9月22日、長田区の県立文化体育館小ホールで開かれた桂福團治さんの講演会に行ってきました。
演題は「手話落語と私」です。
この日の講演も手話通訳がついていました。
新聞の告知では講演と落語の実演ということだったので、どんな噺が聴けるかなと申し込んだわけですが、いわゆる「落語」は残念ながらありませんでした。
登壇した福團治さんの講演はいつもの高座と同じように「疲れた~」と、つぶやきから始まりました。
福團治さんは「手話落語」を最初に実践した落語家さんです。
働き過ぎ、飲み過ぎ(もか?)で声帯ポリープを患って、声を出せなくなった経験から、視覚で笑いを表現する落語ができないかと、思い立ちました。
「手話落語」という言葉がポスターなどに使われるようになったのは、昭和49年のことだそうです。
その当時のエピソードを話してくれました。
よくファンレターをくれる女性と会うことになって、会って初めて聴覚障害があることが分かったけれど、手話で、何時間も話がはずんで、喫茶店のおばちゃんが、もう店じまいしたいというそぶりを見せ始めたのだそうです。
付き添ってきた女の子の母親が、コーヒー3人分750円を1万円札で払って、長時間店にいたからと、おつりは固辞するおばちゃんに受け取ってもらったそうです。
外は雨が降り出していました。
駅にもどる福團治さんのタクシーにぶつかりそうになったのが、雨にぬれて自転車で家に帰る母娘です。
さっきの、9250円があれば、タクシーに乗って帰ることができただろうに・・・。
と、まるで人情噺を聴いているようでした。
そんな話も織り込みながら、笑いがよく起こる講演でした。
おばさんだらけの聴き手の中に、小学校に入るか入らないかの男の子が一人混じっていて、ちゃんと笑うポイントに合わせてケラケラと笑っていました。
小さな落語ファン、福團治ファンですね。
実演は小話を2つ3つ、手話で演じてくれました。
私も座席で一緒にやってみたのですが・・・、なかなか覚えられません。