のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

母、過去の嫉妬

2007年12月02日 21時42分19秒 | 日常生活
一人暮らしを始めた際に、布団を持ってきたため
実家に帰るといつも、妹とシングルベッドで一緒に眠っています。
比較的でかく育った妙齢の姉妹二人にとって、
シングルベッドはややせせこましいのですが、
寝相の悪い姉妹同士、押しつ押されつ、蹴りつ蹴られつしながらも
均衡の勢力を保ち、仲良く睡眠を取ることができています。

しかし、今回の帰省では風邪で弱っていたのりぞうが
どうやら深夜の戦いに負けていた模様。
一足早く目覚めた妹はぬくぬくと布団を被っている自分の隣に
布団を取られて縮こまっているのりぞうを発見したことを
申し訳なさそうに告白してくれました。

ちょっと!!
風邪で弱っている姉になんて仕打ちを!!

と憤っていたところ、土曜の夜は父上が
「あんた、今日はどこで寝るんね?」
と珍しく自分から娘に話しかけてきました。

どこで、って、いつものように妹のベッドやけど。
他に場所、ないし。

「狭いんやないんね?
 布団も足りてないんやないんね?」

確かに。今日も戦いに負ける可能性高し。
でも、他に場所はないけんねー。
何?父上と母上の布団で一緒に眠っていいってこと?

と、冗談半分で聞いてみたところ

「自分の寝る場所は自分で確保し。」

と、YesなのかNoなのかよく分からない返事が返ってきました。
うーん。どっちだ?どっちなんだ?
と、悩みつつも、とりあえず寒かったので
テレビを見ながらもそもそと両親の布団に入り込み
体を温めることに専念するのりぞう。

と、その様子を発見して叫ぶ妹。
「姉ちゃん!なんて恐ろしい場所で寝とうと?!
 早く出て!出て!母に怒られるけん!」



・・・・思い出しました。
あれは、確か今を去ること10年前。(いや、もっと前か?)
のりぞうが部屋で試験勉強をしているといつも
「電気が勿体無いけん。」
と言いながら、妹と母上がストーブや新聞やおやつなどを
のりぞうの部屋に持ちこみ、のりぞうの部屋をリビングにして
過ごしておりました。
のりぞう家族には「プライバシー」なる言葉がないのです。

ある日のこと、のりぞうが宿題を片付け、眠りにつこうとすると
のりぞうの布団には既に先客が。
狭い部屋にお気に入りのリラックスグッズを持ち込んで
すっかり気持ちよくなった母上が一足早く熟睡しておりました。
母上を起こす作業が面倒だったのりぞうは
「ま、いっか。今日は私が父と寝ればいいんだし。」
と、気軽に考え、母上と父上の布団に移動。

翌朝、のりぞうのベッドで目覚めた母上は
のりぞうが父上と一緒に眠っている姿を発見し
朝から真剣に怒り狂ったのでございます。

「信じられん!!
 なんでのりちゃんが父さんと一緒に寝とうと?!
 そこは私の場所なんやけんね!!」
怒り狂う母に妹も私もしばし呆然。
まさか、こんなに真剣に怒られるとは
昨夜の時点でどちらもまったく予想だにしていなかったのです。
そもそも、のりぞうのベッドに先に寝たのは母やん。

「起こせばいいやん!!
 大体、あなたもあなたよ!!
 なんで、のりちゃんと寝るん?!
 どうせ、私なんかより自分の娘のほうがかわいいんでしょ?
 血がつながっとうもんね!!」

怒りの矛先を父上に向ける母親。理不尽すぎます。
・・・ていうか、嫉妬する相手を間違えてるってば。
娘にそこまで真剣に嫉妬してどうすんのさ?

