太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

魚焼き網を買う

2024-03-26 07:47:38 | 食べ物とか
食材や日用品の買い物担当は、ほぼ夫である。
週に1度の日本食スーパーへは、私が仕事の土曜日に行き、普段は朝が早い分、私より早く帰宅するので、追加で必要なものを買ってくる。

「今日、いいもの買ったよ、なんだと思う?」

地元のスーパーに寄って来た夫が、うやうやしく冷蔵庫から取り出したもの。

「ジャーン!HAMACHI!」

ハマチの切り身。
何年も前に、日本の居酒屋で「ハマチのカマ」を食べた夫は、すっかりハマチのファンになった。
私もハマチは好きで、日本食レストランではハマチのお刺身を頼む。
日本食スーパーに行けば、ハマチがあることもあるけれど、地元スーパーで見かけたことはない。
奇跡的に、たった一つだけ他の魚に紛れていたのを見つけたという。

「これは居酒屋風に香ばしく焼いて食べたいよね」

庭にはバーベキューグリルがあるが、七輪のようなもので焼きたいではないか。
我が家はオール電化なので火がないが、先日、防災用に買ったカセットコンロがある。さっそく日本食スーパーに行って魚焼き網を買ってきた。


使用後に映したので、洗ったけど落ちきれない汚れが残っている・・・・

これを直接ガスコンロの上に置いて使う。
今まで、干物などを焼くときにはトースターかフライパンを使っていた。
それでもまあまあ、魚は焼けるのだが、網で焼くとなんだか違う。
魚の端っこから、チリチリと焼けてきて、香ばしいかおりがたちのぼる。

今夜のメニュー

・ハマチの塩焼き
・わかめときのこのスープ
・茹でブロッコリー
・なます

「居酒屋の味だー!」
夫は大興奮。
ほんとにびっくりするほど、美味しかった。
これが、2800円ぐらいのサーモンや、1400円ぐらいのアヒに比べて、600円もしないのだ。
しめしめ、地元民はハマチの良さを知らないのだな。

「今後も魚売り場でハマチを見つけ出すように」

買い物担当の新たな使命である。



めんどりの中のめんどり

2024-03-19 07:16:17 | 日記
私の職場は、広大な自然の中にある。
一応、ちゃんと管理も手入れもされているのだが、1日の大半は人間の気配がない。
さきごろ管理者がマングースを駆除したかなにかで、今はニワトリのベビーラッシュである。ヘビがいないハワイでは、鳥の天敵はマングースなのだ。
1羽のママに、9~12羽のちっこいヒヨコという家族が、いくつも走り回っている。

まだ尻尾もないような小さいヒヨコたちは可愛くて、癒されるのだけれど、好奇心が強いあまりに兄弟たちとはぐれてしまうヒヨコや、具合が悪そうなヒヨコを見ると胸が痛む。

先日、お店を施錠して帰るとき、1羽の黒っぽいヒヨコが母親を探して鳴いている。
1時間ほど前から、声だけは聞こえていた。
まだ尻尾もない小さいヒヨコなのに、高くてよく通る声で鳴く。
このまま見過ごして帰ることなどできようか。
建物の反対側にまわってみたら、同じような大きさのヒヨコをたくさん連れたニワトリを発見。
きっとそれが家族に違いない。鳴いているヒヨコを捕まえようとするが、怖がって逃げ回る。
「おかあさん、みつけたよ。みんなアッチにいるから連れていってあげるよ」
声をかけながら追いかけて、やっとのことで捕獲した。手のひらの窪みにすっぽりおさまるほどの小さな命。
家族のもとにヒヨコを戻し、晴れて今夜は眠れるぞと帰宅した。


数日後、同僚が

「あのヒヨコ、違う家族のヒヨコだったみたいよ」

と言う。
動物好きの同僚は、どのニワトリにいくつのヒヨコがいる、というのを把握していて、私がヒヨコを返した(と思っている)ニワトリのヒヨコの数が1羽多いというのだ。

