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時給400円のハシウム強制収容所

2012年04月16日 00時13分56秒 | 都構想・IRカジノ反対!
 もう数日前の事で、全国的なニュースにもなりませんでしたが、橋下・大阪市政の本質を考える上で重要な内容だと思うので、下記の記事を紹介しておきます。

●「西成特区」で仰天改革案 生活保護受給者「就労所得貯蓄」で自立支援(産経新聞)

>大阪市の橋下徹市長が活性化に向けた特区構想を打ち出した同市西成区で、生活保護受給者が働いて得た収入を行政側で積み立て、生活保護から抜ける自立時に一括返還して初期生活費に充ててもらう制度を導入するという改革案を、特区構想担当の市特別顧問、鈴木亘・学習院大教授(社会保障論)がまとめたことが7日、分かった。区民の4人に1人が生活保護受給者という状況の中、受給者の就労・自立を促し、市財政を圧迫する生活保護費の縮減にもつながる一石二鳥の案としており、鈴木氏は近く橋下市長に提示する。
>現行の生活保護制度では、原則として受給者の就労所得などが増えるとその分保護費がカットされるため「労働意欲の向上につながらない」との指摘がある。また、受給者が自立すると、それまで不要だった公的医療の保険料や医療費の窓口負担などが必要となり、自立時の生活費を圧迫する実情もある。
>鈴木氏の案では、西成区の受給者に自立支援プログラムによる5年間の就労義務を課し、収入は区の福祉事務所で貯蓄。自立時に返却するとしている。就労報酬額は、3年程度は最低賃金(大阪府は時給786円)の適用除外として同400円程度とし、その後は最低賃金にすると仮定。企業側にも雇用義務を課し、若い労働者と雇用者のマッチングが図れるとともに、就労経験による技術習得にもつながるとしている。
 http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/120408/waf12040809010000-n1.htm

 現行の生活保護制度では、とりあえず最低限の衣食住は保障されるものの、貯蓄が一切認められない「飼い殺し」状態に置かれる上、昨今は周囲から何かと「ゴク潰し」扱いされる事も多いので、生活保護受給者の中にはヤケになって酒やギャンブルに走る人も出るのだろう。それを防止する上でも、就労収入を貯蓄に回せるように制度を改めるべきだとは思っていました。
 そんな折り、西成区から通っている同僚から、「今の生活保護支給額を、3年間は時給400円分だけに抑え、残額は全て行政の方でプールし、3年後に自立資金として本人に手渡した後に、最低賃金での就労を保障する形に変える改革案が浮上している」という話を、職場の昼休みに食堂で聞きました。
 私、それを聞いて耳を疑いましたね。
 まず思ったのが、「はあっ?そもそも時給400円でどうやって食っていけっちゅうの?」。これには流石に周囲のバイトも呆れていました。「今のワシらの給料でもカツカツ食っていけるかどうかなのに、一体何を考えてそんな事を言っているのか!」と。当たり前ですわね。
 そして、「3年後の還付以後も最低賃金ギリギリで我慢せえとは、一体どういう事か」と。計算してみたら直ぐ分かりますが、たかだか700~800円の最低時給では、1ヶ月フルタイムでまともに働いても月収11~12万円ぐらいにしかなりません。幾ら生活保護継続中で定期代や医療費が無料とは言っても、これで2年後の保護脱却に向けて自立資金を貯蓄するのは無理です。
 これでは行政が率先して「囲い屋」「タコ部屋」を斡旋しているようなものじゃないですか。「行政による貧困ビジネス・蟹工船・女工哀史」です。こんなモノは「仰天改革案」でも何でもない。寧ろ「トンデモ改悪案」とも言うべきものです。

 その後、「そうはいっても生活保護受給者も酒やギャンブルに走りがちやで」という意見が出たので、それについても一言。
 マスコミは一部の例を挙げて針小棒大に伝えているが、実際の不正受給者は全体の0.04%、つまり1万人中4人位の割合でしかない。また「受給者が200万人を超え戦後最高記録を更新中」と煽るが、では、生活保護受給者と同程度の年収200万以下の貧困層が日本全人口の何%を占めるのか(相対的貧困率)。全体の約16%、2千万人近くが食うや食わずの生活を強いられている。しかし実際の受給者は「たったの200万人」で、残りの1800万人はセーフティネットの蚊帳の外に置かれている。こちらの方こそよっぽど大問題なのに、何故それを問題にせずに0.04%の不正受給者の事ばかり言い立てるのかと。
 それは「下見て暮らせ傘の下」の発想で飼い馴らそうとしているからです。だから、生活保護予算の総枠には手を付けずに、寧ろ今よりもっと減らそう減らそうとする中で、猿にやるエサを「朝4つ暮3つ」から「朝3つ暮4つ」に置き換えて取り繕うとする、こんな「朝三暮四」の子供だましみたいな事をするのでしょう。
 日本が幾ら借金大国と言っても経済大国に代わりはない。借金まみれになったのも、元はと言えば国の予算の使い方が無茶苦茶だからで、決して金がない訳ではない。ある所にはあるのだから、その金で福祉予算を増やせるのに、逆に「借金が多いから」と言って、福祉予算を真っ先に削る。国の予算の無駄遣いには全然メスを入れずに。当然これは、今盛んに言われている「公務員厚遇」「天下り」「議員定数」だけでなく、原発や大型開発、米軍への思いやり予算、政党助成金バラマキなどの、もっと大きなムダも含めてです。