あれから10年。(いや、それ以上?)
未だに母上は父上が大好きです。
父上の布団にのりぞうが入っている姿を見かけた妹が
心底怯えて、のりぞうを布団から追い出そうとするぐらい。

「おねえちゃん!!
 おねえちゃんは私と寝よ?ね?
 そこは母の場所やけん!!」

結婚生活30年。
未だに母親は父親に片想い中、それが夫婦円満の秘訣です。

母、嫉妬する

2007年12月02日 17時35分19秒 | 日常生活
実家にて療養中、父上がブログを開設したいと訴えてきたので
新規登録し、色々と設定を整えてきました。
今はまだ、設定を整えただけで、記事も掲載していませんが
おそらく、今月中旬にはぼちぼちと文章を書き始めるはず。
父上、ブログデビューです。

普段、父上が言葉を発しているところをほとんど見たことがないため、
どんなことを書くのか非常に興味深く、今から待ち遠しくてたまりません。
何せ、実の娘とでさえ、日常会話が一問一答、もしくは
Yes/Noクイズのような人なのです。
父上の口から「うんや」「わからん」「知らん」以外の言葉が
引き出されると、それだけで家族のテンションがあがります。
それぐらい普段はしゃべらない人なのです。
早く書けー、早く書けー、と呪文のように唱えております。

のりぞうが父上のブログ設定を無事に完了させたことを
母上に報告したところ、母上が不思議そうに尋ねました。
「じゃあ、ブログを読めば、今はまったく分からない
 あなたの考えてることが少しは分かるってこと?」

父上の回答
「うん。」
・・・ほらね。ここでも一問一答です。

母上は更に不思議そうに尋ねます。
「何?家族にも明かさないような自分の胸のうちを
 見ず知らずの人には語るの?それっておかしくない?
 私にも話してよ!」

母上、ブログに嫉妬です。
そんなわざわざ火種を増やさなくても・・・。
嫉妬する相手は人間に限定してもいいんじゃない?

High and dry(はつ恋) /吉本ばなな

2007年12月02日 17時19分53秒 | 読書歴
■High and dry(はつ恋) /吉本ばなな
■ストーリ
 14歳の秋に訪れた夕子のはつ恋。相手は20代後半の絵の先生。
 ちょっとずつ、ちょっとずつ心の距離を縮めながら仲良くなっていく
 ふたりにやがて訪れる小さな奇蹟とは。毎日を生きる私たちに、
 ひととき魔法をかけてくれる美しい魂の物語。
 かわいらしいイラスト満載で、心がぽかぽか温まる宝石のような一冊。

■感想 ☆☆☆*
 人によっては、プラトニックな関係を「ありえない。」「奇麗事」
 と思うかもしれない。特に男性は14歳のヒロインと28歳の
 男性が築いていく関係についていけないものを感じるかもしれない。

 けれど、女性はいくつになっても、心の中に「オンナノコ」がいて
 男性との関係に夢を見ている生き物だと思う。少なくとも私はそうだ。
 だから、「心で関係を築いていく」相手に出会えたヒロインを
 心から羨ましく思ったし、読んでいて二人の関係がとても微笑ましかった。
 そういう意味で、この小説は新旧の「オンナノコ」のためのもの
 「オンナノコ」が共感しやすい感覚なのかもかな、と思った。

 人を好きになると、その人のことが色々と知りたくなる。
 彼の過去も家族も、家族に対するスタンスも。
 それらを知ることで出逢う嫉妬や寂しさもある。
 ヒロインは自分の嫉妬や寂しさときちんと向き合って、大人になる。
 そして、少しだけ成長したヒロインは自分の中の「子どもの感覚」に
 気付くのだ。その場面がとても印象的だった。

 何の疑問も持たず、当然のように家族から愛情を享受してきた
 子ども時代。けれども、子どもはいずれ大きくなっていく。
 ヒロインの父親と母親は、小さい頃に与えられるだけの愛情を
 たっぷりと与え、ヒロインの成長を見届けた後は、自分の人生を
 楽しみ始める。そのことに寂しさを感じるヒロイン。
 自分中心だった両親が、自分の成長によって対等の関係になって
 しまったことに、なかなか慣れることができない。
 そのことに彼女は人を好きになってようやく気付く。
 愛情を与え、愛情を与えられることによって、自分が寂しかったこと
 まだまだ子どもだったことに気付くのだ。

 このお話は初恋のお話。ほのぼのするような初恋の話。
 そして、初恋によって成長する少女の話。
 人は誰かを好きになることで、大人になるのだと、改めて
 気付かせてくれる話だ。
 
 表紙も挿絵も色鮮やかでとてもキュート。
 春の訪れのような色調とイラストが本当に「初恋」っぽくて、
 本全体がばななさんの作品なんだな、と思った。