風が強く冷たい日。顔全体を覆いたいくらいです。登校拒否の子供のように仕事に行きたくないのです。さしたる理由ではないのですが、家を出て外へ行くのが怖いのでした。そんなことを言っている余裕がある家ではないので、それ!と風の中に突入です。空は澄んで晴れていて伊吹山が美しいです。
久しぶりに向田邦子の本を取り出してきました。今、「阿修羅のごとく」が話題になっているからかもしれません。確かに、配役が、宮沢りえ、尾野真千子、蒼井優、広瀬すずですから、すごいなぁと思うのです。でも、私はNHKのTVドラマの記憶がまだ残っています。この同じ四姉妹を八千草薫、いしだあゆみ、風吹ジュン、加藤治子が演じました。向田のドラマと言えば、加藤治子のすごさは、格別でした。
昔、「好きな女優はだれですか?」という質問に「加藤治子」と答えた男性がいました。(いまはかなりのお年の男性)加藤治子が好き・・・。八千草薫さんなら無条件で「そうね!」なのですが。思い出すのは、「熱家族」というドラマで加藤治子が演じた役です。根っこの部分に「おんな」のあらゆる要素が凝縮しているような感じです。「おお‼こわ!」です。前述の彼が好きな人が「曼殊沙華」のような人だとか。あの赤い花の根元には毒があるんですね。ああ、そうか・・・。
女ばかりの家族のうちで、「あら、男の人の爪って硬いのね」というセリフ。愛人宅から帰ってきた夫の足の裏に「へへののもへじ」が描かれている。向田の表現は、加藤治子と同じくらい怖いです。
私がこのドラマでぎっく!としたのは、四女が同棲している男がボクサーで、ウエイトコントロールをしています。その時、四女は自分も食べないでそれに付き合います。ある日、彼はほかの女の子を部屋に招き入れていました。「おれは一緒に食事をしない女よりも、俺の前で平気で飯を食う女がいいんだ」というのでした。
そうか・・・。私は食事を食べないで減量に付き合う女でしょう。(でした)その時、はっ!と思いました。重い女ではいけないと。
一時、重くて見られなかった向田のドラマ。また見てみようかと思うのでした。
春はひそやかに近づいてきています。
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