原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

顧客の購買心をそそる今時のセールスのやり方

2016年03月17日 | 時事論評
 (写真は、昨日某行楽施設にて撮影した写真。 春風に誘われて娘と二人で青空を遊泳してみました!?   本文とはまったく無関係です。)


 昨年還暦を迎えた私だが、それに伴い厚生年金や個人年金の受給が開始した(する)この頃、生命保険会社や金融機関の担当者が我が家を訪れる機会が多い。


 昨日は、セールスではないが某大手着物会社より「友の会満期継続のお知らせ」なる封書が我が手元に届いた。

 アベノミクス経済政策の大失策により世に“マイナス金利”の荒波が押し寄せる中、聞くところによればデパート等の「友の会」入会が活況とのことだ。
 金融機関に預貯金等金融資産を放置しておいても何らのプラスの還元もないどころか、元本の保証すら不透明なのに対し、「友の会」の場合は原資に大幅増し特典で商品が購入可能となる。
 そこに目を付けた顧客層が、我先にと「友の会」入会に押し寄せているとの報道だ。

 そんな世の流れを利用せんと某着物会社が企てたか否かは不明なれど、(我が認識では入会3年で満期を迎えると記憶していたのに)1年早く、「満期・継続のお知らせ」が届いたのだ。
 これは顧客の私側としては好都合!  何分、和服の趣味など一切ない私としては、少しでも早く当該「友の会」を退会したいと以前より志していた。
 手元に届けられた「お知らせ」を読むと、「今回の満期金で我が社の商品をご購入いただける場合、満期時ボーナスが通常よりも2%増しの12%付く」との触れ込みだ。  元より和服及び小物類を購入しようとの意思がない私にとっては、たとえボーナス増額をしてくれたとて不用品を購入させられる事態こそが屈辱的だ。
 そこで、早速本日午前中に当着物会社に「友の会」“退会”の電話を入れた。
 どうせ、「そんな事をおっしゃらずどうかご継続下さい」と返されるものと予想していたところ、「承知しました。それでは解約退会手続きを致しますので当店にお越し下さい。」なる回答だ。
 ははあ、顧客をわざわざ店舗までおびき寄せて、現場で商品を売る戦略だな。 と察した私は、すかさず「退会後の解約金は必ずや全額(利子無し)で返金して頂けますか?!」と突っ込んだ。 「はい。そう致します。」と言うものの、おそらく店舗にてセールスに遭う事など想像が付く。 
 ただ、電話口にて約束した“元金全額返済!”を私側も執拗に迫る予定だ。 相手は一応一部上場企業として社会的信頼を失っている場合ではない立場でもあるし、まさかヤクザもどきに商品を買わせるなどとの行為は回避可能と予想している。


 次なる事例は、我が個人年金受給に関して。

 私は高校教員時代に「教育公務員共済会個人年金保険」に加入している。 これに加入したきっかけとは、当時35歳にして未だ独身だった身として、老後も独り身で生きて行く覚悟の上で公的年金のみでは心細い老後となろうと予想したためだ。
 私が当該個人年金を契約した当時の「教公保険個人年金」とは、全国一の保険金受給額を誇っていた!  ところがその時代背景とは、まさに“バブル経済”が煌びやかに輝いていた頃だ。
 何と、相次ぐ中小保険会社の倒産に追随して「教公保険」を取り扱っていた中小保険会社も経営破綻の道程を歩んだ…

 どうしてくれる?? 我が個人年金…  と恨んでみても、98歳頃まで生きねば支払った保険料の元が取れない有様…   それでも、中途解約は避けた。何故ならば損失が絶大な故だ。 
 その後も金額的には期待出来ない個人年金受給のために、新たに引き継いだ保険会社に私は毎月少なからずの保険料を支払い続けた。
 その外資系保険会社の(私担当と名乗る)営業マンが我が家を訪れたのは先だっての事だ。

 訪問直後より、担当者氏がお詫び行脚をし始める。  「前社経営破綻後に我が社が経営を引き継いだと言えども、そのご挨拶が遅れた事をお詫びする。どうのこうの…」
 ただ私側としては、何故営業担当者が我が家にわざわざやって来るのかのその魂胆は既に把握していた。 それは、私が個人年金保険の特約として付けている「医療保障」に関してランクアップを提示し、更なる増額保険料を迫る目的だろうと察していた。
 ところが営業マン氏は(今回は)それには最後に少しだけ触れたのみで、そそくさと帰って行った。 もちろん私がすぐさま反応を示したならば契約に持ち込んだのであろうが、そうではない風に捉えたのだろう。
 何分、長年に渡り支払って来た「個人年金保険料」だ。
 今後一体何歳まで保険金を受給可能か否かは、受給者の寿命にかかっている年金制度の運命である。
 年寄りを捕まえて「更なる追加保険料を払え!」と迫ってそれで済んだ時代は既に終焉している事を、保険会社側も理解している事実に安堵した。


 あるいは、我が公的年金受給先として昨年選定した自宅近くの金融機関の担当者氏も2月に我が家を訪れた。 その目的とは、「公的年金受給者に対する定期預金利子増額」だった。
 ただ、アベノミクス経済失策によりまさに“マイナス金利”時代に突入している現況下に於いて、一体如何程の利子が上乗せされるのかなど、直ぐに想像が付くというものだ。 0,00何%であることは見え透いている。
 私側が当日多忙との理由でそれをお断りしたのだが、その後、担当者が我が家へやって来ることはない…
 その金融機関とは零細組織なのだが、もしかしたら今後破綻する運命にあるのだろうか??

 
 とにもかくにも今現在の厳しい時代に於ける正しいセールスのあり方とは、経営者側こそが“身の程を知り”自身の経営力を保つべく自助努力の上で経営破綻を回避し、その中で顧客満足度を維持するのが基本だろう。