松静自然 -太極拳導引が教えてくれるもの-

松静自然とは落ち着いた精神情緒とリラックスした身体の状態をいい、太極拳導引の基本要求でもあります。これがまた奥深く…

蒸し暑さに和みかけるくふう -2-

2008-07-20 | 養生の栞-季節と養生-
☆蒸し暑いからこそ、敢えて肌を隠してみる

のっけから逆転の発想です。
夏は肌を露出させることが多いです。
ところがこれ、けっこう体力を消耗させます。

ご存じのように、皮膚には毛細孔があります。
蒸し暑い外気や室内などの冷気に直接触れたり
汗などの分泌物でベタついたり、
皮膚環境もかなり過酷な状態にあります。
毛細孔は外部と内部の出入口、ちょうど窓のようなもの。
疲労が溜まれば、その開閉状態に影響が出てきても
おかしくはありません。

なかなか汗がかけない人、
やたら汗っかきの人、
むくみやすい人、
やたらトイレが近い人…
もしかしたら冷えているのかもしれません。
体表面を覆っている皮膚(肌)が疲労しているのかも。

試しに長袖を着てみてください。
“暑くてかなわないよ”と思うかもしれませんが、
薄手の素材や肌に密着しないデザインのものであれば
けっこう心地よかったりします。

夏生地といえば真っ先に麻を連想しますが、
もう少し手頃な夏生地、楊柳やサッカー、ピケ(ピッケ)
などといったものもあります。
そういえば最近はあまり見かけないかも。

こうした織り生地の特長は、適度なシャリ感があって
皮膚と生地の間に薄い空気の層(膜)をつくり出します。
さらに直射日光や冷気を
肌に直接あてないように遮断していますから
このわずかな隙間に流れている空気は
ちょうど木陰にただよう空気と
似た状況なのかもしれません。

しかも汗をかけば生地が吸収してくれるので
肌はサラッとしていますし、
汗を吸った生地の乾きも早いです。

人が活動するためには
ある程度の温熱が必要です。
肌を露出させる機会が多くなると
知らず知らず体温が低めになっていることも。
現代生活全般が体を冷やす傾向に
なっているような気がします。