私事ですが、チューター役の先輩オペレーターの高圧的な物言いにブチ切れて、遂に本日付けでダブルワーク先のコールセンターを退職して来ました。
ダブルワーク先のコールセンターでは、長かった座学講習もようやく終わり、いよいよ一人立ちに向けて、数日前から先輩オペレーターとマンツーマンの実地研修に入りました。実際にドライバーからの高速料金や交通情報等の問い合わせに答え、それをチューター役の先輩が横でモニター聴取し、時には先輩が横で調べて回答を私に伝え、私がそれをドライバーに返し(むしろ最初はこの形がほとんど)、応答後に改善点等をアドバイスしていくという形で、研修が進んでいました。
その中で、走行中のドライバーから下記の問い合わせ電話が入りました。
「第二京阪門真(上図A地点)から久御山、大山崎ジャンクション、京都縦貫道経由で舞鶴東インター(B地点)まで行こうと思うんやけど、途中で通行止めや冬タイヤ規制なんかあるんか?」
それに対して、オペレーターは、上記の様な道路情報図を基に、赤矢印の経路に沿って道路情報の案内をします。ところが、上図をよく見ると、同じ京都縦貫道でも、丹波インターから先は線の種類が変わっているのがお判りでしょうか?(赤丸囲みの部分)
実は、ここから先は、ネクスコではなく京都府道路公社の管轄となり、道路情報も府公社のサイトで検索した上で、その旨、ドライバーに告知しなければなりません。
この様に、全国の高速道路には、ネクスコ三社(東日本・中日本・西日本)や首都高速、阪神高速以外にも、色んな運営主体の道路があり、検索先もそれぞれ異なります。そこまで調べた上で、「ここから先は管轄が変わるので、詳細については、念の為に管轄の道路会社にもお問い合わせ下さい」と、案内の際には必ず一言申し添えなければなりません。何故なら、当該区間を実際に交通規制するのは、その道路運営会社だからです。
ところが、その時の私は、お客様の「早く答えろ」という声のトーンと「マニュアル通りに喋らなければならない」というプレッシャーの間でパニックになり、ついうっかり前述の一言を言いそびれてしまいました。もう少し詳しく言うと、道路主体の管轄が変わる事には気付いていましたが、検索すべきサイト名が直ぐに頭に思い浮かびませんでした。ネクスコ西日本のハイウエイ検索サイトから京都府道路公社のサイトに飛べばよいという事も、冷静になった今だから書ける事です。「そのせいで、探すのに時間がかかった上に、『詳しい事はそちらに聞いてくれ』なんて言おうものなら、更にお客様に怒鳴られるのではないか?」そう思って、いつどのタイミングで言おうか迷っているうちに、気付いたら応答が終わってしまっていたのです。
隣で聴いていた先輩はもうカンカンです。「せっかく俺がフォローしてやろうと京都府道路公社のサイトを検索していたのに、何て事してくれたんだ!」となってしまいました。先輩の怒るのも、もっともです。たまたま、その時は運よく府公社区間も交通はスムーズに流れていたから良かったものの、もし車線・タイヤ規制や渋滞、通行止めなどになっていたら大変な事になってしまいますから。
しかし、私にも言い分はあります。ただでさえ早口で短気なドライバーの喋りを聞き取るので精一杯なのに、その上に横から先輩の同様で早口・短気な喋りまで聞き取らなければならないのです。先輩も、ドライバーの喋るのと同じスピードで喋らなければならないので、どうしてもそんな口調になってしまいます。
そうなると、もうドライバーの言う事はメモしなければいけないわ、先輩の言う事もメモしなければいけないわ、道路情報もパソコンで調べなければならないわ、先輩の言った事をそのままおうむ返しにドライバーに答えてドライバーから逆に不審がられるわ、その間にも間を持たす為に、黙ってないでドライバーには「左様でございますか」等何らかのお声掛けを断続的に行なわなければならないわ、保留するたびにドライバーと先輩の両側からやいのやいの言われるわ…。これでは、同時に二人のドライバーを相手にしているようなものではないですか。
昨日あたりから、一部の先輩との間で、そういう悪循環に陥り始めていたので、私の方から「逃げた」のです。今ここで書く限りでは、ちゃんと応えていられるので、オペレーター業務も慣れれば徐々に板に付いて来るかも知れません。でも、その間、数週間か数ヶ月か分かりませんが、昼の仕事をこなしながら、夜も畑違いの慣れない仕事に従事しなければならないのは大変です。「ぶっちゃけ、たかがダブルワークの副業の仕事に、何故そこまで振り回されなければならないのか?」「このままでは私も、下手したら電通で過労自殺した高橋まつりさんみたいな精神状態になってしまうのではないか?」という気持ちに次第に傾いていき、今日の決断に至りました。
