19.怖い絵/中野京子
■内容
惨・残酷・非情・無惨で甘美。
心の底からゾッとする、名画の見方、教えます。
よりすぐりの名画20点をカラー図版で掲載
ティントレット『受胎告知』/ムンク『思春期』 /
クノップフ『見捨てられた街』/ブリューゲル『絞首台の上のかささぎ』/
ゴヤ『我が子を喰らうサトゥルヌス』/ホルバイン『ヘンリー八世像』など
見れば見るほど怖くなる名作絵画20点。
■感想 ☆☆☆☆
絵は感性で見るものだと思う。
見た人が見たままに、感じたままに楽しむもの。
多くの人の感性に訴える作品は、その作品の知識などなくても
時代を超えて、歴史背景を超えて、愛される。
しかし、その絵が描かれた背景やその時代の持つ雰囲気など
予備知識があると、確実に、今まで以上に楽しめるのも事実。
そういった意味で、本書は「知ること」の楽しさを
教えてくれる作品だと思う。
知ることによって、絵が訴えかけるものを今まで以上に
すくいとることができる。妄想を、感性を広げることができる。
知ることによって、世界は確実に広がる。
とは言え、読み終わった後に心に残るのは
やはり「解説」によってではなく、その「作品の持つ力」、
その「作品が放つ力」によってである。
そして、作品が放つ力を受け止めて心にとどめるのは
結局、読み手の感性であり、作品と鑑賞者の相性なのだと思う。
今回、私がこの書籍のタイトルどおり、「怖い絵」だと感じ
目が離せなかったのはゴヤによる「我が子を喰らうサトゥルヌス」
と、レービンによる「イワン雷帝とその息子」。
解説がいくら丁寧にかかれてあっても、やはり絵が放つ
分かりやすい「怖さ」には適わない。一目見て伝わってくる
ストレートな狂気と衝撃は視覚に衝撃を与える。
じわじわと迫ってくる怖さを味わえたのはホルバインによる
「ヘンリー八世」。ただの肖像画であり、上記の作品のように
ショッキングな場面の描写ではない。ただ、ヘンリー八世が
真正面からこちらをにらんでいるだけの作品だ。しかし、
彼の持つ威圧感が、いやらしさがまっすぐ伝わってくる。
しかし、最も心に残った作品は、何と言ってもダヴィッドによる
「マリー・アントワネット最後の肖像」だ。
この作品はまったく怖くはない。解説さえも、私には
恐怖を与えなかった。この作品を見て、解説を読んで
私は改めて「マリー・アントワネット」の生き方、死への挑み方
彼女の持つ度胸や気品に尊敬の念を抱いた。
丁寧に書き込まれた作品ではない。あまり時間をかけずに
描かれたであろう「スケッチ」のような小品だ。
それでも、彼女の横顔から彼女の人生が伝わってくる。
■内容
惨・残酷・非情・無惨で甘美。
心の底からゾッとする、名画の見方、教えます。
よりすぐりの名画20点をカラー図版で掲載
ティントレット『受胎告知』/ムンク『思春期』 /
クノップフ『見捨てられた街』/ブリューゲル『絞首台の上のかささぎ』/
ゴヤ『我が子を喰らうサトゥルヌス』/ホルバイン『ヘンリー八世像』など
見れば見るほど怖くなる名作絵画20点。
■感想 ☆☆☆☆
絵は感性で見るものだと思う。
見た人が見たままに、感じたままに楽しむもの。
多くの人の感性に訴える作品は、その作品の知識などなくても
時代を超えて、歴史背景を超えて、愛される。
しかし、その絵が描かれた背景やその時代の持つ雰囲気など
予備知識があると、確実に、今まで以上に楽しめるのも事実。
そういった意味で、本書は「知ること」の楽しさを
教えてくれる作品だと思う。
知ることによって、絵が訴えかけるものを今まで以上に
すくいとることができる。妄想を、感性を広げることができる。
知ることによって、世界は確実に広がる。
とは言え、読み終わった後に心に残るのは
やはり「解説」によってではなく、その「作品の持つ力」、
その「作品が放つ力」によってである。
そして、作品が放つ力を受け止めて心にとどめるのは
結局、読み手の感性であり、作品と鑑賞者の相性なのだと思う。
今回、私がこの書籍のタイトルどおり、「怖い絵」だと感じ
目が離せなかったのはゴヤによる「我が子を喰らうサトゥルヌス」
と、レービンによる「イワン雷帝とその息子」。
解説がいくら丁寧にかかれてあっても、やはり絵が放つ
分かりやすい「怖さ」には適わない。一目見て伝わってくる
ストレートな狂気と衝撃は視覚に衝撃を与える。
じわじわと迫ってくる怖さを味わえたのはホルバインによる
「ヘンリー八世」。ただの肖像画であり、上記の作品のように
ショッキングな場面の描写ではない。ただ、ヘンリー八世が
真正面からこちらをにらんでいるだけの作品だ。しかし、
彼の持つ威圧感が、いやらしさがまっすぐ伝わってくる。
しかし、最も心に残った作品は、何と言ってもダヴィッドによる
「マリー・アントワネット最後の肖像」だ。
この作品はまったく怖くはない。解説さえも、私には
恐怖を与えなかった。この作品を見て、解説を読んで
私は改めて「マリー・アントワネット」の生き方、死への挑み方
彼女の持つ度胸や気品に尊敬の念を抱いた。
丁寧に書き込まれた作品ではない。あまり時間をかけずに
描かれたであろう「スケッチ」のような小品だ。
それでも、彼女の横顔から彼女の人生が伝わってくる。