イネ科の草は「まあ、きれい」と言ってもらえるのはおそらくススキやオギぐらいで、それ以外は一般的な人々にはほとんど無視されていると思うが、私から見るとイネ科の草はほかの科の草とは違った魅力がある。
ナギナタガヤも見るたびに写真を撮りたくなる草の一つ。さらさらと細かい線が流れるように続き、それがうねると銀色に輝く。草丈が同じぐらいでそろうので、その均一性がもたらす集団としての美しさが、それはもう、きれいにそろったそうめんのようで、心地よいのである。
田んぼの横のあぜ道なんかでよく見かける。舗装してないところで、わだちの間やその横なんかにずーっと続いていることがある。単独で生えていることはなくて、必ず群落になっており、その群落の中にはほかの草がほとんど見えない。「ナギナタガヤばっか」なので、その群落のかたまりそのものが、ナギナタガヤであると感じる。それでも地下茎などはなくて1、2年草らしい。地中海方面から来た外来種で、海岸や河原にある、ということが山渓ハンディ図鑑に書いてあるので、乾燥に強い植物だと見える。
この写真のものはちょっと水っぽいところにあるが、一般的に言われるのは、乾燥に強い植物というのは水がキライとか欲しくないわけではなく、そのほかの「水がいっぱいないと生きられない植物」が生きられないところでも、生きていける植物だということだ。
こういうイネ科の植物も、「きれいかもしれない」と思って見てみることで、そのきれいさが発見できる。出穂前から出穂後、実が熟す頃と、だんだんに見た目が変わっていくのも特徴だし、枯れた後の姿も独特で、よく見ていると面白い。