
キャスティングでは、このチームを創った市警本部長パーカーに老いたニック・ノルティというのが頼もしくていい、というか彼しかいない。というのもノルティが軍の暗部に市警の分際で踏み込んだリー・タマホリ監督の大傑作「狼たちの街」(96)の活躍があるからだ。この時、ノルティの部下の一人がクリス・ペンであった。クリスも今回、役を得ていれば、コーエンを演じる兄ショーンとの直接対決もあり得たわけだ。現場担当のジョン・オマラ(ジョシュ・ブローリン)、ジェリー・ウーターズ(ライアン・ゴズリング)あたりはまさに旬のキャストだが、旬を外しつつ絶妙の味としてチームに加わったのが「ターミネーター2」のロバート・パトリックか、老けたな。
監督は遊びに満ちた「ゾンビランド」(09)でデビューした期待の新鋭、ルーベン・フライシャー。さすがにショーン・ペン=コーエンの眼光を前にしてビビッたかと見えたが、逮捕の激闘に遊びの爆発があった。タイトル・バックの古きロスの絵葉書がなんともノスタルジア。