●<国家戦略室>政策参与に「反貧困ネット」の湯浅氏起用内定(毎日新聞)
政府は14日、国家戦略室の政策参与に「反貧困ネットワーク」事務局長の湯浅誠氏(40)を起用する人事を内定した。湯浅氏は、年末年始に東京・日比谷公園で失職した非正規雇用労働者に支援を行った「年越し派遣村」の村長を務めたことで知られる。
政策参与は非常勤の国家公務員で、人事の発令は11月1日。湯浅氏は失業者対策や貧困問題などの分野で菅直人国家戦略担当相に政策提言するほか、近く設置される政府の緊急雇用対策本部でも助言を行う。
湯浅氏は14日の会見で「現場の状況を改善するために今まで活動してきた。路上に放り出されて命をなくす人たちへの対策を求め、作っていきたい」と話した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091014-00000073-mai-pol
●守る会の質問状に各党が回答(朝鮮民主主義研究センター)
北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会が北朝鮮政策に関して各政党に質問状を送った。核、拉致、脱北者、帰国者という四つの問題についてそれぞれ数個ずつ質問するものだ。回答したのは国民新党、自由民主党、民主党、日本共産党、および期限を過ぎてから社会民主党。国民新党は「現時点で党の見解をまとめ回答を出すことは困難」という回答であり、実質的に回答したのは四党だ。
マニフェストのレベルでは自民党と民主党の北朝鮮政策はほとんど違いがなかった。しかしこの質問状への回答では両者の違いが明確に出た。
脱北者の保護に関し、自民党は日本国籍者と元在日コリアンであれば日本に受け入れる、と回答したのに対し、民主党はそれ以外の脱北者についても受け入れると回答している。(民主党の回答では日本国籍者の受け入れにマルが付いていなかったようだが、単純なミスであろう。) 民主党は脱北者を難民とする判断を示して中国政府による強制送還を批判し、日本が受け入れた脱北者への定着支援についても肯定的に回答している。概ね満足できる回答と言っていい。一方、自民党は帰国事業に関する質問には一切答えない無責任ぶりを示した。落第だ。
選挙では民主党の大勝が予測されている。しかし民主党がこの回答で示した北朝鮮政策を実行するかどうかは分からない。マニフェストに何も書かれていなかったということは、現時点で重要な問題と見なされていないということだ。今後、脱北者の保護が大きな問題とならなければ、この北朝鮮政策は紙の上のものにとどまるだろう。市民団体、マスメディアの努力が必要だ。
http://www.asiavoice.net/nkorea/2009/08/post_304.html
大分間が空きましたが、久しぶりに北朝鮮問題について。本当はもっと早くに書き上げるつもりだったのですが、とうとう今になってしまいました。
派遣村と脱北者保護という、それだけでは互いに何の関連性も無い上記2つの記事を、わざわざ私が全文転載してここに紹介したのは、ちょっとした訳があります。それは、この2つの記事からも、鳩山新政権の性格がにじみ出ているように感じるからです。
今の鳩山政権の与党・民主党は、元々は「自民党の補完・代替物」として、財界肝入りで小選挙区制とセットで誕生した体制内野党だったのが、それでも自民党への対抗上、どうしても一定の「野党色」は打ち出さざるを得ないという、深刻な矛盾を抱えた政党です。だから、「非自民」若しくは「反自民」という以外には、明確な旗印(政治的な軸)を打ち出す事が出来ません。それは、この党は左右雑多な勢力の寄せ集め政党なので、余り旗印にばかり拘ると空中分解しかねないからです。
民主党が盛んに宣伝する「脱官僚政治」にしても、これだけでは何の旗印にもなりません。昨今、官僚だけがさも諸悪の根源のように言われていますが、官僚なんて、所詮は小悪止まりの木端役人にしか過ぎません。その小悪を手なずけ動かしている巨悪こそが問題なのであって(三権分立なんて単なる建前)、そこ(立法・政治権力)が変わらなければ木端役人(行政・司法)も変わりようがありません。しかし、それを問題にしだすと空中分解しかねないから、貧困層にも規制緩和を求める財界にも良い顔が出来る「脱官僚政治」でお茶を濁しているのです。
そんな鳩山・民主党政権ですが、これは国民サイドからすれば、自分たちの運動如何によっては、いくらでも政治を変える事が出来るという事ではないでしょうか。そして「軸がない」という事も、これは裏返せば「旧来のイデオロギーには捉われない」という事ではないでしょうか。つまり、旧来の自民党支配ほどには財界や米国の縛りは効かない代わりに、旧来の左翼イデオロギーにも拘束されず、国民の運動がストレートに政治に反映される、そういう側面があるという事です。
