この前、バイト先の職場の同僚に雑談で、「憲法9条や非核三原則は廃止すべきか否か」について、それとなく聞いてみました。その時は北朝鮮核実験の直後という事もあり、私は正直言って、余り「色好い返事」は期待していませんでした。
彼の返事は「9条も非核三原則も残すべき」というものでした。彼曰く「確かに9条も三原則も、今の現実を考えると理想や奇麗事にしか過ぎないかも知れないが、理想は捨てるべきではない。今の世の中で、理想をかなぐり捨ててしまったら、後は一体何が残るのか?」。こんな趣旨の回答をしていました。
私はそれを聞いて「嬉しさ半分、失望半分」といった感じを持ちました。確かに彼の論は、昨今流行の改憲・教育基本法改悪論や先の中川昭一「日本核武装」論などの、如何にも訳知り顔の薄っぺらな現実肯定・拝跪論と比べたら余程格調の高いものですが、それでもねえ。
そう言えば、拙ブログ9月4日付のエントリー「海上自衛隊 新人パイロット殺人調教物語」に一時殺到したプロ奴隷どもの荒らしコメント(既に全削除済)にも、北朝鮮の例も引いての「戦争・侵略こそ世の常」「人を見たら泥棒と思え」「そういう外敵から日本を守ってくれている自衛隊の訓練を、"虐め"呼ばわりするとは何事か!」みたいな論調が多くありました。中には「実は私の彼も自衛隊員なのですぅ」とか言った、如何にも"成り済まし"然としたコメントまで在りましたが。
これは何もプロ奴隷だけに限った事ではなく、例えば9条擁護派で有名な芸能人である「爆笑問題」の太田光さんですら、自身が登場する対談集「憲法9条を世界遺産に」(集英社新書)の中では、前述の私の職場の同僚と同じ様な事を書いていましたが、果たして憲法9条や非核三原則は「今の現実を考えると理想や奇麗事にしか過ぎない」のでしょうか? 私はそうではなく、寧ろ憲法9条や非核三原則こそ今の世界の「現実」になりつつある―そう思っているのですが。
憲法9条や非核三原則こそ今の世界の「現実」になりつつあります。それは、冷戦終結後の軍事同盟・軍事ブロックの解体状況や、非核地帯条約の世界的な広がりによっても示されています。
ソ連・東欧社会主義圏の崩壊と東西冷戦の終結によって、それまでのSEATO・CENTO・ANZUSなどの軍事同盟・軍事ブロックは悉く存在意義を失い、いずれも解体・変質の道を辿りました。東南アジアでは、米軍はタイやフィリピンから撤退し、インドシナ諸国も加盟するASEANなどの経済共同体が軍事ブロックのSEATOに取って代わりました。NATOは未だ存続していますが、それもかつての米国一国主導から独・仏・東欧諸国などの域内諸国主導のものに変わっています。
「核兵器を作らず、持たず、持ち込ませず」の非核三原則の国際版である非核地帯条約については、現在未だ全加盟国が批准するに至っていないものまで含めると、次の6つがあります。
(1) 南極条約(署名1959年、発効1961年)
(2) トラテロルコ条約(ラテンアメリカ及びカリブ核兵器禁止条約、署名1967年、発効1968年)
(3) ラロトンガ条約(南太平洋非核地帯条約、署名1985年、発効1986年)
(4) バンコク条約(東南アジア非核兵器地帯条約、署名1995年、発効1997年)
(5) ペリンダバ条約(アフリカ非核兵器地帯条約、署名1996年、未発効)
(6) 中央アジア非核兵器地帯条約(署名2006年9月、未発効)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/jyoyaku/s_pole.html
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kaku/n2zone/sakusei.html
上記からも明らかなように、既に地球の南半球にある国々は全て非核地帯条約に加入しているのです。第三世界諸国に限って見ても、未だ条約に加盟していないのは南北朝鮮・中国・インドなどの東・南アジアや中東の西アジア諸国に限られているのです。後は核保有国を含む欧米諸国だけが取り残されているのが現状です。そしてその中でも、モンゴルが1998年に一国単独で非核宣言をして既に国連からも認知されていますし、中東地域非核地帯構想も新アジェンダ連合加盟国のエジプトから国連で提起されています。北東アジアについても、日本の非核三原則と朝鮮半島非核化南北共同声明を連結させる形での非核地帯構想が、ピース・デポなどのNGO組織から提起されてきています。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kaku/n2zone/hikakuchitai.html
http://www.peacedepot.org/theme/nwfz/2005RevConpresentation.html
これに対しては、中国・インド・パキスタン・北朝鮮の核保有やイラン・イスラエルなどの核保有疑惑などの逆流も存在しますが、それはあくまで逆流であって、決して本流などではないと思います。「これらの逆流に対して本流側からどうアプローチしていくか」という事については、また別稿で改めて書こうと思っていますが。少なくとも、中川昭一流の「北朝鮮が核を持つから日本も核武装を」「目には目を、歯には歯を」では、所詮は日本もその逆流の仲間入りをする事にしか成らず、それは「暴力の連鎖」を引き起こす事にしか成りません。21世紀になっても日露戦争当時と変わらない外交感覚しか持てない事がどれだけ異常な事かを、まずは日本の方から気付くべきです。そうしてこそ始めて、米国・ロシア・中国・北朝鮮に対しても同じ事を主張出来るのではないでしょうか。
