◎教団が隠したサリンは今どうなっているのか
昨日も、少し触れたが、今月二〇日に放映されたNHKスペシャル・未解決事件「新事実!地下鉄サリン」は、はなはだ不満が残る番組だった。
当時、当時の検察幹部、警察幹部へのインタビューと、それに基づく「再現映像」に多くの時間を割いていたが、基本的に関係者の「弁解」に終始しており、「反省」を感じとることはできなかったし、今後の対応につながるような「教訓」が提示されたというわけでもなかった。
最もガッカリしたのは、この特集番組が、一連の事件にまつわる素朴な疑問、本質的な疑問、様々な疑惑といったものに対して、ほとんど何も答えていないことであった。これは、制作関係者の感性がよほど鈍いか、あるいは、制作関係者の間に何らかの規制(自己規制含む)がはたらいていたからに違いない。
こうしたことを論じているとキリがないが、本日は、番組に対し、特に不満が残った点七点を列挙しておこう。
1 警視庁が、一時、「坂本堤弁護士一家殺害」に対する極秘捜査をおこなっていたという新事実が紹介されていた。しかし、その極秘捜査が、いつ、どういう経緯で中止されたのかについての説明は不十分だった。
2 松本サリン事件に関して、「冤罪」が生じたことに触れず、冤罪を生んだ背景についての分析もなかった。そもそも、長野県警関係者に対する取材自体、なかったと思うが、これはどういうことなのか。
3 一九九五年一月一日の読売新聞のスクープ「上九一色村でサリン残留物検出」は、なぜ可能になったのか。このスクープによっても、地下鉄サリン事件が防げなかったのはなぜだったのか。このあたりの追究が不十分だった。
4 読売新聞のスクープのあと、教団は、上九一色村からサリンを搬出して隠したとしていたが、これは重要なことである。教団は、どこにサリンを隠したのか。そのサリンは、今でも隠した場所にあるのか。視聴者のために、こういうことは、しっかりと報じてほしかった。
5 地下鉄サリン事件の直前におこなわれとされる「リムジン謀議」は、その後の裁判の中で、その信憑性が疑われるようになったという。だとすれば、これを「再現映像」で紹介することに対しては、慎重であるべきだった。
6 警察庁、警視庁、各道府県警の関係についての説明は、比較的わかりやすかったし、重要なポイントだとも思った。だとすれば、「警察庁長官」狙撃事件の意味、その背景についても、当然、触れるべきだった。この重大事件に全く触れなかったのはなぜか。
7 麻原彰晃が、裁判の途中から「沈黙した」としていたが、なぜ沈黙したのかという説明がなかった。実は、「沈黙した」のではなく、「コワレてしまった」のだとされているが、この「真相」が紹介されることもなかった。