先の金曜日、橘香館の体育大会を見に出かけたことを記した。
お昼までで帰ろうかと思ったが、昼食後に応援合戦があるという。せっかく来たのだからと、くるみさんの応援団員ぶりも見ていくことにした。
昼食は校舎の中でどうぞという館長の言葉に、近くのコンビニでおにぎりでも求めようかと考えたが、何となくラーメンが食べたくなり、街中の小さな中華店の暖簾【のれん】をくぐった。
店に入ると、店内にいた4人がいっせいに私の方を見た。瞬間、条件反射的にカウンターで新聞を手にしている人をお客さんだと思ったが、4人そろって「いらっしゃい!」の言葉。「エッ、全員店の人かよ」と、その店の構えと従業員の数との隔たりにいささか驚かされた。
お客さんで混んでいる店内は落ち着かないものだが、店の人4人に対し客1人という状況も落ち着かない。ラーメンを注文した後、目のやり場にさえ困るほどだった。幸い、テレビがお昼のニュースを伝えていたので、そこに視線を落ち着かせた。
テレビは民主党の衆議院議員だった永田議員の訴訟問題を取り上げているところだったが、そのことについて店主らしき男が話しかけてきた。こちらの気まずさを彼は察したのだろう。
そういう人なんだと感じた私の方からも「調味料とか材料費が値上がりしていて大変でしょう」と話しかけると、我が意を得たりとばかり店主らしき人物は、彼らの商売がやりにくくなっている状況をまくし立て始めた。
話が地域社会の崩壊についてまで及んだ頃、年配の3人連れの客が入ってきた。
若い人は、まず来ないという。みんなコンビニかファーストフードかファミレスかホカ弁ですよ。暑い日に、暑い店なんか来て、汗かきながらラーメン食べることないですもんねと自嘲【じちょう】気味に話してくれた。
3人連れの客が入ってきたのを潮に店を出ることにした。「いくらですか?」と尋ねると「450円」ですと言う。一瞬耳を疑った。ラーメン1杯がたったの450円なのだ。「思わず、安いですね」と言うと、その店主らしき男性は黙って笑っていた。おそらくはファミレスとかホカ弁の値段に合わせているのだろう。
1人で外で食事をする機会はめったにない。家族で外食をするときは女房どのや子供たちの好む店となる。その選択肢に空調のないラーメン屋など入る余地もない。勢い、ちょっとおしゃれなレストランとなる。
しかし、厨房【ちゅうぼう】の奥でこだわりの一品を作り続けるシェフのいるレストランもいいが、私は、どちらかと言えば、厨房どころか、店の裏口から裏庭までもが丸見えの、人懐こく気のいい店主のいるラーメン屋の方が性に合っているとあらためて感じた。
お昼までで帰ろうかと思ったが、昼食後に応援合戦があるという。せっかく来たのだからと、くるみさんの応援団員ぶりも見ていくことにした。
昼食は校舎の中でどうぞという館長の言葉に、近くのコンビニでおにぎりでも求めようかと考えたが、何となくラーメンが食べたくなり、街中の小さな中華店の暖簾【のれん】をくぐった。
店に入ると、店内にいた4人がいっせいに私の方を見た。瞬間、条件反射的にカウンターで新聞を手にしている人をお客さんだと思ったが、4人そろって「いらっしゃい!」の言葉。「エッ、全員店の人かよ」と、その店の構えと従業員の数との隔たりにいささか驚かされた。
お客さんで混んでいる店内は落ち着かないものだが、店の人4人に対し客1人という状況も落ち着かない。ラーメンを注文した後、目のやり場にさえ困るほどだった。幸い、テレビがお昼のニュースを伝えていたので、そこに視線を落ち着かせた。
テレビは民主党の衆議院議員だった永田議員の訴訟問題を取り上げているところだったが、そのことについて店主らしき男が話しかけてきた。こちらの気まずさを彼は察したのだろう。
そういう人なんだと感じた私の方からも「調味料とか材料費が値上がりしていて大変でしょう」と話しかけると、我が意を得たりとばかり店主らしき人物は、彼らの商売がやりにくくなっている状況をまくし立て始めた。
話が地域社会の崩壊についてまで及んだ頃、年配の3人連れの客が入ってきた。
若い人は、まず来ないという。みんなコンビニかファーストフードかファミレスかホカ弁ですよ。暑い日に、暑い店なんか来て、汗かきながらラーメン食べることないですもんねと自嘲【じちょう】気味に話してくれた。
3人連れの客が入ってきたのを潮に店を出ることにした。「いくらですか?」と尋ねると「450円」ですと言う。一瞬耳を疑った。ラーメン1杯がたったの450円なのだ。「思わず、安いですね」と言うと、その店主らしき男性は黙って笑っていた。おそらくはファミレスとかホカ弁の値段に合わせているのだろう。
1人で外で食事をする機会はめったにない。家族で外食をするときは女房どのや子供たちの好む店となる。その選択肢に空調のないラーメン屋など入る余地もない。勢い、ちょっとおしゃれなレストランとなる。
しかし、厨房【ちゅうぼう】の奥でこだわりの一品を作り続けるシェフのいるレストランもいいが、私は、どちらかと言えば、厨房どころか、店の裏口から裏庭までもが丸見えの、人懐こく気のいい店主のいるラーメン屋の方が性に合っているとあらためて感じた。