太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

「東京タラレバ娘」

2015-12-28 20:19:49 | 本とか
本の感想に、漫画が出てくるとは思わなかった。

文章を読むほうがずっとおもしろいし、絵で出てくると想像力を働かせる楽しみがなくなると

勝手な理由をつけて、大人になってからはほとんど漫画を読んでいない。



これは日本で会った友人が教えてくれた。

日本ではほぼ毎日書店に通っていたのだが、

ふと友人の話を思い出し、ハワイでは買えないと思って4巻すべてを買った。




これが、おもしろかった。

寝る間も惜しんで2日で4巻を読み終えた。


33歳の独身女性が3人。

それぞれに仕事を持ち、つまらない男と結婚してゆく仲間を笑いながら、

いつか自分はもっとでっかい幸せをつかむのだと信じていた。

そして、それはいつでも可能なのだと思っていた。

ところが気づけば、すべては遅すぎた。

容色も、仕事の能力も、年齢も、すべてが「およびでない」ことに気づく。

東京オリンピックまでには幸せになると息巻き、

3人は何かといっては女子会と称して居酒屋で呑んだくれる。

あの時ああして「たら」幸せになったのに、好きになってくれ「れば」うまくいくのに、

と、タラとレバを繰り返す。



漫画だから、漫画チックな設定もおおいにあるんだけれど、

3人の心模様がリアルで、そのリアルさが胸に痛い。

ただ、33歳というのは、まだまだ若いと私は思うけど。



恋愛の先には結婚があり、結婚の先には出産がある。

いくつになっても勢いで恋愛はできるが、結婚はそうもいかなくなってくる。

出産となれば尚更だ。

それに年を重ねたぶん、許せることよりも許せないことの方が増えていくようで、

幸せになりたいだけなのに、カラまわりすることが多くなってゆく。

10年前の自分にタイムマシンで会いに行き、「ここで妥協しとけ!」

と説得したい、という場面がある。

それでも尚、この後に及んで妥協できない自分が嫌になる。

切ない。




私が世間に放り出されたのは42歳だったから、この3人よりも遥かに最悪だったと思うが、

私がラッキーだったのは、いきなりスピリチュアルに飛び込み、一般世間を見ることなく

ひたすら自分とだけ向き合ってきたことだろう。

そうでなければ、私も悶えながらタラレバしていたに違いない。


恋愛も結婚も出産も、してもしなくてもいいと思う。

すれば、したなりの、しなければしないなりの学ぶことや幸せがあるからだ。

出産に関しては、子供がいない私には何とも言えないが、

結婚は、結婚という契約をしない生き方だってある。

したら幸せになれるのに、してないから幸せではない、と思うこと自体が不幸なことで、

もちろん私も、さんざんそこを通ってきたわけだけれど、

その真っ只中の嵐の中で途方に暮れる、気なげな女子たちの、

ハチャメチャでしんみりとくる物語。




「東京タラレバ娘」 東村アキコ



出ている分だけ買ったはいいが、続きが気になってしまい、

少々後悔している。




にほんブログ村 海外生活ブログ 海外移住へにほんブログ村