アフガン・イラク・北朝鮮と日本

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人民の東アジア共同体

2008年01月12日 00時34分20秒 | 北朝鮮・中国人権問題
 前号に引き続き、北朝鮮問題についてもう少し書きます。
 実はこの正月の間に、北朝鮮問題関連の2つの書物を読みました。読んだと言っても、精読ではなく寧ろ流し読みに近い状態で、何とか読み終えたというのが実情です。正月出勤の合間を見つけて読み進めたので、その点についてはご容赦を。
 それが記事冒頭写真の、北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会(守る会)理論誌「光射せ!」創刊号(左)と、渥美文夫著「金日成・金正日体制と東アジア」現代企画室・刊(右)の、2冊の本です。

 その内容に関して言うと、両著とも、私にとっては特に目新しいものではありませんでした。それは、著書の大まかな内容や方向性が、当ブログ前身の旧掲示板でも既に何度か議論になった論点と重なる部分が多かったからです。私にとっては、その論点を改めて再確認・再整理するのに役立ったという感じです。これらの本は寧ろ、今まで北朝鮮・拉致問題に対して、それを右翼や「救う会・つくる会」の専売特許として忌避してきた方が、認識を新たにする為の一つの”とっかかり”として読まれたら良いのではないか、という気がします。
 勿論、新たな発見が無かった訳ではありません。特に「光射せ!」創刊号の中の、帰国事業と朝鮮総連結成との関連を論じた川島高峰論文や、サルトルを戦後左派の限界を乗り越えたものとして評価した三浦小太郎論文については、「へえ~、こういう見方もあるのだな」と認識を新たにする事が出来ました。

 ただ全体を通して見ると、「左派リベラルは何故北朝鮮問題に及び腰なのか」を特集として取り上げた「光射せ!」創刊号は、「単なる北朝鮮バッシングや左派リベラル叩きではない」とは言うものの、やはり「左翼に対する恨みつらみ節」からは一歩も出てないな、という気がします。
 率直に言って、今の北朝鮮を、本当にあれが社会主義・共産主義の真の姿だなんて思っている人なんて、少なくとも今の左翼には殆どいません。にも拘らず、「あれが共産主義の悪い側面だ」とか「北朝鮮礼賛は左翼ドグマの為せる技だ」なんて何度も言われても、全然ピンと来ません。それならまだ、より具体的に、帰国事業に的を絞って未解明の歴史に光を当てるとかした方が、よっぽど後世の為になります。
 この本は、今よりも寧ろ、917直後の拉致問題が公式に明るみになった時期に、左翼の啓蒙書として出されてこそ、その真価を発揮したのに、という気がします。それを何で今頃になって出版されたのか、正直言って理解に苦しみます。

 共産党や社民党が今も北朝鮮問題に後ろ向き(だと言われている)なのは何故かは分かりませんが、少なくとも私の様な左派リベラルな一般大衆から言わすと、それらの人たちがどうしても北朝鮮問題に及び腰にならざるを得ないのは、北朝鮮の人権問題解決を掲げている「救う会」や右翼が、余りにもネオコン・ネオリベ・自民党べったりで、反人権・バックラッシュのダブルスタンダードで、靖国・天皇・日の丸・君が代・家父長制・武士道・封建道徳礼賛、帝国主義・排外主義・弱肉強食賛美の、時代錯誤・アナクロニズム丸出しで、酷いのになると脱北者・帰国者まで反日呼ばわりし「日本人拉致」ばかりを言い立てる偏狭さに、もう辟易しているからです。ただそれだけです。

 「救う会」から言わすと「それは左翼が北朝鮮・拉致問題に冷淡だったからだ」という事になるのでしょうが、私から言わすと「右翼や救う会が、全てではないにしてもその多くの部分が、北朝鮮・拉致問題に託けて弱者バッシングを繰り返しているから」です。要するに「どっちもどっち」なのです。況してや、50~70年代当時の左翼政党幹部の罪ばかりをいつまでも言い立てられるに至っては、その責めを何故今の左派リベラルの一般ピープルが負わなければならないの、というしかない。その責を自覚するのは、あくまでも今の我々左派リベラル一般ピープルの自主的取組を通してでしか在り得ないのに。謂わば、中国の反日デモの映像ばかり見せつけられた今の日本の若者に、南京大虐殺の話を幾らしても、「それだけ」ではなかなか受け入れられないのと同じ理屈です。