彼の返事は「9条も非核三原則も残すべき」というものでした。彼曰く「確かに9条も三原則も、今の現実を考えると理想や奇麗事にしか過ぎないかも知れないが、理想は捨てるべきではない。今の世の中で、理想をかなぐり捨ててしまったら、後は一体何が残るのか?」。こんな趣旨の回答をしていました。
私はそれを聞いて「嬉しさ半分、失望半分」といった感じを持ちました。確かに彼の論は、昨今流行の改憲・教育基本法改悪論や先の中川昭一「日本核武装」論などの、如何にも訳知り顔の薄っぺらな現実肯定・拝跪論と比べたら余程格調の高いものですが、それでもねえ。
そう言えば、拙ブログ9月4日付のエントリー「海上自衛隊 新人パイロット殺人調教物語」に一時殺到したプロ奴隷どもの荒らしコメント(既に全削除済)にも、北朝鮮の例も引いての「戦争・侵略こそ世の常」「人を見たら泥棒と思え」「そういう外敵から日本を守ってくれている自衛隊の訓練を、"虐め"呼ばわりするとは何事か!」みたいな論調が多くありました。中には「実は私の彼も自衛隊員なのですぅ」とか言った、如何にも"成り済まし"然としたコメントまで在りましたが。
これは何もプロ奴隷だけに限った事ではなく、例えば9条擁護派で有名な芸能人である「爆笑問題」の太田光さんですら、自身が登場する対談集「憲法9条を世界遺産に」(集英社新書)の中では、前述の私の職場の同僚と同じ様な事を書いていましたが、果たして憲法9条や非核三原則は「今の現実を考えると理想や奇麗事にしか過ぎない」のでしょうか? 私はそうではなく、寧ろ憲法9条や非核三原則こそ今の世界の「現実」になりつつある―そう思っているのですが。
憲法9条や非核三原則こそ今の世界の「現実」になりつつあります。それは、冷戦終結後の軍事同盟・軍事ブロックの解体状況や、非核地帯条約の世界的な広がりによっても示されています。
ソ連・東欧社会主義圏の崩壊と東西冷戦の終結によって、それまでのSEATO・CENTO・ANZUSなどの軍事同盟・軍事ブロックは悉く存在意義を失い、いずれも解体・変質の道を辿りました。東南アジアでは、米軍はタイやフィリピンから撤退し、インドシナ諸国も加盟するASEANなどの経済共同体が軍事ブロックのSEATOに取って代わりました。NATOは未だ存続していますが、それもかつての米国一国主導から独・仏・東欧諸国などの域内諸国主導のものに変わっています。
「核兵器を作らず、持たず、持ち込ませず」の非核三原則の国際版である非核地帯条約については、現在未だ全加盟国が批准するに至っていないものまで含めると、次の6つがあります。
(1) 南極条約(署名1959年、発効1961年)
(2) トラテロルコ条約(ラテンアメリカ及びカリブ核兵器禁止条約、署名1967年、発効1968年)
(3) ラロトンガ条約(南太平洋非核地帯条約、署名1985年、発効1986年)
(4) バンコク条約(東南アジア非核兵器地帯条約、署名1995年、発効1997年)
(5) ペリンダバ条約(アフリカ非核兵器地帯条約、署名1996年、未発効)
(6) 中央アジア非核兵器地帯条約(署名2006年9月、未発効)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/jyoyaku/s_pole.html
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kaku/n2zone/sakusei.html
上記からも明らかなように、既に地球の南半球にある国々は全て非核地帯条約に加入しているのです。第三世界諸国に限って見ても、未だ条約に加盟していないのは南北朝鮮・中国・インドなどの東・南アジアや中東の西アジア諸国に限られているのです。後は核保有国を含む欧米諸国だけが取り残されているのが現状です。そしてその中でも、モンゴルが1998年に一国単独で非核宣言をして既に国連からも認知されていますし、中東地域非核地帯構想も新アジェンダ連合加盟国のエジプトから国連で提起されています。北東アジアについても、日本の非核三原則と朝鮮半島非核化南北共同声明を連結させる形での非核地帯構想が、ピース・デポなどのNGO組織から提起されてきています。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kaku/n2zone/hikakuchitai.html
http://www.peacedepot.org/theme/nwfz/2005RevConpresentation.html
これに対しては、中国・インド・パキスタン・北朝鮮の核保有やイラン・イスラエルなどの核保有疑惑などの逆流も存在しますが、それはあくまで逆流であって、決して本流などではないと思います。「これらの逆流に対して本流側からどうアプローチしていくか」という事については、また別稿で改めて書こうと思っていますが。少なくとも、中川昭一流の「北朝鮮が核を持つから日本も核武装を」「目には目を、歯には歯を」では、所詮は日本もその逆流の仲間入りをする事にしか成らず、それは「暴力の連鎖」を引き起こす事にしか成りません。21世紀になっても日露戦争当時と変わらない外交感覚しか持てない事がどれだけ異常な事かを、まずは日本の方から気付くべきです。そうしてこそ始めて、米国・ロシア・中国・北朝鮮に対しても同じ事を主張出来るのではないでしょうか。