8月6日、8月9日がなんの日か、何%の日本人が言えるだろう。戦後76年が経ち、今は普通の日々の生活の中で、「戦争」とか「日本が唯一の被爆国」であるとか、「日本がかつて戦争をした国だ」ということを意識する人は少ないだろう。
オリンピックで、(広島に原爆が落ちた8月6日に黙祷をしようとIOCに広島市長を始め呼びかけが行われた)と聞くが、IOCは、「黙祷の時間を設けることはできない」と返答(ココから)。「東京大会(閉会式)では前回リオデジャネイロ大会閉会式に続き、さまざまな理由で亡くなった全ての人を追悼する時間が設けられた。閉会式のプログラムで代替する方針」を示した(ココから)という。
閉会式は、最初だけ見て直ぐ見るのを止めてしまったので分からないが、「佐藤健作さんが和太鼓を響かせると、それまでの明るい雰囲気が一転。ダンサーのアオイヤマダさんが樹木をイメージした衣装で鎮魂の舞を披露した」とあった。それが、「すべての人への追悼の時間」とされ、「被爆した人たち」への限定した追悼の代わりに行われたようだ。
では、リオデジャネイロ大会閉会式では、どうだったのか?意外なことにGLOBE+というサイトのココに当時新聞社の特派員としてリオデジャネイロにいた佐々木正明さんが、次のように書いていた。
<開会式の総合プロデューサーとなった映画監督フェルナンド・メイレレス氏は早くからこの運命的な偶然に目を付け、開会式のプログラムに「広島」を模した演出ができないかと考えていた。平和の祭典であるオリンピックで、とりわけ世界の耳目が集まる開会式の瞬間に世界平和を願って広島に思いを馳せることを考えた。
ブラジル時間8月5日午後8時15分、つまり日本時間翌6日午前8時15分に、広島市の平和記念公園で開かれる式典に合わせて、開会式会場のマラカナン競技場に集まったIOC関係者、選手、観客たち全員が黙とうを捧げるという演出だった>というのだ。
だが、IOCから政治的な行動にあたることを理由にこの演出は却下され、計画は頓挫。だが、彼は、この時間帯に、艶やかな日の丸をモチーフにした数十人のダンサーを舞台に登場させ、日系移民をテーマにした舞いを披露。「広島」への連帯をブラジルから世界へ発信したのだそうだ。
知らなかった。日本の要望もIOCに反対された訳だが、「政治的な行動にあたるから」というのは違う気がする。放送権で巨額の収入をもたらす、原爆を落としたアメリカの大スポンサーへの配慮ではないかと思える。
なぜなら、Yahoo ニュースのココによると、「国民世論の変化を受けて、米国オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)は今春、選手が表彰台の上でこぶしを突き上げたり、国歌斉唱中に膝をついたりする抗議パフォーマンスを認める方針に転じた。IOCも今年4月、米国をはじめとする国際世論に押される形で、オリンピック憲章を改定し、選手の政治的な抗議パフォーマンスを一部、容認することを決めた」のだ。
リオでは、レズビアンの選手が表彰式の場で、パートナーからプロポーズを受けるというサプライズで会場が盛り上がるなど、オリンピックが世界の世論を変える大きな役割を果たしたそうだが、東京大会でも ニュージーランドの重量挙げの選手が史上初のトランスジェンダーの選手として参加。また、サッカー女子の日本代表の選手たちも、英国戦やスウェーデン戦で片ひざをついて、人種差別に反対の意思表示をしたそうだ(ココから)。
*ただ、試合前や選手紹介などに限って容認しているが、表彰式や開閉開式、競技中などの場でこうした行動は禁止。違反した場合は処分の対象となる。
広島・長崎の被爆の悲惨さを世界に伝え、一刻も早く日本も「核兵器禁止条約」に参加、批准したい。また、広島・長崎の被爆の歴史を語る時に、日本が戦争の被害国であったと捉えるのは間違っている。もちろん被害も被ったが、それは1面であって、日本が戦争において加害者であり、他国に踏み入って多く人々の生命財産を奪った事実も共に伝えないといけないだろう。
閉会式でどんなメッセージが世界に伝えられたのかは、見なかったので分からない。だが、「平和と調和」「多様性」を目指す世界的イベントの中で、平和への大事なメッセージを日本人は世界に伝えられたのか。
もし、伝え損なっていたにしても、私たちのこれからの行動で、「われら(日本国民)は、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」という、世界の平和を希求する日本国憲法の精神をもって、世界の人と闘うことなく(戦争放棄を堅持して)共に歩むひとつひとつの行動で示していきたいと思う。
「敵基地攻撃能力」をつけないと国を守れない、と自分たちのイージスアショアの配備計画の杜撰さを棚にあげて、逆に戦争への道を開く態度をあらわにした自民党。周辺国の警戒心を煽るようなその行動が「平和を愛する日本人」の進む方向と真逆なことは、まっすぐな心で平和を望む人には明らかなはずだ。
武器を強化しようとする国と、武器の削減に努力する国と、あなたのめざす日本はどちらですか? 衆議院選挙がこの秋にはありますが、平和を愛するなら、もうこの長期政権には舵取りはまかせられません。こんなにも嘘をつき、国会を無視し、民主主義を潰してきた自・公政権にNOを突きつけましょう!!! 選挙民の25%で政治が動くなんてことも、オカシイ。選挙に行って、しっかりこの政権の動きを止めましょう! 今度の選挙でそれができないと、日本に「平和で、安心・安全な生活」なんてありえません。
武器を手に持ち脅せば安全だという人と、助け合おうと手を差しのべる人と、どちらが幸せな社会を築けるでしょう。
You may say I'm a dreamer. But, not I 'm the only one.
<私が夢想家だといいますか? でも、私だけではないんです>
この当たり前の考えを分かち合う人が増える時に、世界に平和は訪れるのです。