55.初ものがたり/宮部みゆき
■ストーリ
鰹、白魚、鮭、柿、桜・・・。江戸の四季を彩る「初もの」が
からんだ謎、また謎。本所深川一帯をあずかる「回向院の旦那」
こと岡っ引きの茂七が子分の糸吉や権三らと難事件の数々に挑む。
夜っぴて屋台を開いている正体不明の稲荷寿司やの親父、
霊力をもつという「拝み屋」の少年など、一癖二癖もある
脇役たちも縦横無尽に神出鬼没。人情と季節感にあふれた時代小説。
■感想 ☆☆☆☆
これぞ、宮部さん!と喝采をあげたくなる人情もの。
読んでいるうちに、登場人物の肌の温度が伝わってくるような
気がしてくるほど身近に感じられる人たちばかり。
「謎」というよりは「事件」、それも殺人事件など、むごい犯罪を
扱っているのに、「本所深川」や「堪忍箱」のような苦い後味は
感じさせない。どちらかというと、読み終わった後に、心が
ほんわかと暖かく感じられる。
それはひとえに、主人公の茂七親分の人柄によるところなのだろうと
思う。彼のあたたかさ、人間の大きさが作品世界に大きな影響を
及ぼし、この作品の温度を暖かく、触れ心地の良いものに
している。そして、この空気、この温度が謎を主軸に起き、
謎明かしで終わるこの作品を「推理小説」ではなく「人情もの」
にしている。
惜しむらくは、要所要所に登場する稲荷寿司屋の親父。
決して、余計な言葉を発することはないけれども、おそらく
最も早く事件の真相に近付いているのは彼にちがいない、と
思わせてくれる名脇役だが、彼についての謎は解明されず
「不思議」を残したまま、作品は終わる。
あとがきで作者が「続編があります」と伝えてくれてはいるものの
未だに発行されてはいない模様。
早く続きが読みたいです!
■ストーリ
鰹、白魚、鮭、柿、桜・・・。江戸の四季を彩る「初もの」が
からんだ謎、また謎。本所深川一帯をあずかる「回向院の旦那」
こと岡っ引きの茂七が子分の糸吉や権三らと難事件の数々に挑む。
夜っぴて屋台を開いている正体不明の稲荷寿司やの親父、
霊力をもつという「拝み屋」の少年など、一癖二癖もある
脇役たちも縦横無尽に神出鬼没。人情と季節感にあふれた時代小説。
■感想 ☆☆☆☆
これぞ、宮部さん!と喝采をあげたくなる人情もの。
読んでいるうちに、登場人物の肌の温度が伝わってくるような
気がしてくるほど身近に感じられる人たちばかり。
「謎」というよりは「事件」、それも殺人事件など、むごい犯罪を
扱っているのに、「本所深川」や「堪忍箱」のような苦い後味は
感じさせない。どちらかというと、読み終わった後に、心が
ほんわかと暖かく感じられる。
それはひとえに、主人公の茂七親分の人柄によるところなのだろうと
思う。彼のあたたかさ、人間の大きさが作品世界に大きな影響を
及ぼし、この作品の温度を暖かく、触れ心地の良いものに
している。そして、この空気、この温度が謎を主軸に起き、
謎明かしで終わるこの作品を「推理小説」ではなく「人情もの」
にしている。
惜しむらくは、要所要所に登場する稲荷寿司屋の親父。
決して、余計な言葉を発することはないけれども、おそらく
最も早く事件の真相に近付いているのは彼にちがいない、と
思わせてくれる名脇役だが、彼についての謎は解明されず
「不思議」を残したまま、作品は終わる。
あとがきで作者が「続編があります」と伝えてくれてはいるものの
未だに発行されてはいない模様。
早く続きが読みたいです!