夢逢人かりそめ草紙          

定年退職後、身過ぎ世過ぎの年金生活。
過ぎし年の心の宝物、或いは日常生活のあふれる思いを
真摯に、ときには楽しく投稿

齢を重ねるたびに『都心』は、遠くなりにけり・・。

2010-05-01 21:14:15 | 定年後の思い
私は東京郊外の調布市に住む年金生活6年生の65歳の身であり、
私が1944(昭和19)年の秋に生を受けた実家も程近くにあるので、結婚前後の5年間を除き、
これまでの大半はこの地で過ごしている。


私は高校時代から都心を目指して、これ以降は殆ど通学したり、通勤をした。

私の幼年期に母に連れられ、新宿の『伊勢丹(』のデパート)に行ったりして、
階段の踊り場、地下の通り道などで、
不幸にして戦争で身体の一部を失くされ、軍歌の音色とも、その容姿を見るのが恐かった。

小学校の高学年になると、地元の映画館はひとりでよく通ったりしていた。
そしてある日、次兄から都心の日比谷にある映画を観ようと、
新宿から築地行きの都電を乗ったが、乗り物酔いで私はしょげた・・。

確か都電の運賃は均一13円であったが、
下車したら当然もう一度支払う必要があったので、
日比谷まで頑張れ、と次兄に励まされ、青ざめた顔で日比谷で降りた記憶が残っている。

高校は中野区に所在していたので、新宿を経由し通学し、
荻窪行きの都電を利用したり、或いは中央線で中野駅から登校したりした。
下校は殆ど新宿の繁華街を通り、食べ盛りであったので、
街中の食事処でカツ丼、親子丼、ラーメンを午後の3時過ぎに食べることが多かった。

そして、ひとりで映画館に立ち寄ったりしていた。
この頃に、『小田急デパート』そして『京王デパート』が開業されたりし、
特に新宿の西口は激しく変貌してた。

私は読書も好きだったりで、神保町の古本街に行ったり、
ときには映画の封切を求めて、日比谷の映画街も通ったりしていた。

東京オリンピックが開催される数年前の出来事である。


大学に入学してからは、映画鑑賞に没頭していたので、
新宿、日比谷の映画館を中心で鑑賞していたが、
池袋の『人生座』と銀座の『並木座』は名画が上映して折、私なりに欠かせない映画館となっていた。
東京オリンピックの開催していた時、京橋の近代美術館に於いて、
日本映画の昭和初期からの名画特集を上映していたので、日参したりしていた。

映画以外は、新宿の『紀伊国屋書店』、このビルの中にある喫茶の紅茶専門店を利用したり、
新宿御苑を散策したりした。

その後、大学を中退し、芸能専門学校のシナリオ科に通った頃は、
銀座の松坂屋の裏手のビルに教室があり、数寄屋橋から歩いたりしたが、
お金に余裕のない私は大人の街である銀座の高級店には縁がなく、
もっぱら大衆向けの店を利用したりしていた。

そして映画、文学青年の真似事の生活を過ごし、
アルバイトや随時契約の単発仕事で何とか生計を立てていたが、
30過ぎた時、きちんと家庭を持てるだけの力があるの、と叔父など云われ、
根拠のない自信ばかり過ごしてきたので、通常の社会人に戻る決心をした。

この当時は高度成長期であったが、企業の中途入社は容易ではなかったので、
やむ得なく、コンピューターの専門学校でソフト科に1年間学び、
何とか大手の企業に中途入社できたのは、25歳を過ぎた1970(昭和45)年の春であった。

ある大手の音響・映像メーカーに入社直後、
現場を学べという指示に基づき、横浜の新子安にある工場の商品部に配属され、
まもなく分離独立した新レコード会社に転属させられた。

その後、翌年の1971(昭和46)年の早春に本社に異動し、
赤坂見付駅前の東急ホテル・ビルの一角に通いはじめた・・。
この東急ホテル・ビルの2階は小売専門店が並んで、おしゃれな高級店であったので、
私は喫茶店を利用できる程度であった。

赤坂は銀座と同様に大人の街であったので、
若いサラリーマンの身としては、TBS方面の小料理店で昼食を食べたりした。

そして数ヶ月後に、本社が六本木に移転したので、1992(平成4)年までの20年、
私は六本木の界隈の空気と共に過ごした。


1971(昭和46)年の5月に本社が六本木の所在となり、四丁目から百メートル内のビルが勤務地となった。
四つ角に『誠志堂書店』、『アマンド』、『三菱銀行』があり、最寄には中華料理の『楓林』があった。

