自遊空間、 ぶらぶら歩き。

日々見たこと、聞いたこと、読んだこと、考えたこと

往復書簡~言葉のほとり

2025-02-07 | 

処分しようとした2023年の岩波書店のPR誌『図書』をパラパラめくっていたら私の推しライター、ブライトン在住ブレイディみかこさんの名前を見つけました。

ブレイディさんと、谷川俊太郎さんとの往復書簡で、2023年にすでに『その世とこの世』というタイトルで書籍化されているようです。そして、谷川さんは昨年鬼籍に・・・。
本を買うより、読まずに処分してしまった、以前の『図書』の連載を読みたかった。

お2人の手紙や詩を通しての会話は、とっても人間的でほっとします。


ブレイディさんのある書簡の中に、こんなフレーズがありました。

・・・近年、トランスジェンダーという言葉がいろんなところで話題になってきましたが、息子たちの世代になるとさらにその先を行っていて、もはや人間であるという壁さえ乗り越えたいと真剣に考える人たちがいるみたいなんです。なんでも、人間が脳をアップロードして生きるようになれば、各人の体がなくなるので、人種差別やジェンダーやルッキズムや戦争や環境の問題など、あらゆる問題が消え失せ、人間はいまよりずっと幸福に生きていけるのだそうです。・・・

むむむ、これはAIと両立してるのか、それとも一体化してしまうのか?
でも、ブレイディさんの思いの中には「幽霊」も当分存在するのです。

 

 

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歌集・月は綺麗で死んでもいいわ(新潮社)~SHUN(しゅん)

2025-01-29 | 

言葉好きだから、歌集が書評に取り上げられていたりしたら、図書館にリクエストして読みます。
時々だけれど・・・。

『月は綺麗で死んでもいいわ』もその1冊。



歌集のタイトルはあとがきの最後に置かれた、
「最後にね 言っておきたい 君達に 月は綺麗で 死んでもいいわ」
からとられたもの。

ごていねいに、活字が歌集のタイトルのように斜めに置かれています。
イタリックじゃなくてね。

あとがきも全部短歌で綴られています。
ラスト前の1首は
「そうだねと いえばそうねと 繰り返す 君の隣で 僕は息する」

俵万智さんの歌に、似通ったものがあったような。

掲載された135首のうちの何首かを取り上げてみたいけれど、過激過ぎて筆は鈍る。
それでいい。

激しいし、尖ってるし、生々しい歌を詠む SHUN さんは1987年生まれ。下町のホストクラブで修業を積んで、18歳で新宿歌舞伎町へ進出^^。現在は 歌舞伎町の寿司屋「へいらっしゃい」の大将としてお寿司もにぎります。

イケメンタレント(あぁ、もっといい表現ができないものかっ)のような著者本人の写真以外、本著に使われている写真もSHUNさん撮影です。

俵万智、野口あや子、小佐野彈の下で短歌を学び続けているSHUNさん。
月1回開催される「ホスト歌会」が生きがいだそう。
次の歌集^^が生まれるのも、そう遠くではないでしょうね。

 

 

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終活シェアハウス(小学館)~御木本あかり

2025-01-23 | 

お嬢さま学校の小学校4年の理科の授業で同じグループになった4人は短大を卒業するまでず~っと一緒に勉強した仲間です。
そしてそれぞれがいろんな人生を経て68歳になった今、快適に暮らしていたシェアハウスが持ちこたえられなくなりそうな経過や、もう一度一緒に暮らすことができるようになるいきさつを書いたハッピーな物語です。

 

まあ、言うても恵まれた高齢女性たちです。住む家があるって、何という安心感でしょう。
そこにおつかいや、力仕事、車の運転、若者の感性が必要な時にアルバイトとして加わってくる就活中の大学生翔太とガールフレンド。

経済的な不安を抱える年寄りの話より、恵まれた老後を送る高齢者の話のほうが、明るくていいわねぇ。
ただ、それはメンバーがのほほんと生きているのではなく、それなりの役割を持つことが必要なんですけどね。

作者の御木本あかりさんはお茶の水女子大卒業後、NHKに入局。夫の海外勤務で退職し、その後通算23年、外交官の妻として世界9カ国で生活したというユニークな経歴をお持ちです。
小説は2作目ということですが、次作も楽しみです。

 

 

 

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宙わたる教室(文藝春秋)~伊予原新

2025-01-10 | 

『宙わたる教室』は大学院で地球惑星科学を専攻したという異色の経歴をもつ作家、伊予原新さんの作品です。

ある定時制高校の科学部のメンバーが伊予原さんが院生時代にお世話になった、大学院教授をもうならせる発表をした、という実話をもとに書かれています。
図書館にこの本をリクエストしたのは一昨年の12月、手元に届いたのは昨年の8月、待って読んだ甲斐のある作品でした。

 

