書き出しは読売テレビ解説委員、
辛坊治郎さんに届いた70歳の男性の手紙から始まります。年金管理のずさんさに振り回され、最終的には年金を支給されることにはなったけれど、その経過は不透明のままだったといった内容でした。
前の記事にも書きましたが、私は高卒後、3社で会社勤めをし、厚生年金保険料をたっぷり支払ってきたはずなのに、14年分の厚生年金の記録が全部抜け落ちていました。
長く会社勤めをしていれば、引き落とされた厚生年金保険料の総額は半端じゃないはずなのに、今までいくら払い込んでいたかを把握している人は、ほとんどいないんじゃないでしょうか?
でも、お役所にすべてを任せきっていた私たちもいたらなかったことを、このところの騒動は思い知らせてくれました。
若くして障害をもってしまったとき、小さい子どもを抱えているのに、配偶者を失ったとき、そして、誰にでも訪れる年老いて働けなくなった時、収入がまったくないとしたら、どれほど不安でしょう。
公平で納得できる
「年金制度」は必要なのです。
祖父母や両親に収入がない場合、どれだけ仕送りできますか?
半分、年金生活に入った我が家は、その恩恵を受け始めました。ありがたいことです。
この本は年金制度を説明する本ではありませんが、巻末近くで、
「年金の真実」を箇条書きにしてくれています。
今のお年寄り(もちろん年金記録に誤りのない人、以下同じ)は、自分が払った掛け金より不当に高い年金を受け取っている。
今の団塊の世代も、掛け金よりはるかに多い年金を受け取れる。
今の若いサラリーマン、OLは、「平均寿命まで生きれば、払った掛け金のおよそ2.3倍の年金を受け取れる!」と、厚生労働省は言っている。ただし、これは企業負担分を含めないでの2.3倍だから、実際は払った掛け金ともらえる年金額は、ほぼトントンである。
年金ですごく得する世代と、そうでない世代の境目は、ほぼ1965年生まれである。
200兆円の年金積立金を取り崩していけば、あと30年くらい制度は破綻しない。
厚生労働省の試算は甘くて、ホントは40年も持たずに積立金は底を突くかもしれない。
制度を破綻させないようにしようと思うと、さらなる現役世代の負担増、支給減が俎上に載せられる可能性がある。
若くして死ぬと丸損である。
ただし、遺族がいる場合、遺族年金でモトが取れる場合がある。
20歳過ぎて障害を負った場合、年金に加入していないと、無年金障害者になる。
国民年金を満額もらうより、生活保護を受けたほうが豊かな老後を送れる。
民間の個人年金のみに老後を頼るのは、インフレ、運用の失敗、企業の倒産などを考えると無謀である。
日本がつぶれない限り、公的年金制度が完全破綻する可能性は政治的に低い。
結局のところ
公的年金制度は必要なのだから、制度をしっかりつくりあげ、加入者は、その運用や改善を人任せにせず、見届けるということなのでしょうね。