この間少し別件に手をとられていて、当初予定していた大阪府知事選関連の記事のアップが遅れてしまいました。そうこうしているうちに告示日も過ぎて、主要3候補の公約が既に出揃っていました(下記参照)。
●橋下徹(はしもと・とおる):無所属(自民党・公明党各府連推薦)
弁護士 橋下徹 オフィシャルウェブサイト
http://www.hashimoto-toru.com/index.html
「おおさか」を笑顔にするプラン(マニフェスト)
http://www.hashimoto-toru.com/osaka/index.html
●熊谷貞俊(くまがい・さだとし):無所属(民主党・社民党・国民新党推薦)
熊谷貞俊 ほっとかれへん大阪!(公式HP)
http://www.kumagai-osaka.com/index.html
プロジェクト・クマ 「府民の生活が第一」(マニフェスト)
http://www.kumagai-osaka.com/manifesto.html
●梅田章二(うめだ・しょうじ):無所属(共産党・新社会党推薦)
庶民派弁護士 梅田章二が行く(公式HP)
http://www.umesyo.com/
大阪府政を変える 梅田章二のマニフェスト
http://www.umesyo.com/wp-content/themes/umesyo02/manifesto.html
私は今まで選挙では共産党の候補に投票してきました。直近の衆院選小選挙区で民主党候補に入れたのを唯一の例外として。そして今回の知事選でも、知人に頼まれて、近所で梅田陣営のビラ全戸配付を手伝っています。だから本来ならば何も迷う事無く梅田候補に投票するのが筋ですが、今回は少し迷いました。それは、自公与党が擁立してきた橋下候補というのが、またよりによってあんまりにもあんまりな候補だからです。
彼は所謂タレント弁護士で、光市母子殺害事件弁護団への懲戒請求の仕掛け人としても有名な人ですが、ネットで検索したら、弱者バッシングやバックラッシュ・ヘイトスピーチ発言の数々が、出るわ出るわ。それに、選挙告示前の下馬評やマスコミ報道で「橋下意外と苦戦」と伝えられた事や、民主党支持層にも橋下を嫌う層が結構いるみたいだったので、実は今回は熊谷か梅田のどちらにしようか、少し迷っていました。今は黒田府政の頃とは違い、共産党系候補が知事選に当選する見込みは殆ど無いですから。
しかしまあそれは、熊谷候補の公約がはっきりしてから最終的に決めようと思っていたのですが、それがなかなか出なかった。それで告示前にやっと出してきたのが上記の公約です。もう少しマトモな事を書くかなと思っていたのですが、はっきり言って興ざめしました。
「府民生活が第一」という事で8項目の柱を立てていますが、どれもこれも抽象的・総花的で、全然気迫がこもっていません。それでその具体的な中身はというと、「新幹線の大阪駅乗り入れ」だったり「府市二重行政の解消、公立大学の統廃合」だったりで、救急医療対策で少し独自色を出して、それでお茶を濁している程度でした。その一方では「関空を国際ハブ空港に」とか「道州制導入」とかも書いていて、これじゃあまるで「隠れ自民党・財界」じゃないですか。
自公が地方組織だけの推薦だけに止めて政党隠しに出ているのも、単に無党派を意識しているからだけではなくて、橋下と熊谷のどっちに転んでも良いように、双方に保険をかけているからでしょう。昨年の東京都知事選挙の時の浅野候補と比べても、もうお話にならない。今回も梅田候補に入れる事にします。
ただ、熊谷陣営の公約の中に下記のデータが掲載されていて、改めて経済の東京一極集中ぶりを思い知らされた事については、こちらも良い勉強にはなりました。これを見ると、大阪も愛知も県民所得が減って、完全な東京の一人勝ちですね。熊谷さんは「だから大阪も頑張って全国順位を上げるのだ」と息巻いているのですが、そんな事は既に20年以上も前から言われていた事で、しかもとっくに破綻済みの論理でしかない。肝心なのは、そんな「椅子取りゲーム」に現を抜かす事ではなくて、地方を犠牲にして東京だけがその上に胡坐をかいている今の経済の仕組みそのものを、もっとみんなが公平に潤うものに変えていく事でしょう。
1996年度と2004年度の全国県民所得トップ10
1996年度 2004年度
1 東京都 428万2千円 1 東京都 455万9千円
2 愛知県 372万3千円 2 愛知県 344万円
3 神奈川県357万6千円 3 静岡県 324万7千円
4 大阪府 353万4千円 4 滋賀県 323万5千円
5 滋賀県 352万9千円 5 神奈川県317万4千円
6 静岡県 335万7千円 6 栃木県 306万2千円
7 埼玉県 332万4千円 7 大阪府 303万9千円
8 富山県 331万6千円 8 富山県 302万7千円
9 栃木県 331万4千円 9 三重県 298万8千円
10 兵庫県 330万1千円 10 千葉県 297万6千円
橋下の公約はもう論外。「トライ」とか「笑顔」とか言っているけど、如何にも「郊外や都心一等地にお住まいの、セレブな子育て主婦や若者の票に、狙いを定めました」というのが見え見えで。「それ以外はもう人間じゃないから、別に投票に来ずに家にでも寝ていてくれたら良いよ」とあからさまに言われているような気がして、非常に感じが悪い。実際、彼は「今度の選挙では高齢者や経済弱者の問題よりも子育ての問題で行く」という様な事を言っていますしね。「石畳と淡い街灯」だけで知事になれるのなら、誰でも知事になれる。
それでも多分通るでしょうね。残念ながら。ネット世論調査では確かに熊谷支持が優勢ですが、実際に私の周囲の巷の噂を聞いていると、結構橋下のファンがいる様なのです。但しその大半は、「若そうだし、やってくれそうだから」とかいう程度のミーハーが多い。小泉チルドレンを支持した構図と全く同じです。「橋下は当選してから苦労する」と誰かが言っていましたが、私もそんな気がする。早ければ数ヶ月で安倍さんの二の舞を演じる事になるかも。
だからそういう人とじっくり話をすると、大概は「成る程なあ、3人の中では梅田さんが一番しっかりした事を言っているなあ」となるのですが、それでも実際は大抵熊谷か橋下に入れちゃうんですね、これが。死票になると分かっていても入れる人は、今日び余りいない。それも全ては衆院の小選挙区制優位の選挙制度が為せる技なのですが、今更それを言っても始まらない。
せめて民主党が、熊谷の「東京に負けるな」式の、党利党略・点数稼ぎでしかない「東京が大阪が」「自民が民主が」の論理じゃなくて、「そういう経済的・社会的格差が生まれる仕組みそのものを変える」という観点から、共産党や新社会党とももっと早くから<本気で>野党統一候補擁立の話を進めていたら、絶対に勝てるのに。こんな世の中が良いと本気で思っている人など、殆どいないのだから。昨年の東京都知事選でも確実に勝てていた筈です。あの時も、三多摩各市では浅野+吉田票の方が石原票を上回っていたのですから。それでこそ民主党の株も本当に上がろうというものを。
今のままでは、有権者はいつかは民主党にも愛想を尽かす時が来ると思う。その票が90年代後半の様に共産党に流れてくれれば良いのですが、今のままだと自民党やそれ以上に変な極右の方に流れかねない。三流マスコミがそれを盛んに煽っていますから。
いつぞやも、新保守派(中川昭一など)・穏健派(加藤紘一・鳩山由紀夫など)・中道派(山拓とかだったかな)・日和見派(小池百合子など)と並べて、新保守派を実質的に持ち上げていたアホ番組を目にしましたが、何の事は無い、どれここれもみんな(元)自民党じゃないか。
そんな時流の中にあって、しかも共産党とは解同問題での路線の違いがある中で、今回梅田候補支持に回ってくれた新社会党の決断については、私は高く評価したいと思います。
●橋下徹(はしもと・とおる):無所属(自民党・公明党各府連推薦)
弁護士 橋下徹 オフィシャルウェブサイト
http://www.hashimoto-toru.com/index.html
「おおさか」を笑顔にするプラン(マニフェスト)
http://www.hashimoto-toru.com/osaka/index.html
●熊谷貞俊(くまがい・さだとし):無所属(民主党・社民党・国民新党推薦)
熊谷貞俊 ほっとかれへん大阪!(公式HP)
http://www.kumagai-osaka.com/index.html
プロジェクト・クマ 「府民の生活が第一」(マニフェスト)
http://www.kumagai-osaka.com/manifesto.html
●梅田章二(うめだ・しょうじ):無所属(共産党・新社会党推薦)
庶民派弁護士 梅田章二が行く(公式HP)
http://www.umesyo.com/
大阪府政を変える 梅田章二のマニフェスト
http://www.umesyo.com/wp-content/themes/umesyo02/manifesto.html
私は今まで選挙では共産党の候補に投票してきました。直近の衆院選小選挙区で民主党候補に入れたのを唯一の例外として。そして今回の知事選でも、知人に頼まれて、近所で梅田陣営のビラ全戸配付を手伝っています。だから本来ならば何も迷う事無く梅田候補に投票するのが筋ですが、今回は少し迷いました。それは、自公与党が擁立してきた橋下候補というのが、またよりによってあんまりにもあんまりな候補だからです。
彼は所謂タレント弁護士で、光市母子殺害事件弁護団への懲戒請求の仕掛け人としても有名な人ですが、ネットで検索したら、弱者バッシングやバックラッシュ・ヘイトスピーチ発言の数々が、出るわ出るわ。それに、選挙告示前の下馬評やマスコミ報道で「橋下意外と苦戦」と伝えられた事や、民主党支持層にも橋下を嫌う層が結構いるみたいだったので、実は今回は熊谷か梅田のどちらにしようか、少し迷っていました。今は黒田府政の頃とは違い、共産党系候補が知事選に当選する見込みは殆ど無いですから。
しかしまあそれは、熊谷候補の公約がはっきりしてから最終的に決めようと思っていたのですが、それがなかなか出なかった。それで告示前にやっと出してきたのが上記の公約です。もう少しマトモな事を書くかなと思っていたのですが、はっきり言って興ざめしました。
「府民生活が第一」という事で8項目の柱を立てていますが、どれもこれも抽象的・総花的で、全然気迫がこもっていません。それでその具体的な中身はというと、「新幹線の大阪駅乗り入れ」だったり「府市二重行政の解消、公立大学の統廃合」だったりで、救急医療対策で少し独自色を出して、それでお茶を濁している程度でした。その一方では「関空を国際ハブ空港に」とか「道州制導入」とかも書いていて、これじゃあまるで「隠れ自民党・財界」じゃないですか。
自公が地方組織だけの推薦だけに止めて政党隠しに出ているのも、単に無党派を意識しているからだけではなくて、橋下と熊谷のどっちに転んでも良いように、双方に保険をかけているからでしょう。昨年の東京都知事選挙の時の浅野候補と比べても、もうお話にならない。今回も梅田候補に入れる事にします。
ただ、熊谷陣営の公約の中に下記のデータが掲載されていて、改めて経済の東京一極集中ぶりを思い知らされた事については、こちらも良い勉強にはなりました。これを見ると、大阪も愛知も県民所得が減って、完全な東京の一人勝ちですね。熊谷さんは「だから大阪も頑張って全国順位を上げるのだ」と息巻いているのですが、そんな事は既に20年以上も前から言われていた事で、しかもとっくに破綻済みの論理でしかない。肝心なのは、そんな「椅子取りゲーム」に現を抜かす事ではなくて、地方を犠牲にして東京だけがその上に胡坐をかいている今の経済の仕組みそのものを、もっとみんなが公平に潤うものに変えていく事でしょう。