「でもね、あのママは偉い。ちゃんと面倒みてるもの」

一般的に、ニワトリはよそのヒヨコには冷たく、くちばしで突っついて追い払ったりする。
それなのに、そのママは、よそのヒヨコを自分の子供と同じに羽の下にいれたりしているというのだ。
ニワトリにも個性があって、情が厚いのもいれば、そうでないのもいるのだろうか。

私はそれを聞いて感動し、そのニワトリのママに走り寄った。

「アンタは偉い!めんどりの中のめんどりだよ!ありがとう、ありがとう!」

しゃがんで拍手を送った。
ニワトリのママはどこ吹く風だったけれど、私はそのママにめんどり界のMVPを送ってあげたい。




砂糖断ちしたら

2024-03-18 07:34:47 | 日記
10日前に、砂糖断ちをした。
右腕にできたエグゼマ(湿疹)が、なかなか治らない。
これは2年前に太ももを中心にしてできた湿疹と同じもので、素人判断でリングワームだと思って、感染しないように朝晩しっかりシャワーを浴びて、固形石鹸でよく洗い、1度着たものは洗濯し、1本1500円もするクリームを塗っていたのだが、治るそばから新しいのができた。
思い余って皮膚科に行ったら、チラ見1秒で

「エグゼマだね」

と医者は言い放ち、加齢による乾燥で発生するものだということを得意げに付け加えた。
もちろんそれは感染はせず、固形石鹸で洗うなどもってのほかで、保湿性のある液体ソープで洗い、必ずあとで保湿をすること。
私はその反対を一生懸命やっていたのだから、治るはずがなかった。

加齢と言われておもしろくはなかったが、ソープを替え、保湿もしっかりしていたら、おさまった。
が、たまにいい加減に保湿をすると、出てくる。
出てきたときは、例の薬クリームを塗ると治る。

それが最近、腕にできたのが、治らない。
クリームを塗ると、余計にその部分が盛り上がったようになって痒くなる。
そんなとき、砂糖断ちをしたら肌がきれいになった、という話を聞いた。
腕とはいえ、肌には違いないので、やってみることにしたのだ。


砂糖断ちといっても、料理に使う砂糖はカウントせず、土曜日に夫が日本食スーパーで買ってくる「みたらし団子」や、「大福もち」や、砂糖のかかったおせんべいをやめた。
職場で誰かが持ってくるドーナツやケーキなどの甘いお菓子もやめた。
夕食後の口寂しさには、固い醤油せんべいの小さいのを1枚、ゆっくり食べる。

ところが、砂糖断ちを宣言した日、職場にくる日本人のツアーガイドさんから、かりんとうをいただいた。
黒糖や白いのが混ざった、上品なかりんとうは私の好物。
「あぁ、なんで、今・・・・?」
私の周囲に、かりんとうの美味しさがわかる人は皆無で、私は泣く泣く、手を合わせながら捨てた。

そうしたら、定期的にハワイを訪れる友人が、山陰地方の銘菓を持ってきてくれた。
求肥の入った、これも私の好物。
日本からわざわざ持ってきてくれたことを思えば捨てられるはずもなく、冷凍庫の奥深くに入れて、晴れて解禁になるときを待つ。


あれから10日たった。
甘いものが無性に食べたくなるのは、3日目ぐらいまでで、そのあとは少しずつ慣れていく。これはたぶん、食べる癖がついていただけなのかも。
腕の湿疹は、ほぼ完治。
これが砂糖断ちによるものか、ただ治る時期だったのかは不明で、なんともいえないのだが、もう少し続けてみようと思う。







そば3つ

2024-03-15 07:49:00 | 日記
父が亡くなって、しばらくした頃、妹が友人と二人で蕎麦屋に行ったときのこと。
その店は、父が生前贔屓にしていたので、

