52.堪忍箱/宮部みゆき
■ストーリ
ふたを開けたら最後、この近江屋に災いがふりかかる。
決して、中を見てはいけないというその黒い文箱には、喪の花
もくれんの細工が施してあった。物言わぬ箱が次第に人々の心を
ざわめかせ、呑み込んでいく表題作。ほか、名もなき人々の
日常にひそむ一瞬の闇を描く時代小説8編。
■感想 ☆☆☆
宮部作品の登場人物は、全体的に暖かい人が多い。
推理小説がベースなので、陰惨な事件を扱ったもの、
非情な登場人物が描かれているのに、なぜか温かみを感じる。
そのぬくもりこそが宮部作品の特徴だと思う。
けれど、この作品は読み終えた後、なんともいえない苦味を
感じる作品ばかり。ものすごい苦味ではない。舌にほんの少し
ぴりりとくるような苦味。誰の人生にも潜んでいるような
特別なものではない苦味。
その苦味は、この作品の中に描かれている「理解できてしまう
感情」がかもし出しているのかもしれない。
妬み、そねみ、猜疑心。
どんなに優しい人でも、人の心には必ず薄暗い闇がいくつもあって
それが時折、ちらりちらりと姿を見せるのだと思う。
そのちらりちらりと姿を見せる薄暗い闇に焦点を当てているから
そして、その薄暗い闇は、確かに私の心の中にもあるものだから
私は読みながら、なんともいえない苦味を感じたのだと思う。
■ストーリ
ふたを開けたら最後、この近江屋に災いがふりかかる。
決して、中を見てはいけないというその黒い文箱には、喪の花
もくれんの細工が施してあった。物言わぬ箱が次第に人々の心を
ざわめかせ、呑み込んでいく表題作。ほか、名もなき人々の
日常にひそむ一瞬の闇を描く時代小説8編。
■感想 ☆☆☆
宮部作品の登場人物は、全体的に暖かい人が多い。
推理小説がベースなので、陰惨な事件を扱ったもの、
非情な登場人物が描かれているのに、なぜか温かみを感じる。
そのぬくもりこそが宮部作品の特徴だと思う。
けれど、この作品は読み終えた後、なんともいえない苦味を
感じる作品ばかり。ものすごい苦味ではない。舌にほんの少し
ぴりりとくるような苦味。誰の人生にも潜んでいるような
特別なものではない苦味。
その苦味は、この作品の中に描かれている「理解できてしまう
感情」がかもし出しているのかもしれない。
妬み、そねみ、猜疑心。
どんなに優しい人でも、人の心には必ず薄暗い闇がいくつもあって
それが時折、ちらりちらりと姿を見せるのだと思う。
そのちらりちらりと姿を見せる薄暗い闇に焦点を当てているから
そして、その薄暗い闇は、確かに私の心の中にもあるものだから
私は読みながら、なんともいえない苦味を感じたのだと思う。