この本をもとに昨年NHKがテレビドラマ化し、10月から12月まで放送されました。全10話、ていねいに作られていました。
人は誠実に生き、学び続けること、先を進む人間はあとに続く人を育てることがどんなに大切かを教えられました。



って、自分はそんな行動をとってこなかったんですけれどね。

 

 

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巨大地震のサバイバル(朝日新聞出版)~洪在徹:原案、もとじろう:絵、大木聖子:監修

2025-01-07 | 
今年最初に読んだのはお正月に帰省していた娘が資料として持ってきた「巨大地震のサバイバル」
漫画仕立てで中身は統計資料でいっぱいながらも、思いのほかスムーズに読めました。
 

私たち家族が経験した阪神・淡路大震災から、あと10日で30年になります。

今夜のNHKクローズアップ現代のテーマは能登半島地震後の災害関連死についてでした。
認定された「災害関連死」者数は地震・津波で亡くなった「直接死」をすでに上回りました。
本来なら助かる命でした。
 
この番組を観ていて、夫と話したのは私たちが乗り越えられたのは今より30歳若かったからで、これからもし大地震に遭遇したら、持ちこたえることは難しいだろうということ。
 
ロッカーの奥にしまい込んだライフライン基本セットを取り出してきました。
今住んでいる集合住宅に入居したとき支給されたセットです。
みごとに、もう使えないものが混じっていました。
 
その後の防災訓練でいただいた、長期保存の食品も賞味期限を過ぎていました。
多少過ぎたものでも、もったいないからと、平気で食べてしまう私ですら手がでません。
 
あまり神経質にあれもこれも準備はできないとしても、最低限の準備はしておかないとと、自分をいましめました。
 

 

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日本人という呪縛(徳間書店)~デニス・ウェストフィールド著・西原哲也訳

2024-12-12 | 

『日本人という呪縛』という書名に「外国人には奇妙としか見えない」と「国際化に対応できない特殊国家」という文言がそえられています。

 

著者はオーストラリア人ジャーナリスト。オーストラリアと日本を拠点にアジア太平洋諸国の動向を取材・発信しています。
独自の文化を持ち、清潔で、整った社会インフラがあり、治安もいい。人々は穏やかで温かい。そんな魅力にひかれて30年。でも「どうして日本は何もしないのか、変えないのか」と、はがゆい気持ちをもって、外国人の視点でオーストラリアの社会と対比しながら、解決のヒントを提言してくれています。

四方を海に囲まれて、恵まれた自然の城壁を持っている日本は、戦わずとも守れるという安心感からか、人々の気持ちが内向きになっているように思います。

英語を話さない、話せない外交官や政治家、経済人が多く、国際競争力や影響力は落ちていく一方です。
私は以前は小学校での英語学習より、まず日本語力をつけたほうがいいんじゃないかという気持ちがありましたが、今では小さいころから同時に学べばいい、という考えです。

また他国で捕らえられたまたは拉致された日本人を救えない日本が信じられないと著者は言います。いい、悪いは別としてオーストラリア政府は犯罪者ですら、強硬に返還を求めるそうです。
私も困難なことは次の誰かがすればいいという腰砕けの外交が気になります。自分の家族や知り合いが不当に拘束されても黙ってるんでしょうか?

テーマは硬いし、翻訳ものだし、そこそこ厚い^^しと、ちょっと構えましたが、面白く読み終えました。

 

 

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72歳ひとり暮らし、「年金月5万」が教えてくれたお金との向き合いかた40(マガジンハウス)~紫苑

2024-11-20 | 

久し振りのシニア本^^。でも、72歳はお若い。
実際、写真の紫苑さんはつつましく年金1と月5万円で暮らしているという雰囲気はありません。
それでも本当に、章ごとに載せている支出簿はしっかり5万円以内に収まっています。




ただし紫苑さん、正社員として働いていたり、フリーランスのライターとして稼いでいたこともあって、持ち家に住んでいて、家賃や更新料が不要です。
5万円暮らしができている大きな理由でしょう。

それにあれも我慢、これも我慢という生活ではなく、インテリアや食事面の工夫を楽しみながら日々を過ごしています。
オールカラーで見るだけでも楽しい本です。
節約生活のヒントがもらえるかもしれませんよ。

紫苑さん「ひとり紫苑・プチプラ快適な日々を工夫」というブログを持っています。
gooブログ^^です。

 

 

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赤と青のガウン(PHP文庫)~彬子女王

2024-11-13 | 

『赤と青のガウン』は故寛仁親王の長女彬子さまの英国オックスフォード大学への留学記です。
学習院大学時代の短期留学を含め、通算6年にわたる一人の学ぶ女性の学生生活や日常の日々が書かれています。

 