「たかがダブルワーク」なんて書いたら、また「だからお前はダメなんだ」等の荒らしコメントが来るかも知れませんが、ここは敢えて言わせてもらいます。「コールセンターもそれを承知の上で、短時間雇用者で回してコストを安く抑えようとしていたのじゃないか」。こんな専門的な仕事は、本当はインバウンド(受信業務)経験者でないと務まりません。そうであるにも関わらず、「未経験者も可、シフト自由、パソコンも入力さえ出来れば可、駅近、終業後はオフィスビルのショップでお買い物」なんて甘い言葉で釣っといて、入ってから「守秘義務」がどうのこうのと抑えつけて、「臭い物に蓋」で誤魔化そうとしても、そうは問屋が卸すか。いくらそんな物で脅しつけようとしても無駄だ。言論の自由は憲法で万人に保障されている。そんなに書かれるのが嫌なら書かれる様な事なぞ最初からするな。
大体からして、マニュアル一通り教えるのに数ヶ月もかけておきながら、講習は一回こっきりで後は自習ばっかりで放ったらかし。それを今頃になってから「自習時間に何していた?」はないでしょう。通信教育でも、テキストだけでなく問題集もちゃんと配布されて添削もされるのに。これでは、テキストだけ配っておいて、「後は読んどけ」と放ったらかしにしている様なものじゃないですか。テストもあるにはありましたが、数回答案が返って来ただけで、これも「後は自習しておけ」で終わりです。
週2~3日の数時間しかシフトに入らない人やオペレーター未経験者も少なくない中で、一回講習しただけの内容なんて、数ヶ月も経ては忘れてしまうのが当たり前でしょう。ましてや、テキストも社外持ち出し禁止で勤務時間にしか自習できないのですから尚更です。どだい、たった一回きりの講習で「後は自習しておけ」だけでは無理なのです。それよりも、電話がかかってきても直ぐに応答できるように、マニュアル集にインデックスを施す等して、直ぐに該当のページを検索できるように、下準備に時間をかけた方が、よっぽど効果的です。しかし、その様な具体的な指導は全然ありませんでした。
そういう未経験者育成が出来ないのであれば、最初から「未経験者もOK」なんて言わずに、「経験者しか採用しません」で通せば良いのです。そうすれば、足手まといな新人に邪魔されず、少数精鋭のベテランだけで効率よく職場を回して行けるでしょう。その代わり、新陳代謝も出来ず、ベテランは死ぬまでそこで働かなければならなくなりますが。生前退位(退職の自由)も認められず、ロボット扱いされながら死ぬまで公務をこなさなければならない次の天皇みたいに。
今から思えば、この職場、他にもおかしな所が一杯ありました。深夜になればセキュリティがかかってビルの非常口からしか出れず、出るには横の解錠ボタンを押さなければドアが開かないのに、そういう肝心な情報を新人のオペレーターには教えず、退勤しようにも外に出れなかったり。月替わりで入室の暗証番号が切り替わったのに、それを初出勤のオペレーターには教えず、「ブースに入れずに困った」と苦情を言ってから初めて「ホームページの周知を見ておけ」。そうならそうと最初から言えや。会社の歴史や守秘義務うんぬんよりも、マニュアルうんぬんよりも、そっちの方がよっぽど大事な情報だろうが。もしドアの前で心臓発作を起こし、ドアの開け方さえ知ってれば外に出て助けを呼べたのに、知らなかったばかりにそこで亡くなってしまったら、会社は一体どう責任取るのか?人を一体何だと思っているのか?
退職の申し出をした今日も、「退職手続きをしに会社に出て来い」という責任者に、私が「何か負け犬みたいで嫌だな」とポロッと漏らした途端に、「退職すると決めたのは貴方のほうでしょう。勘違いして貰ったら困ります」と意味不明な返しが。「はっ?一体誰が何を勘違いしているのか?」と一瞬思いましたが、これもよく考えれば合点が行きます。要は「無理やり辞めさせたのではない。あくまでも貴方自身のほうから辞めたいと言って来たのだ」と言いたいのでしょう。結局、自分の保身しか考えてないんじゃないか。
それで「こちらも退職書類など準備しなければならないので、時間の猶予を欲しい」と言うから「では14時に事務所に伺います」と言った後で、腕時計を見たら13時も少し過ぎていたので、「時間を少々早めに言い過ぎてしまったかな?」と思いながら、事務所に着いたら、もう総務の社員が書類を持って待機していました。入社時には1時間もかかった手続きも、退職時にはわずか5分で済みました。事務手続きが全て終わった後で、最後にやっと一言「お疲れさまでした」。どこまで事務的で慇懃無礼(いんぎんぶれい=言い方は丁寧だが言っている事は傲慢)なのか。従業員教育のシステムも、一応形は整っているように見えながら、中身には全然魂がこもっていない。労働者を単に「使い捨ての駒」としか見なしていないから。その慇懃無礼ぶりたるや、安保法案や共謀罪法案の強行採決を繰り返しながら、「丁寧な説明に心がけて来た」とうそぶく安倍晋三ともドッコイドッコイです。こんな会社、辞めて正解でした。