 私、この記事を読んで、「新聞奨学生制度がブラック業界の隠れ蓑に変質してしまっている現状ともよく似ているな」と思いました。元々は苦学生向けに「新聞配達で働きながら学費を稼げる」制度として始まったのに、いつしか新聞社・販売店によるピンハネ搾取の隠れ蓑になってしまった。その「奨学金制度」をそのまま「生活保護」に置き換えたのが、この「時給400円の強制労働」じゃないですか。(新聞奨学生制度の実態については週刊ダイヤモンドの記事参照)
 「誰やこんな事を考えたのは?」「きっとアイツだろう、アイツしかいない」と思ってネット検索したら、出てきたのが冒頭に紹介した記事です。やっぱり「アイツ」=橋下徹・大阪市長の仕業でした。
 橋下政治を、よく「独裁」「ファシズム」とか、そのファシズムと橋下を引っかけて「ハシズム」と揶揄する言葉が流行しましたが、それはあくまで橋下の「手法」であって「本質」ではありません。「弱肉強食」「拝金主義」「競争至上主義」こそが橋下政治の本質です。(ちなみに、私はファシズムより更に猛毒の放射性物質セシウムに引っかけて「ハシウム」と揶揄していますがw)
 だからこそ、学区制撤廃でエリート進学校だけ優遇してそれ以外の高校は統廃合の対象にしようとしたり、「大阪都」や「道州制」で自治体の数や職員の数を減らし、今まで公営でやってきた水道や地下鉄も民間大企業の金儲けの道具に変えようとするのです。幾ら多重債務者が増えようが大阪市が儲かりさえすればそれで良しと、「カジノ特区」も推進しようとするのです。「職員基本条例」「教育基本条例」による「日の丸・君が代」強制も、橋下自身が本心から「日の丸」や「君が代」に心酔している訳ではなく(心酔はポーズだけ)、自分の言いなりになる「ヒラメ」職員・教員育成の「踏み絵」としてゴリ押しを図っているのです。そのゴリ押しが「独裁」として現れてきているにも関わらず、多くの有権者は橋下の「弱肉強食」的本質が見抜けずに、「独裁」を逆に「やる気の現れ」と勘違いしてしまっているのです。

 たとえば、次の橋下の、大飯原発再稼働を目論む野田政権に対する批判ツイートにも、その「弱肉強食」論者としての本質が垣間見えます。

●橋下市長「原発再稼働、動かすにしても手順と言うものがあるだろう」(togetter.com)

>皆さん、原発の再稼働の是非については色々ご意見があるかと思います。しかし本質的な問題として、民主党政権が進めている再稼働のプロセスは絶対に間違っている。統治として成立していません。安全性の確認は、基準と適合性のチェックが必要。そしてこれは、専門家に委ねざるを得ません。(t_ishin2012/04/12 00:24:38)
>安全委員会が安全だと宣言し、それに基いて再稼働を政治が決定すればそれはありなんでしょう。もちろん安全委員会の安全宣言については色んな意見が出ると思います。また安全委員会が安全性は不十分だと言ったにも関わらず、政治がそれでも緊急の必要性から再稼働を決めるということもありなのでしょう(t_ishin2012/04/12 00:30:28)
>その場合には政治決定は相当な批判を浴びるでしょう。しかし今回は、安全委員会の安全性に関するコメントをすっ飛ばして、政治が決定しようとしている。安全だから再稼働したのか、安全性が不十分だが政治的に再稼働を決定したのか全く分からない。こんな進め方は統治ではない。(t_ishin2012/04/12 00:32:18)
 http://togetter.com/li/286857

 実際には産業構造の変化や人口減少・省エネ技術の進歩などにより、高コストで被曝リスクもある原発なぞ無くても充分やっていけるのに、原発利権の温存を図る為に、「再稼働の結論先にありき」で突っ走っている野田政権は勿論打倒されるべきです。でも、それは橋下が主張するような「原子力安全委員会を蔑にした」といった「プロセス・手順」の誤りに止まるものではありません。原発推進勢力が、被曝や環境汚染の危険を常に地方住民や下請け労働者に押し付けながら、自らは安全地帯に身を置いて利潤追求しか考えないという、非人道的な企業体質や経済システムこそが問われなければならない筈です。
 そうであるなら、原発批判のツイートも「被曝や汚染を地方や下請けのみに押し付けるな」「不平等の犠牲の上に自分たちだけ胡坐をかくな」といったものでなければならない筈です。それが何ですか、「統治」がどうのこうのといった「上から目線」「支配者目線」のこの物言いは。橋下自身も、「自らは安全地帯に身を置いて利潤追求しか考えない」という意味では、野田政権やそれ以前の民主党・自民党政権、その他の電力企業や原発推進勢力と同じ穴のムジナだからこそ、こんな言い方しか出来ないのでしょう。そもそも、それ以前に、①核武装は肯定②反原発住民運動への敵視・非協力③震災以前には原発への言及皆無④過去の変節・公約破り(2万%出馬しないと言って出馬、敬老パス廃止しないと言って廃止等々)を見ても、橋下の「脱原発」公約が「その場しのぎの人気取り」でしかない事は明らかなのですが。
 だから、生活保護制度の改革でも、こんな「最低限度のエサさえ与えておけば良い」と言わんばかりの発想・表現しか出来ないのです。しかし、我々は「エサを与えられるだけの猿」でも、「人材」という名の使い捨ての消耗品でもない。橋下と同じ人間であり、基本的人権があるのだ。バカにするのもいい加減にしろ!
コメント
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