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10万円給付も満足に出来ない大阪市に一体誰がした?

2020年07月04日 18時07分18秒 | 新型コロナ・アベノマスク
 
コロナ休業補償の為の、一刻も早く支給しなければならないはずの特別定額給付金(10万円給付金)の支給率が、大阪市では6月に入ってもまだわずか3%。他の支給が遅れている大都市と比べても、余りにも酷すぎます。その原因について、もう少し詳しく調べようと、今年度の大阪市の組織図から職員数を割り出してみたら、驚くべき事が分かりました。
 
特別定額給付金の事務を主に担っているのは、大阪市役所の中の市民局総務部です。大阪市の職員数は全体で約2万人余り。そのうち市民局が178人、うち総務部だけでは70人。その中で、定額給付金を担当しているのは、何とわずか11人に過ぎませんでした。
 
もう少し詳しく言うと、市民局の総務部長とは別に、定額給付金担当部長という肩書の人がいるのですが、この人はダイバーシティ推進室長も兼任しています。その下に、タスクフォース(作業チーム)みたいな形で定額給付金担当の職員が控えているのですが、専任担当はわずか3名で、残りの8名は全て他部署の兼任者です。
 
何故こんな事になるのか?3月末に安倍首相の鶴の一声で10万円給付金支給が決まったのを受けて、4月1日の人事異動で定額給付金担当を置いたものの、当初は業務の進め方も分からず、他部署から応援の形で、従来の自分の仕事をしながら定額給付金事務も行う人達を、とりあえず11名かき集めたというのが、事の真相ではないでしょうか。
 
実際、大阪市役所は、これまでの長年に渡る公務員リストラによって、慢性的な人員不足に陥っていました。その凄まじさは、例えば過去の市役所当局と労働組合(全労連系の大阪市労組)との労使交渉議事録の中の、「平成17年10月から平成28年4月の10年ほどの間に35%もの大幅な人員削減が行われてきました」「職員数を平成27年10月から平成31年10月までの間にさらに千人削減するとして、来年度も各所属において事務・技術職員数の1%の見直し(シーリング)を行う」(平成30年度交渉議事録)という記述からも伺われます。
 
そのような職員削減の流れの中で、苦肉の策として、兼任による人集めの対応が取られたのでしょう。ところが実際は、11名そこらで仕事が回るはずはないので、実務をコールセンター運営会社に丸投げし、コールセンターも人集めや申告会場設営に手間取り、トラブルの連続で大幅遅延に至ったのではないでしょうか?
 
ならば、不要不急の大阪都構想やIR(カジノ)誘致なぞ一時中止して、人員をコロナ対策や定額給付金支給に振り向けるべきではないでしょうか?今最も優先すべきなのは、大阪都構想でもIR誘致でもなく、コロナ対策であり困窮者の生活支援ではないでしょうか?まずは、大阪都構想推進の為に設けられた副首都推進局84名やIR推進局43名の職員を、今すぐにでも、遅れに遅れている定額給付金の支給業務やコロナ予防業務に振り向けるべきではないでしょうか。
 
思えば、大阪では2008年の府知事選挙で橋下徹氏が当選して以来、ずっと橋下氏率いる「維新の会」が、それまでの自民党に代わって大阪府・市政を牛耳って来ました。その維新行政の下で、大掛かりな公務員のリストラが進められて来ました。「公務員のリストラ」というと、天下り規制などを思い浮かべ、喝采を送る人も多いのではないかと思われます。実際、そんな人たちが今まで「維新の会」を支持して来ました。ところが、「維新の会」が実際に行った事は、天下り規制なんかではなく、病院や高校、保育所の統廃合や民営化でした。
 
例えば、「住吉区では市民病院と府立病院の2つも病院は要らない」と、市立病院の府立病院(現・急性期医療センター)への統合が強行されました。しかし、府立病院は大手術が必要な患者、医師の紹介状のある患者しか診ないので、一般患者はバカ高い民間病院で診てもらわなければならなくなりました。
 
そこに今のコロナ感染症拡大で、医療崩壊が一気に進みました。医療従事者にマスクや防護服も供給出来なくなり、市販の雨合羽で対応しなければならなくなりました。市長や知事が音頭を取って雨合羽集めに奔走した事で、これがあたかも美談であるかの様に報じられましたが、これも元はと言えば、大阪市長の吉村洋文氏や大阪府知事の松井一郎氏が、医療費削減の為に病院の統廃合を進めたのが原因です。今の大阪市における10万円給付金支給の異常な遅れも、この様な長年に渡る公務員リストラが背景にあるのではないでしょうか?
 
 
その行き着く先が大阪都構想です。昨年末に発表された同構想の区割り案では、大阪市は数年後には消滅し、淀川・北・中央・天王寺の4つの特別区に再編成される事になります(上図参照)。但し4特別区がそのまま大阪都になる訳ではありません。大阪都にするには新たに法律を制定しなければなりません。今のままでは、大阪府が大阪市に代わって行政を行うだけです。
 
この区割り案では、今の西成・住吉・住之江・大正などの区は、全て新たに設けられる特別区の中央区に統合される事になります。この「中央区」は、今の大阪市の中央区とは全く別物です。但し、行政費の節約の為に、今の中央区役所が新たな特別区の区役所として使われます。つまり、西成・住吉・住之江・大正などの区の住民は、住民票を取りに行くにも、わざわざ今の中央区役所まで出向かなければならなくなるのです。当面は今の区役所が特別区の出張所になるので、そこで住民票ぐらいなら発行してもらえるでしょう。しかし、今までの公務員リストラの流れからすると、これらの出張所も早晩、統廃合される事になります。
 
しかも、介護保険や水道事業など、今まで大阪市が担って来た仕事は、特別区では出来ないので、新たに一部事務組合を設けて行う事になります。これでは、大阪府と特別区の他に一部事務組合も置かなければならず、「二重行政の解消」どころか「三重行政」になってしまいます。
 
特別区には、まともな財源も権限もありません。介護事業や水道事業もまともに行えないのだから当然です。介護保険料や水道料金も大阪府の一存で決められる事になります。今まで「維新の会」は、「特別区になれば区長を選挙で選べ、区議会も置ける様になる」と宣伝して来ましたが、いくら区長や区議会を形だけ設置しても、権限も財源も無ければ何も無いのと同じです。実際、東京でもそうでしょう。東京でも「東京特別区」というのは名前だけで、実際は東京都知事が世田谷区の行政も行い、世田谷区の区長や区議会はそれを補完するだけでしょう。
 
大阪市がまだ残っている今でも、10万円給付もまともに行えないのです。この秋の住民投票で大阪市廃止が決定されてしまったら、もっと酷い事が他にも一杯起こるようになるでしょう。いくら自民党から「維新の会」に府知事や市長が変わっても、やってる事が自民党と同じでは何もなりません。税金を取る時は1円も残さず有無を言わずに徴収するのに、政府の決めた10万円の給付すらままならない大阪に、一体誰がしたのか?その責任を、今こそ明らかにし、その責任を取らさなければなりません。
コメント (1)
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