アラーキーさんが歩いたトーキョーは、南青山・六本木、銀座、西新宿、本郷、佃島、月島、日比谷公園、谷中・根津・千駄木、向島、西荻窪、成城、渋谷、下北沢、湯島、雑司が谷、品川、東新宿。
渋いです。
あとがき代わりの「自写像に寄せて、そして終わりに。」にはこんな記述が・・・。
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なんで東京を撮るかって、東京は俺にとって子宮なんだよね。乾燥していない。“ぬくろみ”がある。
だからほっとする。俺にとってはホームグラウンド。
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1940年生まれの荒木氏。この世を去るときまで枯れそうにありません。
この散歩のある回に付き合ってくれている、ご婦人ともいい関係がありそうな様子です。
谷中・根津・千駄木アルキの写真は、Y字路のつけ根に大きく枝を広げた巨木があって、その下にシダのような草が繁り^^、向かって右側の坂を犬を連れた女性が下りてきて、左側には小型犬を連れた太り気味のおじさんが歩いていく構図です。
もちろん、仕込みじゃできない配置です。
この写真に添えられた文は、
師走、曇天の午後。
今日は愛人の墓参り。団子坂下から三崎坂を上野桜木方面に向かって上がっていく。
この坂はすごくいい。
道すがら、年配のご婦人から声をかけられた。「あら先生、こんにちは。お散歩ですか?」
どうも天才は目立っちゃって困るね~。
(愛人とは歌人・宮田美乃里さん。がんがもとで亡くなり、彼女の墓が谷中の感應寺にある)
東京の路地と大通りの真ん中あたりの普通の道を歩いて撮った、写真集です。
私もいつか歩きたくて、巻末のアラーキーのトーキョー・アルキ全マップをコピーしました。