□いつか陽のあたる場所で
□火曜夜22時NHK放送
□出演
上戸彩、飯島直子、斎藤工、浅野温子、藤田朋子、大東駿介
松金よね子、竜雷太、前田吟、阿南健治、藤吉久美子、江波杏子
□お気に入り度 2012年度冬クール2位/4作品
□ストーリ
小森谷芭子(上戸彩)はホストクラブで働く亮(松下洸平)にお金を貢ぐため、
出会い系サイトで知り合った男性を睡眠導入剤で眠らせた上で金銭を奪う犯罪を
繰り返した末に逮捕される。裁判で懲役7年の実刑が下り、北関東女子刑務所に服役中、
同じく服役囚の綾香(飯島直子)と知り合う。綾香は家庭内暴力を繰り返す夫から
子供を守るために、夫を殺していた。
刑務所を出たふたりは下町で肩を寄せ合い生きていく。
□感想
NHKさんならではの丁寧なつくりのドラマで、安心して最後まで見ることができました。
もし、私の身近な人が犯罪を犯して刑務所に入ってしまったら、私はどういうふうに
その人を迎えるんだろう?やはり知り合いだと思われたくなくて、隠してしまうんだろうか?
家族でも、家族だからこそ、隠したい、と思ってしまうんだろうか?
そういうことを考えさせられるドラマでした。
たぶん、私は、身近な人ではなく、まったく知らない人が「元犯罪者」だと知ったら
疑いもせず「こわい」と思ってしまうと思うのです。どうして犯罪を犯してしまったのか
とかその敬意を知ろうともせず、その人と距離をとる気がします。
差別をしているという意識もないまま、無意識のうちに差別をしてしまっている気がします。
では、それが家族だったら?
何度考えても、まったく答えは出ませんでした。
このドラマを見て、何度も思い出したのは、東野圭吾さん原作の映画「手紙」でした。
「手紙」の中で、主人公はお兄さんが殺人事件の犯人というだけで、いわれのない
差別を受け続けます。自分は何も悪いことをしていないのに。そんな主人公に
働いている会社の会長が諭すように言う言葉が何度も頭をよぎりました。
「今の君は辛いだろう。何でおれが差別されなきゃいけないんだ、と思うだろう。
でも、君が差別されるのは当然なんだ。人には防衛本能があるんだから。
犯罪から少しでも遠ざかりたいと思ってしまうんだ。
お兄さんはそこまで考えなきゃいけなかった。自分が罪を償えば、それでいいというわけではない。
お兄さんが犯罪を犯すことによって、君までもがどれだけ苦しめられるか、傷つけられるか、
そこまで考えなきゃいけないんだ。」
それでも、このドラマでは、ふたりは一生懸命に前を向こうとしていき、そんなふたりを
下町情緒溢れる温かい雰囲気の町が少しずつ受け入れてくれる。そんな素敵な循環が見られる
ドラマでした。ドラマだから、フィクションだから、かもしれないけれど、でも、
人はわかってくれる人、寄り添ってくれる人がいたら、強くなれる。
「明日」は絶対にあるから、ここからまたやり直せる。そういうふうに前向きになれる作品でした。
そっか。「家族」だと距離が近すぎて、かえって寄り添うことが難しいのかな。
特に母親と娘は距離が近いから。双方に愛情を抱いているのに、その愛情をうまく伝えられない関係が
切なくてもどかしくて、すごく現実味があった気がします。親子だから素直になれないっていうのは
身につまされる設定でもありました。
竜雷太さん、前田吟さん、そして、江波杏子さん、ベテラン勢の演技がこの作品に重厚感と
説得力を与えてくれていました。主人公ふたりへのあからさまではない、これみよがしではない優しさ。
気付くか気付かないかの距離感でそっと寄り添ってくれている人たち。
こういうことができるのが年の功なんだろうな、と思いました。
こういうふうにそっと寄り添える年配者になりたいな、と思いました。
