◎オウム事件は、今なお「未解決事件」である
昨日三月二〇日は、一九九五年の地下鉄サリン事件から二〇年目を迎えた日であった。そのためであろうが、本日の日本経済新聞「社説」には、「オウム事件の教訓学ぶ努力を」と題する文章が掲載されていた。
その後半部を紹介してみたい。
地下鉄サリン事件は大都市で初めて化学兵器が使われた無差別テロで、世界中が衝撃を受けた。米国は事件発生当初から専門家を送り込み、いまなお研究者が死刑囚からの聞き取りを行っている。
肝心の日本では、一連の事件について警察や政府がどのように対応し、その後問題点をどう改善したのかといった検証がなされていない。これも、2001年の米同時テロを受けて第三者機関が勧告を出し、政府がそれを政策に取り入れた米国との違いが際立つ。
89年に坂本堤弁護士一家殺害、94年には松本サリン事件と、教団による凶悪な犯罪が続いていた。どうすれば地下鉄サリン事件を防ぎ、被害を軽減することができたのか。いまからでも当時の経緯を検証し、失敗の経験を含めた情報を開示することが風化を防ぎ、教訓を得ることにつながる。
イスラム過激派「イスラム国」が日本をテロの標的とするなど、テロの脅威は高まっている。オウム事件を問い続けることが、こうした新しいテロの問題を考え、備えていくことにもなる。
指摘は妥当であり、鋭いところを衝いている。しかし、具体性と説得力に欠ける。これを言うのであれば、「特集」を組むなどして、具体的に、徹底的に、執拗に、問題を「検証」すべきである。もちろん、その検証には、「メディアの報道姿勢」に対する検証も含まれなければならない。
昨日は、NHKテレビが、「未解決事件」と銘打って、オウム事件の特集番組を放映していた。「どうすれば地下鉄サリン事件を防ぎ、被害を軽減することができたのか」という問題意識に立つ特集であることは理解できたが、結局のところ、当時の警察関係者にインタビューし、その「弁解」を紹介するだけの番組になっていた。もちろん、「当時の経緯を検証し、失敗の経験を含めた情報を開示する」番組からは、ほど遠かった。【この話、続く】