アフガン・イラク・北朝鮮と日本

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食のアパルトヘイト

2007年11月18日 13時35分12秒 | 一人も自殺者の出ない世の中を
 写真は、冬の閑散期・収入減対策として私が一時採用していたランチ・メニュー。写っているのは、小ぶりのカップ麺(サッポロ一番味噌ラーメン、69円)と牛肉コロッケ(74円)、鮭おにぎり(105円)の三点。これ全部で税込248円。いずれも、出勤途上で最寄のスーパーで購入したものです。

 毎月の給料が税込12万円・手取り10万円台にまで落ちてくると、毎日の昼食費もバカにならなくなります。月20万円近くある夏の繁忙期には、会社で1食350円の仕出し弁当を頼んでいたのが、閑散期ともなると、税金・社会保険料に加えて弁当代まで天引きされると、手取りは確実に10万円を切ります。自分の銀行口座から金を引き出す時に、たった9万円台しかない給与振込額を見ると、ドッと疲れが出るだけで、「明日からまた頑張ろう」なんて気分には到底ならない。それが嫌さに、少しでもランチを安く上げようと考案したのが、上記のメニューです。

 これだと、仕出し弁当を頼むより更にランチを安く済ませる事が出来るし、何よりも、月9万円台の給与振込み額を前にして惨めな思いをしなくて済みます。小ぶりのカップ麺(醤油・味噌・塩・とんこつ味と、メーカーも色々)と、惣菜(天ぷら・コロッケ各種)、おにぎり(鮭・昆布・かつお・梅干・明太子入りなど)の組み合わせで、結構飽きが来ない様にすることも出来るのではないか。そう考えたのです。

 しかし、1週間ぐらいしか持ちませんでした。今は、少々高くなっても、駅前のパン屋さんで、手作りのサンドイッチやパンを買って食べるようにしています。何故持たなかったのか。流石に栄養の偏りが気になったのと、それ以上に、こんなメニューしか買えない自分自身が、余計惨めに思えてきて、精神衛生上非常に良くない事に気が付いたからです。

 当初こそ「結構組み合わせがあるじゃないか」と思っていましたが、何の事は無い、買えるのはインスタントのカップ麺と、お惣菜コーナーの単品しか無いじゃないですか。そういう生活を続けているうちに、目には見えないラインがスーパーの中に引かれていて、自分がその線内に隔離されているような気がしてきたのです。
 ランチを買う度に、「ここから先はお前は立ち入るべからず」「お前の人間としての値打ちは、248円の価値しかないのだ」と言われ続けているような感覚に、次第に陥ってきます。壁は何も「ベルリンの壁」や38度線だけではない、日本のスーパーの店内に、目には見えないバンツースタンが広がり、「パレスチナの分離壁」が築かれ、自分がその中に隔離されている、そういう惨めな感覚に段々なっていく。

 それが高じると、今度は駅構内に張ってある分譲マンションや宅地分譲のポスターの、「××町に住まう」(××には高級住宅街の地名が入る、芦屋市六麓荘とか堺市浜寺昭和町とか)という何気ないキャッチ・コピーにも、言い知れぬ憎しみを感じるようになる。
 また、安倍・麻生信者によるネットの書き込みを見ても、今までなら斜に構えて、「こいつらの言う自由とか民主主義って、ホリエモン・折口・猿橋みたいなやつらが美味しい思いをするだけの、ブルジョア主権の似非民主主義じゃないか」とか、「既にとっくに破綻済の、ロストウのテイク・オフ理論の焼き直しじゃないか」とせせら笑うだけで終わっていたのが、それだけで終わらずに、軽い殺意さえ覚えるようになる。これは冗談でも何でもなく、マジでそうなります。

 「食い物の恨みは恐ろしい」とはよく言ったもので、正に「食のアパルトヘイト」を、理屈ではなく身体全体でヒシヒシと感じるようになる。そういう風にして自分が次第に劣化していくのが嫌さで、もっと言うと怖くなってきたので、それで上記のランチ・メニューを中止したのです。
 この私が考案した上記メニューですら、実はまだまだマシな部類なのです。本当に生活に困窮しだしたら、こんなメニューでは済みません。弁当箱に昨日の残りご飯だけ詰めて、上にフリカケを振り掛けるだけの食事で済ませたり、カップ麺だけ、おにぎりだけ、ビスケットだけで済ましたりとか、そういう食事になっていくのです。

 昨今、ちょっとした事で直ぐに逆切れする子供や大人が増えたと言われ、食生活との関連が指摘されたりしていますが、これも、よく言われる化学調味料の過剰摂取だけが原因ではなくて、先に挙げたような疎外感・被差別感から来ているのかも知れません。そりゃあ貧乏や差別は何も今に限った事ではありませんが、昔はそれなりにあった(但し家父長制や封建的抑圧とセットの形で、ですが)家族や社会との絆が、今やそういうクッション装置が全く無くなり、より醜い形で出てきているのです。

 これだけ小泉・安倍政治の化けの皮が剥れた今になっても未だに、「日本は弱者天国・格差小国」だとの給っている人々が、右派やネットウヨクだけでなく左派にも少なからず居るようですが、これらの人たちには、ワーキングプアのこういう気持ちなぞ、到底理解出来ないでしょうね。
コメント (5)
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