□火曜夜22時NHK放送
□出演
上戸彩、飯島直子、斎藤工、浅野温子、藤田朋子、大東駿介
松金よね子、竜雷太、前田吟、阿南健治、藤吉久美子、江波杏子
□お気に入り度 2012年度冬クール2位/4作品
□ストーリ
小森谷芭子(上戸彩)はホストクラブで働く亮(松下洸平)にお金を貢ぐため、
出会い系サイトで知り合った男性を睡眠導入剤で眠らせた上で金銭を奪う犯罪を
繰り返した末に逮捕される。裁判で懲役7年の実刑が下り、北関東女子刑務所に服役中、
同じく服役囚の綾香(飯島直子)と知り合う。綾香は家庭内暴力を繰り返す夫から
子供を守るために、夫を殺していた。
刑務所を出たふたりは下町で肩を寄せ合い生きていく。
□感想
NHKさんならではの丁寧なつくりのドラマで、安心して最後まで見ることができました。
もし、私の身近な人が犯罪を犯して刑務所に入ってしまったら、私はどういうふうに
その人を迎えるんだろう?やはり知り合いだと思われたくなくて、隠してしまうんだろうか?
家族でも、家族だからこそ、隠したい、と思ってしまうんだろうか?
そういうことを考えさせられるドラマでした。
たぶん、私は、身近な人ではなく、まったく知らない人が「元犯罪者」だと知ったら
疑いもせず「こわい」と思ってしまうと思うのです。どうして犯罪を犯してしまったのか
とかその敬意を知ろうともせず、その人と距離をとる気がします。
差別をしているという意識もないまま、無意識のうちに差別をしてしまっている気がします。
では、それが家族だったら?
何度考えても、まったく答えは出ませんでした。
このドラマを見て、何度も思い出したのは、東野圭吾さん原作の映画「手紙」でした。
「手紙」の中で、主人公はお兄さんが殺人事件の犯人というだけで、いわれのない
差別を受け続けます。自分は何も悪いことをしていないのに。そんな主人公に
働いている会社の会長が諭すように言う言葉が何度も頭をよぎりました。
「今の君は辛いだろう。何でおれが差別されなきゃいけないんだ、と思うだろう。
でも、君が差別されるのは当然なんだ。人には防衛本能があるんだから。
犯罪から少しでも遠ざかりたいと思ってしまうんだ。
お兄さんはそこまで考えなきゃいけなかった。自分が罪を償えば、それでいいというわけではない。
お兄さんが犯罪を犯すことによって、君までもがどれだけ苦しめられるか、傷つけられるか、
そこまで考えなきゃいけないんだ。」
それでも、このドラマでは、ふたりは一生懸命に前を向こうとしていき、そんなふたりを
下町情緒溢れる温かい雰囲気の町が少しずつ受け入れてくれる。そんな素敵な循環が見られる
ドラマでした。ドラマだから、フィクションだから、かもしれないけれど、でも、
人はわかってくれる人、寄り添ってくれる人がいたら、強くなれる。
「明日」は絶対にあるから、ここからまたやり直せる。そういうふうに前向きになれる作品でした。
そっか。「家族」だと距離が近すぎて、かえって寄り添うことが難しいのかな。
特に母親と娘は距離が近いから。双方に愛情を抱いているのに、その愛情をうまく伝えられない関係が
切なくてもどかしくて、すごく現実味があった気がします。親子だから素直になれないっていうのは
身につまされる設定でもありました。
竜雷太さん、前田吟さん、そして、江波杏子さん、ベテラン勢の演技がこの作品に重厚感と
説得力を与えてくれていました。主人公ふたりへのあからさまではない、これみよがしではない優しさ。
気付くか気付かないかの距離感でそっと寄り添ってくれている人たち。
こういうことができるのが年の功なんだろうな、と思いました。
こういうふうにそっと寄り添える年配者になりたいな、と思いました。