赤と青のガウンは大学院生が着る黒一色のガウンから博士課程の学位授与式に着替えるガウンだそう。

学習院大学で指導教員だった元学長の福井憲彦さんが彬子女王殿下、彬子女王と呼ばず彬子さんとお呼びしたように、私も彬子さんで通させていただこう。

彬子さんは留学して初めて、一人で街を歩きました。日本にいたら必ず側衛がついての行動です。
映画を観る、買い物をする、散歩をする、図書館へ行く・・・。成人だったら当たり前に一人ですることを初めて経験しました。

そんな日常のあれやこれやに加え、まず英語を話すことから学び、母国語でない言葉で綴った博士論文、口頭試問の苦闘、同僚や教官、友人たちとの交友の思い出は一般人の生活とは違う部分が多いだけに面白い。

真面目で破綻のない文章も好ましいものでした。

この本、昨年ある読者が2015年に発売された単行本を読んで「プリンセスの日常が面白すぎる」とXに投稿。
30000以上の「いいね」がついたことから、文庫化が決まったそうです。

彬子さんはこの読者に直筆メッセージ入りのサイン本を届けたそうですよ。

 

 

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シルバー川柳14 ワシだって 財布の中は キャッシュレス

2024-10-17 | 

公益社団法人全国有料老人ホーム協会+ポプラ社編集部編のシルバー川柳14を読みました。

シルバー川柳13を読んでブログに上げたのが丁度1年前。
と、ここまではシルバー川柳13の記事のコピペ^^で、数字を増やしました。

終息はいまだにかなわなくても、どうにかコロナ禍を乗り切った昨今の世相を反映した掲載首89首から、少しだけ転載してみました。


★食べられん 鰻と寿司は 食べるけど  59歳 男性
 好物が食べられるっていいじゃないですか。
 我が家は好物ですらたくさん食べられなくなりました。



★孫の友 どの子の名前も 読めません  85歳 男性
 男性の名前は簡単な漢字でも昔から読めない名前が多かったですね。
 でも最近の若い人、子どもの名前はとてもじゃないけど読めません。

★春風に 帽子とられて 杖で追う  84歳 女性
 有老協賞受賞作 朝顔に つるべとられて・・・のオマージュですかぁ。

★おじいちゃん それ大谷じゃない ダルビッシュ  55歳 男性
 チョー高齢でも、分かると思うんだけれどなぁ。

★Tik  Tok 真似してみたが 四苦八苦  58歳 女性
 踊ったんですか?
 SNS増やし過ぎると四苦八苦しますよー。

★AIに 認知の薬 勧められ  57歳 男性
 AIさんとはしばらくお付き合いしないことにします。

★詳しくは WEBでと言わず 今言って  52歳 男性
 それもだけれど、企業への問い合わせに音声ガイドでの回答案内なのが困るんだわ。

★ぺいぺいは 平社員かと 孫に聞き  72歳 男性
 平社員=ぺいぺいは既に死語?

★シミシワも 加工アプリで 怖くない  63歳 女性
 アプリは遺影に使わせてもらいましょうかね。

★インスタと 聞くとラーメン 思い出す  ?歳 女性
 思い出さなかったけどなぁ。

★喰って寝て 又喰って寝て 喰って寝る  80歳 男性
 食べられる経済力、食べられる消化器の強さ、心地よい寝具、なんて幸せなんでしょう。

 

本人より、若い人が想像して作った句が多いようですね。

 

 

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美女千里を走る、マリコを止めるな!~林真理子

2024-10-10 | 

林真理子さんの『美女千里を走る』(マガジンハウス)は『anan』の連載エッセイ「美女入門」の2013年1月~2014年3月掲載分を、『マリコを止めるな!』(文藝春秋)は週刊文春の連載エッセイ「夜ふけのなわとび」の2018年1月~2019年1月分をを書籍化したものです。

その後、ともに文庫化されています。



ananの美女・・・のほうはファッションやグルメ、エンタメ、ダイエット、リバウンド、さらに^^リバウンドの話題が、文春のマリコ・・・ほうは時事ネタが中心です。


不景気ではあるけれど、新型コロナ感染症もウクライナやガザの紛争も、全世界に広がる危険な火だね、頻発する自然大災害のことはまだ兆しもない平和な時代の出来事が記されています。

賞味期限は過ぎてても、読んでておもしろい。
記事にするつもりはなかったけれど、真理子さん自筆のカットの「ファミチキ 結構いけます」で、ブログに残しておこうと思いました。

 

で、久しぶりにファミリーマートで買いました。私も推しです。ファミチキ、結構いけます。

 

今日も街歩きで見かけました、ヒガンバナ
生き残るのは結構^^大変なんです。 地上に何も生えてない期間が長く、細い葉っぱだけが茂りまた消えて、とつじょ茎だけがぐんと伸びて花をつけます。
葉っぱだけのとき、街なかでは抜かれてしまう場合が多いのです。

朝晩は涼しくなりましたが、日中は夏日の神戸です。

 

 

 

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