松静自然 -太極拳導引が教えてくれるもの-

松静自然とは落ち着いた精神情緒とリラックスした身体の状態をいい、太極拳導引の基本要求でもあります。これがまた奥深く…

蒸し暑さに和みかけるくふう -3-

2008-07-24 | 養生の栞-季節と養生-
☆水分補給にもひとくふう

この時期は、ほとんどの人が意識的に水分補給します。
でも、水分補給の頻度や分量、タイミングなどについて
考えてみたことはありますか?

経験上、喉の渇き具合と体内の乾湿の状態は
必ずしも一致しているとは限らないような
気がしています。

たとえば、いくら水分をとっても
喉の渇きが癒えなくて
胃袋がチャポチャポしてしまう時があります。
あるいは、それほど水分を取っている気がしないのに
やたらトイレが近くなるとか、
汗をかいている割には水分をほしくなかったり…。

こういう場合は、たぶん体内センサーが
体の状態をうまく把握できていないのかも。
原因はいろいろと考えられますが、
とりあずはこれ以上バランスを崩さぬようにして
体調をととのえる方向に軌道修正する必要があります。

本来的には体が必要とすれば
生理的欲求にしたがって
自然に適当な範囲内で摂取しているのだと思います。
ところが昨今は、生理的なバランスが
上手く働いていない人の方が多くなっていますし、
自分の体の状態を見ながらというよりも
「○○しないと体によくない」的な情報知識の主導により
頭で意識的に管理しようする傾向にあるような気が…。

そのあげく、ほとんどの場合は
“○○し過ぎ”の状態になるようです。
体のためによかれと思ってやったにもかかわらず
裏目に出てしまう。
バランス失調ぎみだからこそ
ここはひとつ体の様子をよく観察しながら
もう少しだけ丁寧に
体と向き合ってみたらどうでしょう。

たとえば飲み方。
冷たさや熱さを感じるのは口や喉までです。
胃袋をはじめとする内臓は感知しません。
だから冷たさを味わいたいのならば
少量を口に含んで口中でたっぷり味わう方が
理にかなっています。
喉の渇きは一気に大量に摂取しても
癒されるわけではないのです。

もし喉の渇きを癒したいのならば、
熱めのお茶を少しずつゆっくりと時間をかけて
飲む方が、むしろ効果的な気がします。

私達は生活習慣的にも
一日の運動量が足りない傾向にあるので、
基礎代謝の質や量も全般的に低くなりがちです。
つまり体内で過剰となったものを
体外に出すための能力が落ちているわけですから
内臓はフル稼働していることになります。

おそらく胃腸をはじめとする
臓腑たちはみな疲れているのでは?
養生的にみても
水分をとり過ぎることは冷えにも影響します。
代謝がよければまだいいのですが
一般的に冷えれば代謝は悪くなります。

なにごとも適度な範囲内におさまるように
コントロールすることが大切になってきますね。
そのために私達が意識的にできることといったら
体と頭が気持ちよく協力しあえる環境を
ととのえることでしょうかね。