アフガン・イラク・北朝鮮と日本

黙って野垂れ死ぬな やられたらやり返せ 万国のプレカリアート団結せよ!

当ブログへようこそ

 アフガン・イラク戦争も金正日もNO!!搾取・抑圧のない世界を目指して、万国のプレカリアート団結せよ!

 これが、当ブログの主張です。
 詳しくは→こちらを参照の事。
 「プレカリアート」という言葉の意味は→こちらを参照。
 コメント・TB(トラックバック)については→こちらを参照。
 読んだ記事の中で気に入ったものがあれば→こちらをクリック。

現代のタコ部屋にも押し寄せるフリーター労組結成の波

2007年10月12日 22時09分25秒 | 福田第2次投げ出し政権
・日雇い労働者:「労組」を結成 都内の派遣会社に給与天引き返還求め(毎日新聞 2007年10月2日 東京夕刊)

>内装や建設現場の軽作業などの請負会社「エム・クルー」(東京都豊島区、前橋靖社長)に登録して働く日雇い派遣労働者らが1日、労働組合を結成、会社に通告した。前橋社長は路上生活の経験があり、宿所を用意し仕事も出す仕組みで注目を浴びた。労組は給与から安全協力費などの名目で最大500円の天引きが行われているとして費用の返還や日雇雇用保険への加入を求めている。
 結成されたのは、派遣ユニオン・エム・クルー支部(千々岩弦委員長)。同労組によると、エム社では、1回働くごとに安全協力費300円(8時間労働の場合)と福利厚生費200円を給与から天引きされる。だが、使途の実態はないといい、返還を求めることにした。同様の費用を巡っては、日雇い派遣大手のグッドウィルやフルキャストが返還に応じている。
 エム社は安価に宿泊できる「レストボックス」を東京都内の主要駅の周辺に置き、宿泊者には日雇い派遣の仕事も紹介している。同社は「適法に結成された組合であれば、誠実に対応する」と話している。<
 http://mainichi.jp/select/wadai/news/20071002dde041040026000c.html

 「規制緩和の申し子」「貧困ビジネスの象徴」であるエム・クルーのお膝元でも、とうとう労組が結成されました。
 このエム・クルーという会社ですが、自社のHPでは自分たちの事をやれ「ソーシャルベンチャー(社会起業家)」だとか「社会貢献」だとか喧伝している様ですが、実態は単なる「口入れ稼業」でしかありません。自活を望むフリーターや生活困窮者の足元を見透かして、「レストボックス」と称する寮とは名ばかりの「タコ部屋」に住まわせ、日当数千円の食うや食わずの日払い労働や、偽装請負や建設現場への派遣などの違法で危険な仕事をあてがって、部屋代名目に賃金をピンハネする。そんな商売で巨利を得てきた会社です。

 ここの社長は、自分自身も元ホームレスだった事を会社の売りにしていますが、そんなモノは何の免罪符にもなりません。何のことはない、派遣労働自由化の流れの中で、今まで搾取されていた者が今度は搾取する側に回っただけの事です。こんな手合いが「社会起業家」で通用するのなら、サラ金や闇金も全て「社会起業家」になってしまいます。フリーター労組の結成通告の時にも見え見えの居留守を使って逃げ回っていた輩が、自分の都合の良い時だけ下積み苦労人のポーズを取って誤魔化そうとしても、そうは問屋が卸しません。
 本来の意味での「ソーシャルベンチャー」というのは、生協や共同作業所やグラミン銀行やビッグイシューの様に、多少なりとも当事者の生活向上・再建につながる様な事業を指すのです。エム・クルーみたいな、単に生活困窮者を食い物にするだけの様な仕事は「ソーシャルベンチャー」とは言いません。そういうのは「貧困ビジネス」と言います。

 そんな「貧困ビジネス」が宛がう仕事ばかりで食いつないでいると、他もそんな職種ばかりなので、それがまるで抗う事の出来ない運命であるかの様に、思い込まされてしまうのです。そうして次第に「下見て暮らせ傘の下」宜しく、「それでもホームレスやネカフェ難民よりはまだマシだ」「世の中こんなモン」と諦めさせられるか、精々「少しでもピンハネ率の低い職場に抜け駆けしよう」という惨めな発想しか持たされなくなる。そして「文句言う奴は負け犬、その中で上手く立ち回るのがデキル奴の甲斐性」とばかりに、椅子取りゲームの中で貧困者同士で足の引っ張り合いをさせて、そうして貧困を貧困と思わなくなくさせていく―若し「貧困」という言葉がお気に召さなければ、もっと直裁に「人権侵害」と言い換えても良い―。それが貧困ベンチャー、政府・財界、そいつらお抱えの御用論者たちの、最大の狙いなのです。

 「そんなに文句を言うのなら努力して正社員になれば良いではないか」―中にはそう思う人もいるでしょう。ところが豈図らんや。その正社員も相次ぐ賃下げ・労働条件切り下げで、今やどんどんワーキング・プア化しているのです。中小企業などに行くと、正社員でも社会保険未加入の人などもザラに居ます。だから労組も、単に「非正規雇用を正規雇用に」と要求するだけでは片手落ちであって、「正規であろうが非正規であろうが、そんな事には関係なく、憲法25条が保障する、人間たるに足る賃金・労働条件・生活を、普通に暮らそうとしている全ての人に」要求すべきなのです。エム・クルーでの労組結成は、そんな「貧困の連鎖」を断ち切る上での、一つの画期を為す出来事なのです。

(参考資料)
・エム・クルーにも返還請求 日雇い労働者給与天引き問題(産経新聞)
 http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/071001/crm0710011843017-n1.htm
・エム・クルーユニオン結成(Moyai Blog)
 http://www.moyai.net/modules/weblog/details.php?blog_id=198
・貧困襲来! 第7回 エム・クルーユニオン結成(オールニートニッポン)
 http://www.allneetnippon.jp/2007/10/7_4.html
・貧困襲来! 第2回 日雇い派遣は貧困ビジネス(同上)
 http://www.allneetnippon.jp/2007/07/2_4.html
・不当な“天引き”返せ/日雇い派遣会社に労組/竹中元総務相と“親密”会社(しんぶん赤旗)
 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-10-10/2007101001_01_0.html
・株式会社エム・クルーHP
 新着情報のページに給与ピンハネの言い訳が掲載されています。
 http://www.mcrew.co.jp/
・株式会社エム・クルー(『戦略経営者』 経営情報システム)
 このエム・クルーも、自民党・財界筋の眼から見たら、こうなります。
 http://www.tkc.co.jp/senkei/backnumber/0404/system03.htm
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする