自遊空間、 ぶらぶら歩き。

日々見たこと、聞いたこと、読んだこと、考えたこと

日本人という呪縛(徳間書店)~デニス・ウェストフィールド著・西原哲也訳

2024-12-12 | 

『日本人という呪縛』という書名に「外国人には奇妙としか見えない」と「国際化に対応できない特殊国家」という文言がそえられています。

 

著者はオーストラリア人ジャーナリスト。オーストラリアと日本を拠点にアジア太平洋諸国の動向を取材・発信しています。
独自の文化を持ち、清潔で、整った社会インフラがあり、治安もいい。人々は穏やかで温かい。そんな魅力にひかれて30年。でも「どうして日本は何もしないのか、変えないのか」と、はがゆい気持ちをもって、外国人の視点でオーストラリアの社会と対比しながら、解決のヒントを提言してくれています。

四方を海に囲まれて、恵まれた自然の城壁を持っている日本は、戦わずとも守れるという安心感からか、人々の気持ちが内向きになっているように思います。

英語を話さない、話せない外交官や政治家、経済人が多く、国際競争力や影響力は落ちていく一方です。
私は以前は小学校での英語学習より、まず日本語力をつけたほうがいいんじゃないかという気持ちがありましたが、今では小さいころから同時に学べばいい、という考えです。

また他国で捕らえられたまたは拉致された日本人を救えない日本が信じられないと著者は言います。いい、悪いは別としてオーストラリア政府は犯罪者ですら、強硬に返還を求めるそうです。
私も困難なことは次の誰かがすればいいという腰砕けの外交が気になります。自分の家族や知り合いが不当に拘束されても黙ってるんでしょうか?

テーマは硬いし、翻訳ものだし、そこそこ厚い^^しと、ちょっと構えましたが、面白く読み終えました。

 

 

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72歳ひとり暮らし、「年金月5万」が教えてくれたお金との向き合いかた40(マガジンハウス)~紫苑

2024-11-20 | 

久し振りのシニア本^^。でも、72歳はお若い。
実際、写真の紫苑さんはつつましく年金1と月5万円で暮らしているという雰囲気はありません。
それでも本当に、章ごとに載せている支出簿はしっかり5万円以内に収まっています。




ただし紫苑さん、正社員として働いていたり、フリーランスのライターとして稼いでいたこともあって、持ち家に住んでいて、家賃や更新料が不要です。
5万円暮らしができている大きな理由でしょう。

それにあれも我慢、これも我慢という生活ではなく、インテリアや食事面の工夫を楽しみながら日々を過ごしています。
オールカラーで見るだけでも楽しい本です。
節約生活のヒントがもらえるかもしれませんよ。

紫苑さん「ひとり紫苑・プチプラ快適な日々を工夫」というブログを持っています。
gooブログ^^です。

 

 

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赤と青のガウン(PHP文庫)~彬子女王

2024-11-13 | 

『赤と青のガウン』は故寛仁親王の長女彬子さまの英国オックスフォード大学への留学記です。
学習院大学時代の短期留学を含め、通算6年にわたる一人の学ぶ女性の学生生活や日常の日々が書かれています。

 

赤と青のガウンは大学院生が着る黒一色のガウンから博士課程の学位授与式に着替えるガウンだそう。

学習院大学で指導教員だった元学長の福井憲彦さんが彬子女王殿下、彬子女王と呼ばず彬子さんとお呼びしたように、私も彬子さんで通させていただこう。

彬子さんは留学して初めて、一人で街を歩きました。日本にいたら必ず側衛がついての行動です。
映画を観る、買い物をする、散歩をする、図書館へ行く・・・。成人だったら当たり前に一人ですることを初めて経験しました。

そんな日常のあれやこれやに加え、まず英語を話すことから学び、母国語でない言葉で綴った博士論文、口頭試問の苦闘、同僚や教官、友人たちとの交友の思い出は一般人の生活とは違う部分が多いだけに面白い。

真面目で破綻のない文章も好ましいものでした。

この本、昨年ある読者が2015年に発売された単行本を読んで「プリンセスの日常が面白すぎる」とXに投稿。
30000以上の「いいね」がついたことから、文庫化が決まったそうです。

彬子さんはこの読者に直筆メッセージ入りのサイン本を届けたそうですよ。

 

 

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シルバー川柳14 ワシだって 財布の中は キャッシュレス

2024-10-17 | 

公益社団法人全国有料老人ホーム協会+ポプラ社編集部編のシルバー川柳14を読みました。

シルバー川柳13を読んでブログに上げたのが丁度1年前。
と、ここまではシルバー川柳13の記事のコピペ^^で、数字を増やしました。

終息はいまだにかなわなくても、どうにかコロナ禍を乗り切った昨今の世相を反映した掲載首89首から、少しだけ転載してみました。


★食べられん 鰻と寿司は 食べるけど  59歳 男性
 好物が食べられるっていいじゃないですか。
 我が家は好物ですらたくさん食べられなくなりました。



★孫の友 どの子の名前も 読めません  85歳 男性
 男性の名前は簡単な漢字でも昔から読めない名前が多かったですね。
 でも最近の若い人、子どもの名前はとてもじゃないけど読めません。

★春風に 帽子とられて 杖で追う  84歳 女性
 有老協賞受賞作 朝顔に つるべとられて・・・のオマージュですかぁ。

★おじいちゃん それ大谷じゃない ダルビッシュ  55歳 男性
 チョー高齢でも、分かると思うんだけれどなぁ。

★Tik  Tok 真似してみたが 四苦八苦  58歳 女性
 踊ったんですか?
 SNS増やし過ぎると四苦八苦しますよー。

★AIに 認知の薬 勧められ  57歳 男性
 AIさんとはしばらくお付き合いしないことにします。

★詳しくは WEBでと言わず 今言って  52歳 男性
 それもだけれど、企業への問い合わせに音声ガイドでの回答案内なのが困るんだわ。

★ぺいぺいは 平社員かと 孫に聞き  72歳 男性
 平社員=ぺいぺいは既に死語?

★シミシワも 加工アプリで 怖くない  63歳 女性
 アプリは遺影に使わせてもらいましょうかね。

★インスタと 聞くとラーメン 思い出す  ?歳 女性
 思い出さなかったけどなぁ。

★喰って寝て 又喰って寝て 喰って寝る  80歳 男性
 食べられる経済力、食べられる消化器の強さ、心地よい寝具、なんて幸せなんでしょう。

 

本人より、若い人が想像して作った句が多いようですね。

 

 

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美女千里を走る、マリコを止めるな!~林真理子

2024-10-10 | 

林真理子さんの『美女千里を走る』(マガジンハウス)は『anan』の連載エッセイ「美女入門」の2013年1月~2014年3月掲載分を、『マリコを止めるな!』(文藝春秋)は週刊文春の連載エッセイ「夜ふけのなわとび」の2018年1月~2019年1月分をを書籍化したものです。

その後、ともに文庫化されています。



ananの美女・・・のほうはファッションやグルメ、エンタメ、ダイエット、リバウンド、さらに^^リバウンドの話題が、文春のマリコ・・・ほうは時事ネタが中心です。


不景気ではあるけれど、新型コロナ感染症もウクライナやガザの紛争も、全世界に広がる危険な火だね、頻発する自然大災害のことはまだ兆しもない平和な時代の出来事が記されています。

賞味期限は過ぎてても、読んでておもしろい。
記事にするつもりはなかったけれど、真理子さん自筆のカットの「ファミチキ 結構いけます」で、ブログに残しておこうと思いました。

 

で、久しぶりにファミリーマートで買いました。私も推しです。ファミチキ、結構いけます。

 

今日も街歩きで見かけました、ヒガンバナ
生き残るのは結構^^大変なんです。 地上に何も生えてない期間が長く、細い葉っぱだけが茂りまた消えて、とつじょ茎だけがぐんと伸びて花をつけます。
葉っぱだけのとき、街なかでは抜かれてしまう場合が多いのです。

朝晩は涼しくなりましたが、日中は夏日の神戸です。

 

 

 

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成瀬は天下を取りにいく、成瀬は信じた道をいく(新潮社)~宮島未奈

2024-10-08 | 

『成瀬は天下を取りにいく』『成瀬は信じた道をいく』はともに宮島未奈さんの連作短編集。
『成瀬は天下を取りにいく』は2024年の本屋大賞受賞作です。

 

小説スタート時の成瀬あかりは14歳の中学生2年生。住んでいるのは大津、琵琶湖のほとりです。
思いっきりローカル。
小学校時代の友人島崎と漫才コンビ「ゼゼカラ」(膳所から来たからが命名の由来)を結成M-1に出場。
中学校の文化祭の自由発表にエントリーし、舞台に立つことになります。
そう、島崎は成瀬にふりまわされているけれど、いちばん理解し合える友人です。

『成瀬は信じた道をいく』はその続編。
膳所高校3年から京大1回生の年末年始の成瀬あかりが登場します。
相変わらず行動は個性的だけれど、誰もが成瀬に一目置くのです。


私にとっては成瀬は孫のような世代なのですが、友だちであり、お姉ちゃんであり、妹であり、子どもである、どんな年代の読者も引き付ける作品です。

 

 

