峰野裕二郎ブログ

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遼くんの全英オープン挑戦 その2

2009年07月18日 | スポーツ
メジャートーナメントは、やはり甘くはなかった。

全英オープン2日目、ターンべりーが牙をむいた。この日は前日と打って変わり、冷たい雨と強風がコースを吹き荒れた。
それでも遼くんは前半の9ホールを1ボギーの36でまとめた。ここまでトータル1アンダー、この日の天候から考えて決して悪いスコアではない。このまま我慢していれば、どこかで必ずチャンスは訪れる。

しかし、インに入ってすぐの10番・456ヤードのミドルホールで遼くんはタイガー・ウッズ選手共々、ターンベリーの餌食【えじき】となった。
先ず、ウッズ選手のティーショットが大きく右にそれて、ブッシュの中に入ってしまう。係員と大勢のギャラりーで探すがボールが見つからない。結局、ロストボールとなってしまった。

そのことは、遼くんのセカンドショットに少なからず影響を与えたはずだ。何しろ寒風吹きすさぶ中、10分も待たされたのだから。しかし、それがルール上、許される範囲でのことであれば、責任はウッズ選手にあるのではなく、心身をコントロールできなかった遼くん自身にある。

遼くんのセカンドショットのボールは、グリーン手前の大きなドーナツの形をしたバンカーの、こともあろうに中心部の背の高い茂みに消えた。そこから出すのは不可能と判断した遼くんはアンプレアブル【何らかの状況で、プレーができないと判断したときにプレーヤー自身がその旨宣言する。アンプレアブルを宣言すると、1打罰を加えてボールから2クラブレングス以内、またはボールとグリーンを結んだ線上後方にボールをドロップしてプレーを続けることができる】を宣言せざるを得なかった。

結局、このホールをダブルボギーとした遼くんは、その後、悪い方に傾いた流れを断ち切ることができず、11番から15番までを連続ボギー、16番でようやくパーを拾い、17番でこの日初めてのバーディをとったものの、最終ホールを再びボギーとし、トータル8オーバーで予選を通過することができなかった。

遼くんにとって、2日目が全てだった。精神的な部分はさておき、全英オープン特有のコースと天候にやられてしまったということだが、言い換えれば、それらに対応できるだけの技術的な引き出しが足らなかったということに他ならない。

最終ホールのアプローチショットにもそれが表れていた。
18番は461ヤード・パー4のミドルホール、ティーショットがフェアウェイをとらえる。第2打はフォローの風ということでミドルアイアンでグリーンを狙ったが、風を読みきれず大きくショートしてしまう。そこでの第3打・アプローチショットが問題だった。

18番は砲台グリーン【フェアウェイよりグリーンが一段と高くなっているグリーンのこと】になっている。遼くんはボールを上げてピンを狙った。いわゆるピッチショットだ。しかし、ボールが止まらずグリーンをオーバーしてしまい、返しのアプローチも寄らずボギーとしてしまった。
おそらく、国内のゴルフコースの砲台グリーンではピッチショットでうまくいっていたのだろう。しかし、全英の、メジャーのグリーンは状況に応じた的確なショットを要求する。メジャーで勝つためにはあらゆる準備が必要なのだ。

ここはグリーンの土手にぶつけ、転がして寄せるチップショットの方が良かった。プレー後のインタビューに遼くん自ら語っていたが、遼くんのアプローチの前に、解説の青木さんもそう語っていた。
よく言われることだが、300ヤードの豪快なドライバーショットも10メートルのアプローチショットも1打は1打だ。プロでもアマチュアでも、優れたプレヤーはアプローチとパターに秀でたものがある。

かくして、遼くんの初めての全英オープンへの挑戦は幕を閉じた。
2日目のプレーはさんざんだったが、初日は天候が味方してくれ、あのウッズ選手のプレーを上回った。ウッズ選手も予選落ちしたが、もしかすると、初日の遼くんのプレーにあおられたところがあったのかもしれない。
それほど、遼くんのプレースタイルには魅力がある。インタビューの受け答えも、的確で、それでいて清々しくて実に気持ちがいい。

また一つ貴重な経験を積んだ遼くんにどんな変化が表れるのか、次のトーナメントでの彼のプレーを楽しみにしたい。
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