のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

たった一度の人生だから/星野富弘・日野原重明

2007年12月05日 23時14分30秒 | 読書歴
■たった一度の人生だから/星野富弘・日野原重明
■内容
 詩画作家の星野富弘さんと日野原重明さんの対談集。
 2006年陽春のある日、日野原重明さんが星野富弘さんを訪ねて
 群馬県・富弘美術館を訪れた。健康について、人生の転機について、
 平和と未来についての尽きぬ語らいがあたたかい励ましと希望を
 与えてくれる。

■感想 ☆☆☆
 薄く文字も大きいため、30分ほどであっという間に読み終える。
 しかし、物足りなさは感じない。語られている言葉に重みがあり
 読み終えた後も静かに、そして真摯に自分自身を振り返る
 時を持つことが出来る。

 「いちばん喜びを感じるのは、人のために、他者のために何か
  できた時や、自分のやっていることが他の人に喜んでいただけた
  時なんです。」
 「いのちというのは、自分だけのものじゃなくて、
  誰かのために使えてこそ、ほんとうのいのちではないかと
  思いました。」

 こういった言葉を私が使うと、その瞬間にこの言葉は偽善の塊に
 なる。ウソクサクなる。薄っぺらい言葉の羅列になってしまう。
 しかし、この言葉を星野さんや日野原さんが発すると、この言葉は
 力を持ち始める。重みが出る。
 言葉は単体では力を持たない。発する人の普段の生き様や人柄が
 その言葉に力を与える。だから、星野さんの言葉は読者に勇気と
 志と希望を与えるのだと思う。

 大きな何かを成し遂げる前に、日々の生活の中で小さな目標を
 達成し続けることの大切さを、小さな目標をもてる心の健康を
 そして、そういった自分の幸せを忘れないようにしたい。

「ひとつ、村上さんでやってみるか」・・・/村上春樹

2007年12月05日 22時58分54秒 | 読書歴
■「ひとつ、村上さんでやってみるか」と
 世間の人々が村上春樹にとりあえずぶっつける490の質問に
 果たして村上さんはちゃんと答えられるのか?/村上春樹

■内容
 期間限定で「村上朝日堂ホームページ」に寄せられた著者と
 読者の応答490通を収録。フィッツジェラルドの
 『グレード・ギャツビー』やチャンドラーの『ロング・
 グッドバイ』の新訳から全裸家事主婦まで過激にホットに
 村上さんが全面回答。恋愛の法則、女の子の条件、健康の秘訣、
 物欲について、腹が立つことへの処理法など一挙大公開。

■感想 ☆☆☆☆
 小説のほうは「面白い!」というよりも「癖になる・・・」
 という感覚で読んでいる村上さんだが、エッセイ関係は
 「大好き!」で、見つけたら必ず借りるようになった。
 村上さんの村上さんらしさを失わない文章、村上さんらしい
 こだわりのある生き方、潔い考え方を畏敬の念を込めて
 読んでいる。
 自分を見失うことなく、自分に正直に、そして自分に厳しく
 生きている村上さんはとてつもなくかっこいい。

 読者の質問に村上さんなりにまじめに回答しているものの
 熱すぎることなく、いい感じにぬるい感覚がとても面白い。
 そして、合間合間に出てくる示唆に富んだ言葉たち。
 読者の質問にまっすぐ、端的に答える姿はとても頼もしい。

 今回、もっとも心に残ったのは文章を書くことについて
 述べた箇所。
 「文章というのは、書いている人間に、遅かれ早かれそのまま
  はねかえってくるものです。人は文章を書くことによって
  文章を書くことを通して、ものを考え、抽象的な体験をし
  成長していくものだと僕は思っています。
  よく考え、よく体験し、よく成長するためには、
  善き文章を書くことが必要になってきます。」
 私が読書感想を残したいと考えるのは、文章を書くことによって
 しっかり考えるからだと思う。抽象的なものをより具体的に
 自分の中にとどめるために、文章に綴ろうとする。
 文章は自分にはねかえってくる。「善き文章」を綴る。
 このふたつは胸に留めておきたい。