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一泊なのにこの荷物!(ミシマ社)~本上まなみ・澤田康彦

2024-10-06 | 

『一泊なのにこの荷物!』は俳優でエッセイもよく書いている本上まなみさんと、18歳年の離れたご主人澤田康彦さんの共著です。


澤田さんは編集者でエッセイスト。プロデューサーや映画評論家の顔を持つ多才なかた。
編集者としての顔が一番目立つでしょうか。マガジンハウスで『BRUTUS』や『Tarzan』の編集に携わり、2016年から2019年まで、『暮しの手帖』の編集長でした。

この本、あさごはん、お酒、ひとり暮らし、学校、旅に出る・・・など、夫婦同時に同じテーマで書いたエッセイ集です。京都に暮らし、女男2人の子育てに奮闘しながら大いに楽しんでいる日常ーーといっても、一般人とはちょっと違う日々ですけどね。

お2人はミニヴァンに大荷物を積み込んで家族旅行に出かけます。優しい眼差しがよく似たご夫婦のエッセイは読後、ほのぼのとした気持ちにさせてくれます。


今日は秋空が広がりました。
街に下りるときたまたま乗ったのは水素バス。振動が少なく、乗り心地のいいバスです。
バスにも電車にもまだ冷房が入っていました。10月なのに^^。

 

 

 

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ツユクサナツコの一生(新潮社)~益田ミリ

2024-09-22 | 

時は2021年コロナ禍真っただ中。生きづらい人生を送ってきた橋田(ツユクサ)ナツコは32歳。ドーナツ屋でアルバイトをしています。



白いTシャツの上には、よろい代わりのオーバーオール。

インスタや地域紙にマンガを発表していて、そのうちの一つが「おはぎ屋春子」。
ドーナツ屋でのエピソードに微妙にリンクしています。

5年前に母親を亡くし、父と2人暮らしで東京に姉一家。
淡々と暮らす毎日がある日突然・・・。

ツユクサ・・・小さな青い花弁。
朝咲いて昼にはしぼんでしまう、はかない花。

いつもの益田ミリさんとはテイストが違ってた。
不思議な感情を残した本。
益田ミリさんの『ツユクサナツコの一生』です。

 

今夜(9/22)、甲子園では阪神・巨人戦。昼間は篠突く雨でした。
巨人菅野から奪った1点を守り切って、阪神1-0で勝ちました。

 

 

 

 

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堤未果のショック・ドクトリン、国民の違和感は9割正しい

2024-09-19 | 

『堤未果のショック・ドクトリン』(幻冬舎新書)『国民の違和感は9割正しい』(PHP新書)はともに堤未果さんの著書です。
前者は昨年11月、後者は今月読みました。

文章は難しい言葉が多いし、表組み、図版などは読み取る力が衰えてきているので、途中で脱落しないように斜め読みしたようなところもあります。
ただ、堤さんの文章は比較的読みやすいし、多くの問題を提起してくれています。



ショック・ドクトリンという言葉、聞いたことはあるけれど意味は正確には分からない言葉でした。

ショック・ドクトリン=テロや自然災害、パンデミックなどの混乱に乗じて、為政者や巨大資本が新自由主義的な政策を一気に進める手法を指す。カナダのジャーナリスト、ナオミ・クライン氏による同名の本で広まった。
だそうです。

まさに今自分の周辺で起こっている、これから起こりうることです。

 

健康保険の仕組みと財源、貯蓄より投資へのすすめ、観光地、水源の土地の売買、水道事業の民営化・・・、折衝力が弱く、お人よしの日本人は虎視眈々とねらう外資に太刀打ちできません。

〈今だけ、カネだけ、自分だけ〉の為政者や資本家の言葉を黙って聞いているだけではいけないということですね。

 

 

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青い壺(文春文庫)~有吉佐和子

2024-09-12 | 

今年の春、近くの小規模な図書館で有吉佐和子さんのこの『青い壺』を見たとき、何で今? と思ったのでした。それが、そのころ文庫本のベストセラーにも入っていたので、今度図書館で見かけたら借りようと思いました。

 

13本の連作短編集です。
無名の陶芸家がたまたま生み出してしまった青磁の壺が安価で売られたり、贈答品として使われたり、盗まれたり、スペインにまで持ち出されたりしながら、10数年後に壺の作者と再会します。

青い壺がそれぞれの短編の中で、主人公の人生に関わります。

単行本刊行は1977年、2011年に新装復刊され現在45万部を売り上げているそうです(24.3月)。

50年近くも昔の作品なので、ケータイもSNSも普及していません。年配のご婦人たちの外出着は和服です。
街並みだって違うし、言葉遣いもおっとりしたものです。

でもストーリーはおもしろいし、有吉さんならではの全編名文揃いです。

 

今夜(9/12)、甲子園の阪神・DeNA戦は雨天中止でした。
明日から2位で並んだ広島と一騎打ちです。

 

 

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