だから、派遣村の村長を国家戦略室の参与に据える一方で、脱北者支援についても前政権よりも更に踏み込んだ動きも見られるのではないでしょうか。
勿論、軸が定まらない民主党政権の事ですから、片時も目が離せません。派遣村村長起用にしても、それでお任せでは、単なる「お飾り・ガス抜き」に終わるだけでしょう。脱北者支援にしても、このままではアンケートの回答だけに終わる可能性が大です。どちらも、「市民団体、マスメディアの努力」によって、その後の動きが決まるでしょう。
こう言うと必ず出てくるであろう反論が、「北朝鮮と友好的で拉致を否定した社民党が連立政権に加わっている」「民主党も外国人参政権や人権擁護法案に賛成する売国政党だ」というものでしょう。そういう意見は、総選挙前にもネットで多数見られましたが、うんざりしますね。いつまでそういう過去の経歴にばかり拘っているのかと思いますね。
確かに、社民党や共産党が北朝鮮の人権問題に及び腰なのは事実だし、民主党にも似たような議員は少なくありませんが、いつまでもそればかりを論い、相も変わらず「労働組合が日本を侵略w」云々のネガキャン・ネトウヨ言説ばかり振り回しているようでは、これらの党の支持者だけでなく、それ以外の国民も逆に引いてしまうと思います。そういう人は、櫛渕万里さん(民主党衆院議員・前ピースボート事務局長)の夫が中国民主活動家の李松さん(民主中国陣線代表)である事や、脱北者支援NGO「守る会」(北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会)幹部に何人もの共産党員がいる事を、どれだけ知っているのでしょうか。
ところが、北朝鮮・拉致問題支援者の多くは、「愛国」や「国防」を口にしながら、現実の主権・人権侵害たる米軍基地問題や、米国言いなりの農産物輸入自由化、規制緩和による「派遣切り」には一切頬かむり、という逆ダブスタぶり。しかも実際にやっている事はと言えば、在日外国人虐めや、ジェンダーフリー批判に名を借りた弱者叩き、自民党・財界・右翼メディア・新自由主義者と一緒になっての「派遣村」バッシング、日の丸をゲバ棒代わりにしての暴力沙汰、といった事ばかりで。そんな人たちが幾ら民主党や左翼を批判した所で、傍からすれば「結局お前らもやっている事は同じじゃないか」。
確かに、北朝鮮や日米安保・自衛隊などの問題については、社民・民主両党間の隔たりは大きいし、民主党内部にも様々な意見があるのは否めません。そして私も左派として、これらの問題や外国人参政権問題については、「救う会」などの北朝鮮・拉致問題関係者とは大きく見解を異にします。しかし、前述の「守る会」アンケートにもみられるように、少なくとも脱北者保護・支援については寧ろ自民党よりも積極的な回答が寄せられていたりもするのですから、何故そこをもっと前に推し進めるよう、働きかけないのでしょうか。
「守る会」理論誌「光射せ!」創刊号に、「左翼”リベラル”は何故北朝鮮の人権侵害に及び腰なのか?」という一文が掲載されていますが、そのような既存のイデオロギーに拘っているのは、別に左翼”リベラル”だけではないでしょう。寧ろ今は、北朝鮮・拉致問題支援者のほうこそが、左翼”リベラル”以上に、冷戦・反共・排外主義のイデオロギーに拘っているのではないでしょうか。
(参考記事)
・国家基本問題研究所の意見広告―真の「争点」は何でしょうか?(島田洋一ブログ)
http://island.iza.ne.jp/blog/entry/1179876/
・何が「生活が第一」か、インド洋、シーレーン、拉致(眞悟の時事通信)
http://www.n-shingo.com/cgibin/msgboard/msgboard.cgi?page=372
・必死に反日エンジンをふかす民主党ら②再度、日本人と「拉致」の間に「生活」を割り込ませる民主党(雅子皇太子妃・皇太子御一家の現状は"第二の女系天皇問題"【FC2支局】)
http://bluefoxhispeed.blog91.fc2.com/blog-entry-95.html
・検証:右翼市民運動 組織拡大の背景とその行動、習性、思想 私たちはどう向き合えばいいのだろうか(日刊べリタ)
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=200905111500151
・外国人参政権反対を叫ぶ似非右翼暴力集団が、一人の容認派を集団で暴行(You Tube)
http://www.youtube.com/watch?v=Cs9Z3zdt3qs