1996年度と2004年度の全国県民所得トップ10
1996年度 2004年度
1 東京都 428万2千円 1 東京都 455万9千円
2 愛知県 372万3千円 2 愛知県 344万円
3 神奈川県357万6千円 3 静岡県 324万7千円
4 大阪府 353万4千円 4 滋賀県 323万5千円
5 滋賀県 352万9千円 5 神奈川県317万4千円
6 静岡県 335万7千円 6 栃木県 306万2千円
7 埼玉県 332万4千円 7 大阪府 303万9千円
8 富山県 331万6千円 8 富山県 302万7千円
9 栃木県 331万4千円 9 三重県 298万8千円
10 兵庫県 330万1千円 10 千葉県 297万6千円
橋下の公約はもう論外。「トライ」とか「笑顔」とか言っているけど、如何にも「郊外や都心一等地にお住まいの、セレブな子育て主婦や若者の票に、狙いを定めました」というのが見え見えで。「それ以外はもう人間じゃないから、別に投票に来ずに家にでも寝ていてくれたら良いよ」とあからさまに言われているような気がして、非常に感じが悪い。実際、彼は「今度の選挙では高齢者や経済弱者の問題よりも子育ての問題で行く」という様な事を言っていますしね。「石畳と淡い街灯」だけで知事になれるのなら、誰でも知事になれる。
それでも多分通るでしょうね。残念ながら。ネット世論調査では確かに熊谷支持が優勢ですが、実際に私の周囲の巷の噂を聞いていると、結構橋下のファンがいる様なのです。但しその大半は、「若そうだし、やってくれそうだから」とかいう程度のミーハーが多い。小泉チルドレンを支持した構図と全く同じです。「橋下は当選してから苦労する」と誰かが言っていましたが、私もそんな気がする。早ければ数ヶ月で安倍さんの二の舞を演じる事になるかも。
だからそういう人とじっくり話をすると、大概は「成る程なあ、3人の中では梅田さんが一番しっかりした事を言っているなあ」となるのですが、それでも実際は大抵熊谷か橋下に入れちゃうんですね、これが。死票になると分かっていても入れる人は、今日び余りいない。それも全ては衆院の小選挙区制優位の選挙制度が為せる技なのですが、今更それを言っても始まらない。
せめて民主党が、熊谷の「東京に負けるな」式の、党利党略・点数稼ぎでしかない「東京が大阪が」「自民が民主が」の論理じゃなくて、「そういう経済的・社会的格差が生まれる仕組みそのものを変える」という観点から、共産党や新社会党とももっと早くから<本気で>野党統一候補擁立の話を進めていたら、絶対に勝てるのに。こんな世の中が良いと本気で思っている人など、殆どいないのだから。昨年の東京都知事選でも確実に勝てていた筈です。あの時も、三多摩各市では浅野+吉田票の方が石原票を上回っていたのですから。それでこそ民主党の株も本当に上がろうというものを。
今のままでは、有権者はいつかは民主党にも愛想を尽かす時が来ると思う。その票が90年代後半の様に共産党に流れてくれれば良いのですが、今のままだと自民党やそれ以上に変な極右の方に流れかねない。三流マスコミがそれを盛んに煽っていますから。
いつぞやも、新保守派(中川昭一など)・穏健派(加藤紘一・鳩山由紀夫など)・中道派(山拓とかだったかな)・日和見派(小池百合子など)と並べて、新保守派を実質的に持ち上げていたアホ番組を目にしましたが、何の事は無い、どれここれもみんな(元)自民党じゃないか。
そんな時流の中にあって、しかも共産党とは解同問題での路線の違いがある中で、今回梅田候補支持に回ってくれた新社会党の決断については、私は高く評価したいと思います。