今日は定例の腰痛治療日。いつものように、行きつけの鍼灸医さんに、1時間半みっちり鍼を打って貰いました。そこは完全予約制で隔週に通っており、会社の出勤シフトも治療日を定休日にして貰っています。保険がきかないので治療費が毎回6千円もかかりますが、腕が良いのか、日曜日の今日も次の患者さんが途切れることなく来られていました。
そこで、鍼灸医さんと治療中にブログの話になり、前回記事「弱肉強食とベーシック・インカム―維新八策の橋下話法」の内容をかいつまんで紹介しました。橋下大阪市長と彼の率いる地域政党「大阪維新の会」が国政進出用に打ち出した選挙公約の中に、改憲・日米安保強化・TPP推進・競争至上主義・市場原理主義のいわば「弱肉強食」的主張と同時に、ベーシック・インカム(最低生活保障)や「富裕層の年金は掛け捨てにし、それを貧困層の年金引き上げに回す」といった「所得再配分・弱者救済」的な主張も打ち出してきているが、それをどう評価するかという話です。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120213-00000000-san-pol
その時に鍼灸医さんから出たのが、「所得再配分・弱者救済」と言うが、当の貧困層の中にはそれを望んでいない人もいる。職業柄色んな患者さんと話をするが、その中で経営者の患者さんから、「今の最低賃金制度が雇用確保の障害になっている」「最低賃金以下でも働きたい人は幾らでもいる」「最賃の縛りがなければ、こちらももっと人を雇えるのに」という話がよく出るが、××さん(私の事)はそれについてどう思うか?―という質問です。
私は最初、果たしてそんな人がいるのだろうかと、訝しく思いました。誰だって最低賃金は少ないより多い方が良いに決まっています。しかし、確かにそう言われれば、以前の職場で休憩中に最賃時給千円への引き上げの話が出た時も、「そんな夢物語みたいな事を」とまともに取り合わなかったバイトも決して少なくなかった事を思い出しました。また、その職場では、社会保険への加入を忌避するバイトもいた事を思い出しました。
だから「これは決してあり得ない話じゃないな」と思いました。しかし、そんな「奴隷根性のへ理屈」を認めてしまったら、正に経営者に好いようにあしらわれるだけ、それこそ資本家の思う壺だろうと思い、こう答えました。
「それこそ正に財界の思う壺じゃないか。恐らくその発言は、外国人を違法に雇わなければやって行けないような零細企業の経営者から出たものだろうが、大企業ばかり優遇して中小企業を顧みない国の経済政策を糺さずに、その矛盾をより貧しい人たちにしわ寄せする事ばかり考えていたのでは、最後にはそんな状態が当たり前のようになってしまい、国民はみんな自滅してしまう」と。
そうしたら、その鍼灸医さんは、「それはその通りで正論なんだけど、当の経営者や、どんな仕事でも良いから職にありつこうとしている(そこまで追い詰められている)失業者に、そんな正論だけ言っていても受け入れられない」「橋下のトンデモ発言の方が有権者に受け入れられてしまい、橋下批判が正論であるにも関わらずなかなか有権者に浸透しないのも、そこら辺に原因があるのじゃないか」という事を仰っていました。
なるほど鍼灸医さんの言う事も一理あります。これだけ格差が広がっているのに貧しい人がなかなか立ち上がらず、それどころか逆に「給料の手取りが減るから社会保険には入りたくない」というような意見がバイトから出るのも、それと同じ現象です。冷静に考えれば、無保険や国保加入よりも社会保険に加入する方が、医療費の負担額も少なくて済むし、「金の切れ目が命の切れ目」となる確率も少なくて済む。でも、そんな事よりも一円でも多く稼がなければならない、そこまで追い詰められている人にとっては、やはり「将来の安心より目先の金」なのです。
でも、それでは鍼灸医さんも仰っていたように、結局は「朝三暮四」に終わってしまうだけなのです。猿にエサの栃の実を晩4つ与える代わりに朝は3つに減らすと猿は怒るが、その逆をすると1個エサが増えたと猿は喜ぶ。その分逆に晩のエサが削られる事になるだけなのに、猿はそこまで考えられない。橋下の「富裕層の年金は一代限りの掛け捨てに」という公約もそれと同じで、そんな事をすれば富裕層の年金滞納や脱税が増え、年金制度への信頼が根底から崩れてしまうだけなのに、貧乏人はそこまで考えられずに、橋下の「朝三暮四」公約に簡単に騙されてしまう。
しかし、その橋下の「朝三暮四」公約が単なる詐欺的なトリックである事を批判できるのは、まだ全体的に物が見れる人、それだけまだ経済的な余裕のある人に限られるのだ。その余裕のない人、朝のエサを4つから3つに減らされたら餓死してしまうような人にとっては、たとえそれが詐欺だと薄々感じていたとしても、それでも朝4つ貰える方に靡いてしまうのだ。
そうさせない為には、「朝三暮四」を詐欺と批判しているだけでは不充分であって、朝も晩もエサを4つ貰えるようにするか、エサではなくまともな食事が取れて、食うだけのカツカツの生活からも抜け出れるような運動にしていかなければならない・・・と、そういう趣旨の事を仰っていました。
