10万円給付金の支給が遅れている原因について書かれた「10万円支給なぜ遅い? 大阪・四條畷市長がnoteで解説」という記事を読みました。
記事によると、大都市部を中心に10万円給付金の支給が遅れているのは、①大都市は人口規模が大きいから支給に手間取っている、②郵送申請の基になる地方自治体の住基ネットと、オンライン申請の基になる国のマイナンバー制度が上手く連携していなかった、③オンライン申請の不備(暗証番号の忘却、入力ミス等)が多いから、だそうです。(上記の当該記事に掲載された図参照)
しかし、それなら①大都市だから支給に手間取るなら徴税も同じように手間取るはず、②少なくとも確定申告では郵送申告と電子申告(e-Tax等)の連携不具合なぞ起こっていない、③源泉徴収や確定申告では、この様なオンライン申請の不備はほとんどありません。勿論、10万円給付金の支給については、何分初めての事なので、いろいろ試行錯誤や混乱はあるでしょう。しかし、それだけでは、なぜ今のような数か月もの支給遅れがあちこちで起こっているのか、説明が付きません。
少なくとも、今の源泉徴収や確定申告のシステムには特に大きな不備はないのですから、還付金支給と同じ要領でやれば、10万円給付金も普通に給付できるはずです。別にマイナンバーカードに無理に紐付けしなくても、役所が住民から集めた住民税から10万円を同じ住民に還元すれば、その場で給付が完了するはずです。世帯単位の住基ネットに紐付けられた郵送申請のデータと、いちいち突き合わす必要もなかったはずです。
例えば、家庭内暴力が原因で夫とは別居中だが、現住所を知られたら困るので住民票を移せない配偶者についても、住民税還付の形にすれば、わざわざ郵送申請のデータと突き合わせしなくても、相手の銀行口座に短時日で直接振り込む事が出来たはずです。
住民税非課税世帯についても、どの世帯が非課税かは役所の方で把握しているはずですから、その世帯に別途給付すれば済んだはずです。いくら何でも、3月末に支給が決定した給付金が、6月になっても全体の約3%しか支給出来ていない(大阪市)なんて事態にはならなかったはずです。
実際、神戸市や札幌市では、当初はトラブル続出で10万円給付金の支給が滞ったものの、やがてトラブル続出のオンライン申請に早々と見切りを付け、窓口を郵送申請一本に絞った結果、処理の迅速化に結び付ける事ができたようです。神戸や札幌も、大阪より人口が少ないが大都市には違いありません。その神戸や札幌では8〜9割方給付が終わっているのに、なぜ大阪では3%余りしか支給が進んでいないのか?都市規模の違いだけでは説明が付きません。(下記の6月28日付朝日新聞記事参照)
そもそも、私のような行政のド素人ならともかく、行政経験豊富な市長や知事が、この種のトラブルを本当に予測出来なかったのでしょうか?私は薄々感づいていたのではないかと思っています。実際は、薄々感づいていたにも関わらず、規定方針には逆らえなかったというのが、本当の所ではないでしょうか?
特に大阪では、「維新の会」が行政を牛耳るようになってから、維新の息のかかった人物が、公募区長や教育長に任命されるようになってしまいました。その下で、学校現場での日の丸・君が代強制、刺青禁止、職員基本条例の制定などによって、「物も言えない職場風土」「イエスマンばかりの職場」が形成されて行きました。「しがらみのない改革」「特権打破」と言いながら、維新が実際にやった事は、自分たちがそれまでの自民党やオール与党に取って代わって、新たな「しがらみ」「特権」を獲得しただけでした。
「綱紀粛正」と言えば聞こえが良いですが、「地下鉄職員が勤務時間に喫煙しただけでも懲戒処分の対象になるのに、なぜ橋下大阪府知事(後には大阪市長にも就任)の公用車でのジム通いはOKなのか?」というような事が、当時から既に議論になっていました。そんな組織風土の中では、正論を言うよりも上司の言いなりになる腰巾着が幅をきかすようになります。
だから、「このまま行ったらまずい事になる」と薄々感づいていても、それを言い出せなかったのではないでしょうか?今の安倍政権も、森友・加計・「桜を見る会」等の身びいき横行で、安倍のお友達やイエスマンだけで政権を固めてしまっています。その結果、アベノマスクのような愚策が平然と行われるようになってしまいました。今の10万円給付金の支給遅れも、背景にはこれと同じ問題が潜んでいるのではないでしょうか。