太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

訴訟とか

2024-05-08 08:56:10 | 日記
徒歩通勤している日本人の友人が、家を出てすぐのところでピットブルを散歩させている女性の横を通り過ぎた際に、突然犬にアタックされて転んでしまった。
ジャケットのポケットあたりを噛みつかれ、ポケットはビリビリに裂けて、ジーンズにも穴があいた。
転んだときにこめかみと頭を打ち、右ひじを派手に擦りむいた。
飼い主の女性は、友人を助け起こすどころか、車の陰に隠れてしまって出てこない。
友人がまだ家にいる娘に電話をかけると、娘が飛び出してきて、飼い主を見張りつつ警察に通報。
救急車と警察官がやってきて、友人は救急車内で手当てを受け、警察官は隠れていた飼い主に事情聴取。

何が心配といって、彼女は2月に日本で首の骨の手術を受けたばかりで、しかもガラスの腰の持ち主。
転ぶことが1番よくないというのに、こんなに派手に転んでしまい、首と腰への影響が心配である。


友人は咬まれたこともそうだが、飼い主が逃げたことがショックで、警察官に「告訴するでしょ?」と聞かれ、「もちろん!」と答えた。
私も友人も、訴えたことも訴えられたこともないので、その知識がまるでない。
だから、告訴するということは、相手に慰謝料を請求することだと思っていたのだけれど、情報を集めてみたら、

【告訴】
犯罪による被害者またはそれに準ずる者が,捜査機関に対して犯罪事実を申告し,犯人の処罰を求める意思表示をすること。

つまり、そこで課された罰金(この場合だいたい70万円ぐらいらしい)は州に収められ、被害者には1ドルも支払われない。
慰謝料を請求するには弁護士を通して民事訴訟にしなければならないらしい。

弁護士の報酬を鑑みれば、それなりの金額を請求することになる。友人としては、なにもそこまでしなくても、ただ謝罪と、治療費と、洋服の弁償をしてもらえばいいと言うのだが、そこで娘が一喝。

「そんなお人よしでどうすんの。逃げたのは重い罪なんだから、もらえるものは貰わなきゃ気が済まないでしょ!」

4歳から19年、アメリカで育った娘は、すっかりアメリカ人だ。
とりあえず弁護士を紹介してもらったというのだが、どうなることやら。


アメリカは訴訟大国だと言われていて、道で倒れた人を助けようとして体に触れたら、そのせいで具合が悪化したと訴えられた、などという嘘かホントかわからないような逸話があるが、ハワイにおいては、それほど世知辛くもないと思う。
それでも、多くの弁護士がテレビのコマーシャルを打っているし、私が知らないだけで、訴訟は案外日常茶飯事のことなのかもしれない。



擦りむいた腕の傷が熱をもってきて、怖くなったので病院に行ったら、内側で化膿していたそうだ。
1月にも、オアフの西海岸で子供がピットブルに腕を咬まれて100針縫った事件があった。
そのピットブルは人に慣れていて、家でも子供相手に穏やかな犬だったという。だから飼い主は、犬に触りたい子供に「この犬は穏やかだからいいよ」と言ったのだそうだ。
ピットブルは闘犬として誕生した犬種で、いつどこでスイッチが入るかわからないといわれている。
でも、犬が悪いのではなくて、ちゃんとしたトレーニングと正しい飼い方を怠った飼い主が悪いと思う。

友人の場合も、触ろうとしたのではなかったのに襲われて、飛び掛かる犬を引き止める力のない女性がひとりで散歩をさせていたのだから、危機管理が甘かったのではないだろうか。



「まったくなんで私がこんな目にあうの。あの日だって親に感謝しながら家を出たのに。いったいこのことになんの意味があるっていうのさ!」

気持ちはわかる。
でも、起こることは起きてくる。
意味をいくら考えたところでわかりっこないし、わかったところで起きてしまったものはどうしようもない。
ホームレスの人の犬に咬まれたという事故もあったし、100針縫った子供のことも思えば、いくらかの祝福も、そこにみつけられないこともない。

とにかく、友人の首と腰に悪い影響が出ないことをひたすら祈る。







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