『落日』はドリルで目標の点数がとれないからと、母親にベランダに出されてしまう小さな女の子のエピソードから始まります。
2008年、「告白」でデビューし、多くの読者を獲得して以来、常に話題作を世に送り出してきた湊かなえさんの10周年の区切りとなる書下ろし長編。
発行は2019年と、1年遅れましたが、これからの10年の決意表明も込めたそうです。
「映画製作に携わる人たちの話を書きたいと思っていた」と湊さんは語ります。
主人公は脚本家の卵、真尋と、海外の映画祭で脚光を浴びた新人監督、香の2人。ベランダの女の子が香です。
湊さんの作品の特徴である1人称での語りは、この「落日」でも使われています。
だから、くいくいと読みやすいし、次へ次へと読み進めたくなります。
「落日」も「イヤミス(後味の悪いミステリー)」のテイストがたっぷり含まれているのですが、「再生」を予感できる明るい終わり方で気持ちが上向きます。
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