太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

天使に出会った実話 5

2023-05-10 07:16:32 | 天使に出会った実話
Carmel Reilly著『True Tales of Angel Encounters』より



キャサリン(28)マンチェスター イングランド

私の最初の子供、とても美しい女の子は早産で生まれ、しばらく特別保育器で過ごさねばならなかった。初めの数日は私の体力的なこともあり、会うことも叶わなかった。初めて彼女を見たとき、その小ささと、それでいて完璧さに胸が熱くなった。壊れそうに細い腕に点滴の針が刺さり、保育器の中はほどよく温まって、ハンカチほどの大きさのニットにその身体が包まれていた。
そのニットは誰かが編んでくれたもので、私は自分の子供が誰かの愛に包まれていることに感謝した。

面会できるようになって数日は、できるだけ彼女のそばにいた。
その時私はたったの16で、子供の父親は関わるのを嫌がって近寄らなかった。私の両親が可能な限り顔を出してくれたが、ほとんどは私と、まだ名前もない私の子供だけだった。
ナースたちはみなとても親切で、15分おきに声をかけ、様子を見、献身的に世話をしてくれた。

何日目かに、新しいナースがやって来た。ナースは点滴を取り換えたりの作業のあと、私の隣に座った。ナースがそんなことをしたのは初めてだった。
ナースは「アンナ」という名前だと自己紹介し、それ以外はあまり語らず、ただ一緒に子供を見つめていた。
アンナが仕事に戻る前に、その手のひらを保育器の、子供の頭があるあたりにそっと当てた。
すると、子供はスっと目を開き、顔をアンナの手のひらのほうに動かしたので驚いた。私は彼女が目をあけるのも、ましてや自力で首を動かすのも見たことがなかったから。
アンナは微笑んで、私の両肩を軽く揉むようにしてから部屋を出て行った。

その後1週間、毎日午後になるとアンナはやって来て、私の隣に座った。
アンナはいつも手のひらを保育器にあて、そうすると子供は必ず目を開いて、顔を手の方に向けるのだった。最初は私を見、次にアンナを見る。その時、私は言いようもない幸福感に包まれた。

子供が生まれて10日後のこと、私が保育器に行くと、子供は布の紐で縛られ、上体が浮くようにされていたので、私は驚くとともに怒りが湧いてきて、担当のナースに苦情を言った。
するとそのナースは、こうでもしないと点滴のコードを安定させられないんだと、しゃあしゃあと言い、大きな音を立てて部屋を出て行った。そして、ナースステーションでそのナースが、大声で、私は厄介な母親だと悪口を言い、笑っているのが聞こえてきた。
数分後、アンナが来て、子供を見ると微笑んで、紐をはずし、ベッドに寝かせた。
アンナがいつものように手のひらを保育器にあてると、子供はその小さな手の指を伸ばしてきた。
「この子はもう大丈夫ね」
そう言って、部屋をあとにした。

その翌日、アンナは現れなかった。
私は他のナースに、今日はアンナは休日なのかと聞いてみた。するとナースは、アンナという名前のナースはいない、と言う。そして、私がストレスのために幻覚を見たのだろうと言った。

私は急いで保育器に戻り、確信した。アンナは天使で、子供がちゃんと生きられるように助けに来たのだと。
それきり、アンナには会っていない。少なくとも、見てはいない。
というのも、子供は時々、突然目をあけて、指を伸ばして何かをさぐるようなしぐさをすることがあり、きっとその時にはそばにアンナがいるのだろうと思う。

6週間後、私と子供は退院した。
娘は今元気な12歳で、名前をアンナという。






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