 私個人としては寧ろ、第一次・第二次大戦後の反帝・民族解放運動や韓国民主化闘争を支持した左派の立場から、今の中国や北朝鮮の体制を似非社会主義で反人民的と批判し、「戦争・格差社会も人権抑圧も、イラク戦争も金正日もNO!搾取・抑圧のない世界を目指して、万国のプレカリアート団結せよ!」という拙ブログと同じ視点から人民の解放と連帯を目指す、「金日成・金正日体制と東アジア」の立場の方が、よっぽどしっくり来ます。ただ、こちらも如何せん、「今の中国・北朝鮮はスターリン主義の亜流だ」というだけで、更にその先の「スターリン主義体制の分析」については未だ端緒についたばかりという、著者も自覚している限界以上のものは見出せませんでしたが。

 去る1月10日放送のNHK「クローズアップ現代」が、北朝鮮北部のラジン(羅津)港開発計画に食い込もうとする中国・ロシアの思惑について、番組で取り上げていました。北朝鮮と国境を接し改革開放で活況に沸く中国の延辺朝鮮族自治州政府が、日本海への出口を求めてラジン港開発計画への参入を狙う一方で、ロシアも中国に負けじと、北朝鮮国内鉄道網の再建とシベリア鉄道への結合を狙っている、そういう内容でした。

 この問題一つとっても、今の「救う会」や右翼の立場では、「北朝鮮を支援する中国シナをやっつけろ、シナから日本を守れ、シナ主導の東アジア共同体など以ての外」「アフガン・イラク人民が幾ら死のうが、日本国内で幾らワーキングプア・農民・高齢者の自殺が増えようが、そんなの関係ねえ、ひたすら日米同盟につき従うのだ」と、もうまるで嫌韓厨・B層ネットウヨクみたいな事しか言えないじゃないですか。
 そして日米両政府や財界はというと、「ラジン・シベリア開発、中国・北朝鮮の低賃金労働力、美味しいねえ~」と、「財界本位の東アジア共同体」をひたすら目指す。米国主導の東アジア共同体(日米両政府・財界の立場)にしても、米国抜き・アジア中心の東アジア共同体(中国・インドなどの立場)にしても、基本的には資本家主導・人民不在である事には何ら変わりない。

 そのどちらでもない、ラジン港埠頭の冷凍倉庫で働かされまくっている北朝鮮のワーキングプアや、中国の物流コンテナ・ドライバー、日本やアジアの名も無きワーキングプア・人民による東アジア共同体こそが、一番求められているのでしょうが。時代錯誤の帝国主義者や逝かれたネオコン、人民の生き血を吸うネオリベ・ホリエモンではなく、プレカリアートの階級的・国際的連帯で、中国・北朝鮮の民主化も日本その他アジア諸国の民主化も勝ち取って、「大東亜共栄圏の現代版」でも「資本家の東アジア共同体」でもない、平和・民主・人権・非同盟・非抑圧の「人民の東アジア共同体」を作らなければ、真の解放も自由も在り得ないと思います。

(参考記事)
・光射せ!北朝鮮収容所国家からの解放を目指す理論誌発行(北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会)
 http://homepage1.nifty.com/northkorea/bookhikari.htm
・『光射せ!』を目通しして(TAMO2ちんの日常)
 http://red.ap.teacup.com/tamo2/628.html
・金日成・金正日体制と東アジア(現代企画室)
 http://www.jca.apc.org/gendai/99sin/07index.html
・【読書案内】『金日成・金正日体制と東アジア』(虹とモンスーン)
 http://solidarity.blog.shinobi.jp/Entry/154/
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