そして都の経営する大衆的な『六本木食堂』があったり、日本料理の大衆化の『正直屋』、
イタリア料理の『カーディナル』などの小料理店が数多くあったりした。

喫茶店に関しても洋菓子の『クローバー』、『貴奈』をはじめとし、数多くの喫茶店があったが、
『俳優座』のビルが新築過ぎた頃から、街は急速に変貌をはじめた・・。

私はレコード店の『WAVE』、本屋の『青山ブックセンター』に通ったり、
或いは日本料理の『美濃吉』を利用したりしていた。

私は1972(昭和47)年頃から、シャンソンに熱中したので、
銀座の『銀巴里』でコーヒーを飲みながら聴いたり、
或いは水割りのウィスキーを呑みながら『蛙たち』でシャンソンに酔いしれた。
そして渋谷にもカンッオーネを主体の店にも足を運んだりした。

こうした中で、私の勤務上、兄弟会社のようなレコード会社が原宿のピアザビルにあって、
原宿駅、表参道などから業務提携の関係で数年通ったりした。


この後、1992(平成4)年の5月過ぎに、レコード会社の合併により、
渋谷の外れの勤務となり、私が20代の後半、パルコ、スベイン坂、道玄坂を懐かしんだり、
東急の文化村を知ったりした。

私の現役時代は、中小業の会社であり、管理畑が大半であったので、
世間がよくいう社用族として、銀座の一流と称されるバー、料亭などの世界は知らない。

私は普通のサラリーマンとして、当然ながら自身が支払うので、
シティ・ホテルは『帝国ホテル』、『ニューオータニ』、『六本木プリンス』、『京王プラザ』等ぐらいしか利用した事はないが、
駅付近の商業ビル内の食事処、街中の専門料理店、居酒屋をたびたび利用していた。
そして、ときには男の子であるので、風俗店に行ったりしていた。


このように長年に於いて苦楽を共にした都心であったが、
定年退職後、都心の人混みに疲れたせいか、或いは齢を重ねたせいか、
六本木ヒルズ、東京ミッドタウン、新丸ビル等の興味がなくなっている。

ときおり、新宿の『伊勢丹』、『小田急デパート』、登山の専門衣料店で買物はするが、
帰路の自宅の最寄駅の『成城学園前』の駅ビル、付近の食事処で食事をするのが、
何かしらほっとし、気楽に食べ、呑んだりしている。

日常の多くは、小田急腺の『成城学園前』、『喜多見』、『狛江』、
京王線であったならば、『仙川』、『つつじヶ丘』、『調布』の駅付近で充分と思っている。
一番気楽なのは、自宅の庭を眺めながら、ビールを呑んだり、
弐合徳利で純米酒の辛口を呑み、家内とおしゃべりをし、食事をするのが最良のひとときとなったりしている。
そして付近を散策したり、自宅の庭の樹木を眺めながら、季節のうつろいを享受している。

ときおり家内と国内旅行をし、その地の飾り気のない美景を教示されたり、
料理、和菓子、日本酒をほめ、観光ホテルの館内で仲居さんにからかわれたれし、
温泉に入浴したりして、その地の風土を愛(め)でるのが身も心も良薬となっている。



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『卯月』の4月に別れを告げ、そして『皐月』の5月を迎え・・。

2010-05-01 09:07:14 | 定年後の思い
私は東京郊外の調布市に住む年金生活6年生の65歳の身であり.
今朝ぼんやりとカレンダーを眺め、『卯月』の4月のカレンダーにさよならすると、
新たな『皐月』の5月のカレンダーを見ながら、ようこ~そ、と心の中で呟(つぶや)いたりした。

その後、主庭のテラスに下り立ち、まばゆい朝の陽射しを受けながら、
新緑を眺めたり、ここ数日前から咲いている朱紅色の躑躅(ツツジ)を誉めたりした。
そして『晩春』、『惜春』、『薫風』などを思い重ねたり、
或いは『ゆく春の惜しまれる今日この頃・・』、『微風は心地よく感じ・・』などと心の中で呟いたりしていた。

この後、居間に戻り、地元の天気情報をネットで見たら、
朝の6時は9度、昼下がりは19度前後、夕暮れの6時は17度前後で、
紺碧の青空に恵まれ、この後の5日頃までは快晴マークとなっている。

私は微笑みながら、机の引き出しから、私のメモ帳代わりとなっているカレンダーを取り出して、
少し見ながら、微苦笑をしたりした・・。

歯科医院の治療日は二週間毎に記載されたり、
私の住む周辺の自治会XX組の輪番制に基づいて、たまたま組長の任務となり一年が過ぎて、
中旬に総会が行われた後、次のお宅に交代となり、私は解放され、
小さな字で『自治会の総会』と日時と場所が書かれている。

そして下旬から6月の初めに、私達夫婦の35年目の結婚記念旅行と称して、
北東北を8泊9日間の旅行と記入されている。

これ以外はすべて空白であり、私はいつものように買物、散策をしたり、
本を読んだりし、庭の手入れをする程度である、と思ったりしている。

このようなことを思っていたら、作家・太宰治(だざい・おさむ)氏が綴られた『津軽』を、
東京オリンピツクが開催された頃に読んでいたが、
旅行前に45年ぶりに再読しなければならい、と苦笑をしたりしている。



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