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E・コッカーと戯れる浪費派リーマンのゆるい生活

この世界の片隅に…の巻

2016-11-30 00:14:30 | 映画
評判の映画「この世界の片隅に」を奥さんと観た。

この手の小規模公開の作品としては、異例のヒットらしい。

それもむべなるかな。相当に面白く、感じ入りました。




観たのは「八丁座」。



こんなポストカードを貰ったよ~。


戦争を題材とした映画です。

この被爆地で30年、いろいろニヤニヤやってきた関係上、上映中、さまざまに考えましたな。

メディアの違い、表現の方法の差はあれ、このインパクト、説得力に迫る仕事をなしてきたのだろうか、とかね。


で、笑ったのは、館内に社内人口が多かったこと。

まずは中堅社員さんが二つ後ろに。

で、前職の後任ブチョーさんが予告編でやってきた。

しかも、真後ろの席に(笑)

「どうせ、コラムの題材にするんでしょ」と鋭くその意図を見抜くわしであった。

みなさん、おじいちゃんの作、こうご期待です(と、思い切りハードルを上げておこうw)

さらにはローム時代の担当ブチョーさんもご一緒に。

まあ、この地で何十年もこの手の仕事をやってたら、観にこないわけにはいかないよね。


作品の中味についてはつべこべ申しません。

ただ、これって、広島や呉ではごく普通の話。

現場を預かった立場から言えば、「まあ、記事にはならんじゃろう」ってレベルのエピソードなのよ。

ボク的に造語で言えば、いわゆる「ヒロシマスタンダード」。


ただ、だからこそ重い。

慟哭はこの地の至る所にあった。そして温もりも笑顔もそこら中にあったわけ。

それを丁寧にすくい上げ紡いだからこそ、圧倒的なインパクトを生んでいる。

原作も凄ければ、映像化した手腕もまた確かってことだよね。




なぜか採用を担当していた頃、学生の皆さんによく申し上げておりました。

「五人家族のうち二人が命を落とした、そんな街で仕事をする意味を考えてくださいね」って。

この映画を観て、あらためてその思いを強くしたな。

そしてこの時代、「ヒロシマスタンダード」が全国でどう受け止められていくのかしら。

原爆資料館の展示問題じゃないけれど、インパクトが強いだけに希望と不安がない交ぜって感じですな。さてさて。


廃墟から立ち上がる予感とともに終わるこの作品。

小生のベクトルでいうと、ここから「コレ」もそれを題材とした作品も始まるわけ。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BB%81%E7%BE%A9%E3%81%AA%E3%81%8D%E6%88%A6%E3%81%84

それも人間の業なんだろうね。

https://www.youtube.com/watch?v=wfe4JCFKFTg


そーいえば、人々が立ち上がる希望になったひとつに、カープの存在があります。

で、「鯉」を愛するのがこの人なんだよね。

そう、原作者さん。


2005年11月。

平成のたる募金の際のお話で、愛のない男ワッキーの作ですな。


<font size="3">漫画家 こうの史代さん

突き詰めれば「大好きなカープのため」

 たる募金に投じられたのは、カープを、そして広島を愛する思いである。被爆地広島の人間模様を描いた「夕凪(ゆうなぎ)の街 桜の国」で文化庁メディア芸術祭大賞などを受賞した広島市西区出身の漫画家こうの史代さん(37)=東京都在住=も「思い」を投じた一人。賞金から五十万円を今夏、託した。

 突き詰めて言えば、「大好きなカープのために」ってこと。広島人の多くにはごく当たり前の、それも生まれながらにすり込まれちゃったような感覚じゃないかな。ちょうど「夕凪の街―」の増刷が決まったころでした。漫画家の私にとり、それだけで十分なご褒美。だからカープの未来に募金したんです。これっぽっちも迷いませんでしたね。
 昨年の球界再編騒動で危機感を抱きました。大きなうねりの中で、伝統ある近鉄球団がなくなった。阪神ファンの夫(37)に「次は経営が苦しいカープじゃないの」なんて言われて…。
 考えてもみなかった「カープ消滅」が急に現実味を帯びてきて、居ても立ってもいられなくなっちゃった。上京して十八年。周囲にカープファンがいない中で、愛着も薄れつつあったんだけど、あれで一気に燃え上がりました。
 カープは今季、十二年ぶりのビリですね。私の中で、また危機感が強まってきてます。広島のみなさんも同じ気持ちじゃないかな。そんなカープを支えようとする思いが、今回のたる募金には詰まってるはず。素晴らしい新球場を造り上げることで、カープを元気にしてほしい。心から願ってます。(談)


当時、すでにビッグネームになりかけてらっしゃったのに、こちらのお願いに応えて快くイラストも描いていただいた。


カープにまつわる熱狂と「この世界」のヒットが同時にやってきた今年。

どこかつながってるような、そんな「ヒロシマスタンダード」に思いを致す秋です。