせが始まったのは3月に入ってから。
3月の時点で、
・ある人物をその側面だけで描いて観客に想像させる。
・口調と言葉遣いが気になる人たちの鼎談。
・いかにして言葉は生まれたか?
といった本編にも活かされたネタが出てきました。
といっても「鼎談」に登場する3人は本編とは一部異なり、
どんなかたちで見せるのかもまったくの白紙状態。
最終的に一番作るのに時間がかかったのは、あの「鼎談」でした。
後にエンディングとなる「いかにして言葉は生まれたか?」もまだチョムスキーを詳しく知る前の段階でした。
「覚えるのが難しい言葉を暗記する」というネタが出たのもこの頃。何を暗記するかで「ライトノベルのタイトル」といったアイデアも出て、古舘さんが実際に書店まで取材に行きましたがしっくりいかず、ピカソのフルネームに落ち着きました。
4月5月6月も月1回のペースで打ち合わせは続きました。
そんな中、6月上旬に東京大学の酒井邦嘉先生のもとを訪ねました。この取材のおかげで、いつもはもっとも苦労するエンディングの構想が早い段階で見えてきました。
ちなみに僕は取材の様子を録音したデータで聞いたのですが、凄かったですよ、酒井先生。古舘さんの縦横無尽な質問の数々に対し的確に答えてくれる。というか古舘さん、大好きな言葉の話だったので、明らかに途中で自分が取材に来たことを忘れていましたね、あれは。
6月終わりの時点で、かなり具材が出揃ってきたので、一旦ここまでのネタを整理してみました。そこで初めて気になることが見えてきたのです。
続きは次回。