じゃあ具体的にどうすれば良いのか。簡単には答えが出ませんが、ひょっとしたら、この話の中にそのヒントが隠されている・・・かも。
そこで、鍼灸医さんと治療中にブログの話になり、前回記事「弱肉強食とベーシック・インカム―維新八策の橋下話法」の内容をかいつまんで紹介しました。橋下大阪市長と彼の率いる地域政党「大阪維新の会」が国政進出用に打ち出した選挙公約の中に、改憲・日米安保強化・TPP推進・競争至上主義・市場原理主義のいわば「弱肉強食」的主張と同時に、ベーシック・インカム(最低生活保障)や「富裕層の年金は掛け捨てにし、それを貧困層の年金引き上げに回す」といった「所得再配分・弱者救済」的な主張も打ち出してきているが、それをどう評価するかという話です。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120213-00000000-san-pol
その時に鍼灸医さんから出たのが、「所得再配分・弱者救済」と言うが、当の貧困層の中にはそれを望んでいない人もいる。職業柄色んな患者さんと話をするが、その中で経営者の患者さんから、「今の最低賃金制度が雇用確保の障害になっている」「最低賃金以下でも働きたい人は幾らでもいる」「最賃の縛りがなければ、こちらももっと人を雇えるのに」という話がよく出るが、××さん(私の事)はそれについてどう思うか?―という質問です。
私は最初、果たしてそんな人がいるのだろうかと、訝しく思いました。誰だって最低賃金は少ないより多い方が良いに決まっています。しかし、確かにそう言われれば、以前の職場で休憩中に最賃時給千円への引き上げの話が出た時も、「そんな夢物語みたいな事を」とまともに取り合わなかったバイトも決して少なくなかった事を思い出しました。また、その職場では、社会保険への加入を忌避するバイトもいた事を思い出しました。
だから「これは決してあり得ない話じゃないな」と思いました。しかし、そんな「奴隷根性のへ理屈」を認めてしまったら、正に経営者に好いようにあしらわれるだけ、それこそ資本家の思う壺だろうと思い、こう答えました。
「それこそ正に財界の思う壺じゃないか。恐らくその発言は、外国人を違法に雇わなければやって行けないような零細企業の経営者から出たものだろうが、大企業ばかり優遇して中小企業を顧みない国の経済政策を糺さずに、その矛盾をより貧しい人たちにしわ寄せする事ばかり考えていたのでは、最後にはそんな状態が当たり前のようになってしまい、国民はみんな自滅してしまう」と。
そうしたら、その鍼灸医さんは、「それはその通りで正論なんだけど、当の経営者や、どんな仕事でも良いから職にありつこうとしている(そこまで追い詰められている)失業者に、そんな正論だけ言っていても受け入れられない」「橋下のトンデモ発言の方が有権者に受け入れられてしまい、橋下批判が正論であるにも関わらずなかなか有権者に浸透しないのも、そこら辺に原因があるのじゃないか」という事を仰っていました。
なるほど鍼灸医さんの言う事も一理あります。これだけ格差が広がっているのに貧しい人がなかなか立ち上がらず、それどころか逆に「給料の手取りが減るから社会保険には入りたくない」というような意見がバイトから出るのも、それと同じ現象です。冷静に考えれば、無保険や国保加入よりも社会保険に加入する方が、医療費の負担額も少なくて済むし、「金の切れ目が命の切れ目」となる確率も少なくて済む。でも、そんな事よりも一円でも多く稼がなければならない、そこまで追い詰められている人にとっては、やはり「将来の安心より目先の金」なのです。
でも、それでは鍼灸医さんも仰っていたように、結局は「朝三暮四」に終わってしまうだけなのです。猿にエサの栃の実を晩4つ与える代わりに朝は3つに減らすと猿は怒るが、その逆をすると1個エサが増えたと猿は喜ぶ。その分逆に晩のエサが削られる事になるだけなのに、猿はそこまで考えられない。橋下の「富裕層の年金は一代限りの掛け捨てに」という公約もそれと同じで、そんな事をすれば富裕層の年金滞納や脱税が増え、年金制度への信頼が根底から崩れてしまうだけなのに、貧乏人はそこまで考えられずに、橋下の「朝三暮四」公約に簡単に騙されてしまう。
しかし、その橋下の「朝三暮四」公約が単なる詐欺的なトリックである事を批判できるのは、まだ全体的に物が見れる人、それだけまだ経済的な余裕のある人に限られるのだ。その余裕のない人、朝のエサを4つから3つに減らされたら餓死してしまうような人にとっては、たとえそれが詐欺だと薄々感じていたとしても、それでも朝4つ貰える方に靡いてしまうのだ。
そうさせない為には、「朝三暮四」を詐欺と批判しているだけでは不充分であって、朝も晩もエサを4つ貰えるようにするか、エサではなくまともな食事が取れて、食うだけのカツカツの生活からも抜け出れるような運動にしていかなければならない・・・と、そういう趣旨の事を仰っていました。
じゃあ具体的にどうすれば良いのか。簡単には答えが出ませんが、ひょっとしたら、この話の中にそのヒントが隠されている・・・かも。