国や自治体からの外出自粛、ステイホーム週間設定の要請に応え、大阪でも地下鉄・バスダイヤの削減が始まりました。2週間前から、土・日・祝日については、通常の土・日ダイヤよりも更に2割削減されたダイヤで運行されるようになりました。
しかし、このダイヤ削減については、「全体で約2割削減する」という概略しか説明されず、「どこそこの区間では何時何分と何時何分が削減される」という具体的な内容までは、事前に知らされませんでした。削減ダイヤの時刻表も、当日になってからしか駅に貼り出されませんでした。
その為、4月18日(土)当日になってから、いきなりダイヤ本数が削減され、駅で長い間待たされる事になりました。駅で待たされた挙句に、遅刻スレスレで、更衣室で制服に着替えたら、コーヒーも飲めずにタイムカードの所に走って行き、ギリチョンで打刻する羽目になりました。
しかも、後で調べたら、必ずしもダイヤが均等に削減された訳ではない事が分かりました。削減された線区は御堂筋線・ニュートラム・今里筋線に集中し、堺筋線や谷町線は削減ゼロか、ほとんど削減されていない事が分かりました。2割削減すると言うからには、どの線区も2割削減しない事には、コロナ感染を抑える事は出来ないのに。
堺筋線や谷町線が、御堂筋線やニュートラムより安全だとする根拠は何もありません。ウイルスは感染の対象線区を選びません。確かに、堺筋線のダイヤを削減しようとすれば、相互乗り入れしている阪急電鉄との調整も必要です。相互乗り入れのない線区の削減よりも、更に削減には苦労が求められます。でも、そんな理屈は人間の勝手な都合に過ぎません。ウイルスにとっては、相互乗り入れもクソも関係ありません。
しかし、人間はそういう訳には参りません。最近は、土・日と言えども、必ずしも休める人ばかりではありません。労働基準法では、週休2日で労働時間を週40時間以内に抑えさえすれば、それで良いのですから。週2日とも平日休みで、土・日曜は通常通り出勤しなければならない労働者も大勢います。
しかも、ニュートラムなぞは午前5時・6時台の早朝ダイヤを削減してしまっています。ニュートラムの沿線には工場や配送センターも多く、そこに通う現業労働者は早朝から勤務する人も大勢いるのに。今はもう土・日曜でも、朝早くから出勤している労働者は大勢います。それらの方たちの出勤は、決して不要不急の外出ではありません。むしろ、敢えて感染のリスクを負ってまで、ライフライン維持のために、わざわざ出勤してくれる人たちなのです。その人たちに、いくら何でも、この仕打ちは無いんじゃないでしょうか?
むしろ削減するなら、土・日・祝日は必ず休める官庁が沿線に多く立地する、谷町線のダイヤこそ優先的に削減しなければならないはずです。
今、大阪メトロの地下鉄車内には、「私たちはOsaka Metro Groupです」と銘打って、社員の働きぶりを実名入りで紹介する職員募集用(?)の漫画ポスターがあちこちに掲示されています。その内容は、駅員が視聴覚障害者に車内の座席を確保してあげた実話や、手話学習グループの活動を取り上げたり、保線作業員の熟練技を紹介する内容であったり、もう様々です。
その漫画に描かれているのは、あくまでも下積みの労働者です。車掌であったり運転士であったり、もう様々です。それらの漫画の登場人物が、自分たちのできる範囲で社会貢献に精を出す。障害者の乗車介護であったり、手話の普及だったり。自分たちとさほど変わらない現場の労働者が、単に大阪メトロの金儲けだけでなく、乗客の身になって親身に世話をする。そんなポスターなので、結構気に入っている乗客も決して少なくないのではないかと思います。(実は私もその一人です。(*´∀`*)
しかし、折角そんな「麗しい」漫画ポスターを貼り出しても、現場の労働者を通勤苦に追いやるような事をしていたのでは、「看板に偽りあり」と言われても仕方ないと思います。土・日ダイヤの削減も2週目に入り、削減ダイヤの偏りも次第に是正されては来たようですが、それでもまだまだ路線に偏りがあります。
そもそも、本気で出勤を8割減らそうとするなら、テレワークや時差出勤も可能な形に業務を見直すのが先です。それを後回しにしたまま、いたずらにダイヤだけ削減しても、車両1台当たりの乗車密度は逆に高まり、「3密」が更に酷くなるだけです。そんな事が何故分からないのでしょうか?
4月18・19日の御堂筋線(左)・ニュートラム(右)上りダイヤ。早朝から午前中にかけてダイヤ削減されている(斜線が削減されたダイヤ)。
4月18日・19日の堺筋線(左)・谷町線上りダイヤ。どちらもほとんど削減されていない。
4月25日以降の御堂筋線(左)・ニュートラム(右)上りダイヤ。黄色が削減されて消えたダイヤ。
4月25日以降の堺筋線(左)・谷町線(右)上りダイヤ。1週前よりは削減数が増え、他線区との差はなくなりつつある。しかし、それでも堺筋線のダイヤは、他線区と比べ削減数が少ない(黄色が削減されたダイヤで、緑色は相互乗り入れの準急電車)。