のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

誤解です

2008年10月09日 07時49分17秒 | 日常生活
毎年恒例、新人さんとの面談シーズンです。
今年の新人さんは45人。
ひとり30分時間をとって、仕事内容や人間関係について伺います。
配属されて4ヶ月もたつと、状況は様々。
順調に環境に慣れていたり、
予想外に苦戦していたり
大変そうだけど、充実している感じが伝わってきたり
先輩に理不尽な対応を受けていたり。
当たり前のことながら、45パターンの「4ヶ月」があるわけで
笑ったり、楽しんだり、おもしろがったり、心配したり、憤慨して叫んだり、
感情的に忙しい30分を過ごしています。

とはいえ、周囲から見ると、
そして別に悩みなんてない新人さんから見ても
単なる雑談と錯覚してしまいがちな30分でもあります。

昨日も新人さんとの面談を実施していると、
隣の打ち合わせスペースに隣の課の先輩の姿が見えました。
見知った顔に少し緊張するワタクシ。
本日の面談は雑談と間違えられる心配なんてない少し重ための内容。
となると、今度は面談内容が聞こえてないかしらー、とそちらも心配になるわけで。

案の定、席に戻ると、先程の先輩が話しかけてきました。
「さっき、二階でさー。」
やっぱり内容、聞こえてました!?
心配になりますよね。
気にかけていただいちゃって・・・。

「のりぞうくん、新人に説教しよったやろ?
 新人、申し訳なさそうに聞きよったもんね。
 厳しく言うときは厳しく言うんやな、と驚いたよ。」


面談内容が聞こえてなかったようで何よりです。
雑談に見えてなかったことも喜ばしいことです。
でも、でも!
と釈然としない思いもちらり。
人の心は色々とフクザツです。

髑髏城の七人

2008年10月09日 00時08分59秒 | 舞台(キャラメルボックス)
■劇団新感線「髑髏城の七人」
■脚本:中島かずき
■演出:いのうえひでのり  
■キャスト
 古田新太、水野美紀、佐藤仁美、坂井真紀、橋本じゅん
 河野まさと、川原正嗣、佐藤正宏、山本亨、梶原善

■ストーリ ☆☆☆☆☆
 天正18年、本能寺の変で織田信長が明智光秀に討ち取られてから
 8年が経過した時代。
 天下統一を目前とした豊臣秀吉の支配がいまだ届いていない関東は、
 「天魔王」と呼ばれる仮面の男が率いる「関東髑髏党」に支配されていた。
 なりゆき上、関東髑髏党に追われていた少女、沙霧(さぎり)を助けた
 「玉ころがしの」捨之介(すてのすけ)は、偶然知り合った
 「牢人」狸穴二郎衛門(まみあなじろうえもん)とともに、旧知の
 無界屋蘭兵衛(むかいやらんべえ)を頼って色街「無界の里」へと向かう。
 しかし、無界の里で沙霧を匿ってもらおうと思っていた矢先、
 里は髑髏党の襲撃を受けてしまう。
 天魔王と戦うことを決意する捨之介たち。
 果たして捨之介や蘭兵衛と天魔王との因縁とは?

■感想
 前回「メタルマクベス」で新感線の舞台に感銘を受けたものの
 「でも、前回は脚本がクドカンさんだったし。キャストも豪華だったし。」
 と、まだ新感線自体の魅力については半信半疑のまま、
 新感線さんの代表作と言われている「髑髏城の七人」を鑑賞。
 幕間で我にかえり、確信した。
 私は新感線の作り出す世界がとてつもなく好きだ。

 徹頭徹尾「エンターテイメント」と「分かりやすさ」にこだわった姿勢や
 舞台への想いはキャラメルと共通するものを感じる。
 しかし、提供されるものはまったく異なる。
 スケールの大きさ、躍動感、勢いすべてが破格だ。
 キャラメルは良くも悪くも「親近感を覚える舞台」。
 ファンタジー作品が多いのに、「身近な世界」を感じさせられるものが多い。
 でも新感線は「まったく異なる世界」だ。
 現実世界をすべて忘れて、目の前に提供される世界に入り込んでしまう。

 広い広い舞台に作り込まれた世界で颯爽と走り抜く役者たち。
 彼らが本当に「全力で走っている」姿を見て、
 私が今まで見ていた舞台とはそもそもスケールが全く違うのだと思い知った。

 「髑髏城の七人」。
 織田信長亡きあとに、織田信長が目指した世界を夢見続ける影武者。
 彼の野望を打ち砕くために立ち上がる七人。しかし、誰が「七人」なのかは
 舞台の中盤過ぎまで、予測がつかない。誰が味方で誰が敵なのか。
 誰が立ち上がり、時代に刃向かうのか。
 時代に翻弄され、大切な人を失っていく登場人物たち
 それでも自分の信じる者を守り続けようとあがき続ける登場人物たちに
 胸が熱くなる。

 主役を演じる古田新さんのかっこよさに鳥肌が立った。
 古田さんは大好きな役者さんだけれど、今まで一度たりとも
 「かっこいい」なんて思ったことなかったのに。
 彼の表情や立ち居振る舞いから立ち上る色気とか、
 切れ味のよいアクションが与える美しさに目が離せなかった。
 すごい。とにかくすごい。

 そして、愛すべきキャラを楽しそうに演じていた橋本じゅんさん。
 たまにドラマで癖のある役柄を演じているところをお見かけして
 いたけれど、今回もやっぱり癖がある人物。
 でもたまらなくかわいらしい。
 きっと、こういう役柄が持ち味なんだろうな。
 田舎出身の単なる百姓。品性とは無縁だけれど、
 そこらへんの武士より数千倍も武士としての心構えや信条を
 持ち合わせている。弱きを助け、強きをくじくことができる。
 賢くはないし、かっこ悪いところもたくさんある。だけど、かっこいい。
 中盤で彼が見得を切るところがクライマックス開始の合図だった。
 「よし、行こうじゃないか。七人で。
  まさか天魔王もこの七人が何かできるとは思うまい。
  あいつが相手にもしなかった雑魚の力を思い知らせてやろうぜ。」
 そして、七人は私たちに背を向け、舞台の奥に向かうのだ。
 7人が並んで背中を向けるので、こちらに表情は見えない。
 なのに、間違いなく七人の熱い視線が見えるこの場面で鳥肌が立った。

 「いのうえ歌舞伎」と言われているこの舞台では
 役者たちが歌舞伎を思わせる見得の切り方や立ち居振る舞いを披露し
 それら様式美の美しさ、力強さが舞台に与える迫力を見せ付けてくれる。
 もう一度見たい、そう思った作品だった。