「ここはお父さんが好きでね、よく一緒に来たよ」

と、軽く父の思い出話などをしているところに、お店の人が注文した蕎麦を乗せたお盆を持ってやってきた。

「お待たせしましたー」

友人に一つ、妹に一つ、そしてお盆には蕎麦がもうひとつ。

「あれ」

お店の人は動揺していて、その動揺ぶりに妹たちも動揺した。

「し、失礼しました・・・・」

残った蕎麦を持ったまま、あわてて厨房に小走りで去っていった。




「お父さん、そこにいたんだねー」

その話を聞いて、私が言った。

「うん、いたんだと思う。お店の人には見えたんじゃないのかな」

父は生涯、痩身で、ふっくらした父を見たことはなかったが、食べることが好きだった。
そうはいっても、グルメだとか食べものについてうるさいということでは全くない。
好きなものは毎日でも食べ続けられるタチで、それがオジヤであったり、うどんであったり、会社の隣りのコンビニで買ってくるジャムパンだったりと、中身はB級、C級である。
ただ、一人で食べることを嫌い、食べるときには本当に美味しそうに食べた。


父の晩年、私たちが帰国するとよく実家の近くの蕎麦屋に出かけた。
一応、メニューを見る。そしていつも頼むのは天南。
車いすを2個、車に積んで、伊豆の桜を見に両親を連れて行ったときも、蕎麦屋に寄って、父は天南を食べていたっけ。


その日、妹の隣りで、天南を待ってニコニコとしている父の姿が目に浮かんでくる。





違いがわからない残念なわたし

2024-03-05 10:40:02 | 日記
この化粧品を使ったら、肌がつるっつるになった。
とか、
このシャンプー使うと、髪の手触りが全然違う。
とか、
そういう情報を知ると、それが入手可能であれば使ってみることがある。
しかし、失敗だったということもなければ、「うわー!ほんとだー!」という目にあったこともない。

20年ほど前、友人の影響で、短期間だったがブランドコスメに足を突っ込んた時期があった。
シャネルのチークやアイシャドウもいろいろ持っていたし、1本何万円もする美容液を買ったこともあった。
が、しばらくしたら熱が冷めた。
シャネルのアイシャドーと、ドラッグストアのアイシャドウの違いが私にはわからない。
何万円もする美容液と、2500円ぐらいの美容液の違いがわからない。
何を使っても、可もなく不可もなし。

もともと肌は丈夫で、温泉に備え付けの乳液や化粧水を使っても荒れたことなどないし、基礎化粧品を持ってくるのを忘れて山奥の小さな宿に泊まったとき、そこはアメニティもなく、売店にも売っていなかったので、苦し紛れにリップクリームを顔に塗りたくったが、大丈夫だったほどだ。

丈夫なおかげで、ひどい目にあうことなく過ごしてきたが、どんなに違いがわからずとも、もっとキレイになるものを探さずにはいられないのがオンナゴコロというもので、懲りない。

違いがわからないのは化粧品だけじゃない。
たとえばワイン。
私はお酒を飲みたくて飲んだことはなく、その場の流れや雰囲気で付き合う程度だ。ビール1杯で眼の縁が赤くなり、お腹の皮膚の色が斑になって痒くなるタチ。
この2年ほどは、夫もすっかりお酒をやめたので、ますます飲む機会がない。
先日、ビーフシチューを作るのに赤ワインを買いに行った。
ドボドボ使うんだから安いのでいい、と思って、並んでいる中の1番安いのを手に取ったら、夫が、

「シチューだったら、どっしりした風味のこっちのほうがいいんじゃないの」

と言って、別のワインを持ってきた。
私は素直にそれを買ったけれど、『どっしりした風味』って、いったいなんなんだ。
どっしりしてない味って、なに?
ワインなんて、赤か白かピンクのどれかでしょ。
そりゃ、ポートワインは甘いぐらいはわかるけど、通が言うような、
『んー、トップノーズはカシス。そしてなめらかなヴィロードのようなタンニンが味わい深くあとをひくわね』
なんていうのを聞くと、本当にそういう味がするのか、と不思議に思う。


化粧品バッグの中に、20年前のシャネルのチークが1つ残っている。
中身を整理するたびに、捨てようと思って開けてみるが、割れてもおらず、カビてもいないので、なんとなく残してある。
チークに消費期限なんてあるのかな。
ま、20年も持っている人なんかいないだろけど。