「ディア・ドクター」の笑福亭鶴瓶さんの偽医者は適役でした。演技でなく地でいってます。
もともとやんちゃで、ポーズで悪ぶっているのではなく、密かに小さな悪や狡さをはらんでいる人に見えますから。
最も、人間だれしも同じようなものですけどね。
崩壊する地域医療を考える、なんていう真っ当なテーマなんぞ考えるまでもなく、彼の医師ぶりは、年をとっていく我が身が望む、医師と患者の理想像を見るようでした。
偽医者でも目立った誤診などなかっただろうし、むしろ癒された治された人が多勢いたはずです。
優れた医師である父の子として生まれ育ち、医師と密に接する仕事に就いて、日ごろから医学の勉強も怠らない。
報酬2000万円は妥当かもしれません。
偽医者・伊野をベテラン看護師・大竹と研修医・相馬が支えて、村の医療がまわったように、鶴瓶さんを余さんと瑛太さんがしっかり支えて、いい映画になりました。
特に余貴美子さんの演技はぴか一でした。
原作・脚本・監督の西川美和さんは今年35歳。
前作「ゆれる」のヒロインのオーデション会場で、真木よう子さんにライバル女優がきたと、間違えられたほどの才能ある美人です。
おそるべし広島県人。
ビデオに録ったままだった「ゆれる」を「ディア・ドクター」のあとに観ました。
高い評価を受けたにふさわしい映画でしたが、私の好きなタイプの映画ではありませんでした。
「ディア・ドクター」、いいシーンがたくさんある、私の好きな映画です。
日本人がイメージする典型的な日本の農村風景。その美しい緑にも、目をうばわれました。
(写真はgoo映画から借用しました)