・作業員3人被ばく、2人搬送=建屋地下で放射線やけど-復旧作業中・福島第1原発(時事通信)
東京電力は24日、東日本大震災で被災した福島第1原発の3号機タービン建屋内で、作業員3人が170~180ミリシーベルトの放射線を浴びたと発表した。累積被ばく量は、特例として認められた250ミリシーベルト未満だが、一度に多量の放射線を浴びており、うち2人が放射線によるやけど「ベータ線熱傷」の可能性を否定できないとして福島県立医大病院に搬送された。手当ての後、25日朝にも千葉市の放射線医学総合研究所に移る。
経済産業省原子力安全・保安院や東電によると、被ばくしたのはいずれも協力会社の男性社員で、30代2人に20代1人。3人は24日午前10時半ごろから仮設電源のケーブル敷設のため、原子炉建屋に隣接するタービン建屋地下1階の現場に入り、放射性物質が含まれるとみられる水たまりに足を踏み入れて作業した。
作業を終え、午後0時10分ごろに個人線量計の数値を確認するとそれぞれ180.07、179.37、173.00ミリシーベルトを示していたことが判明。3人は体調は良好だが、うち被ばく量の多い30代と20代の計2人が搬送された。
水たまりは深さ約15センチ。3人はフィルター付マスクを着け、上下つなぎの作業服に上着、ヘルメットにゴム手袋をしていたが、病院に運ばれた2人は長靴を履いておらず、くるぶしまで水に漬かった。3人の線量計は20ミリシーベルトでアラームが鳴るが、実際に鳴ったかは不明という。
被ばく後に東電が現場を調べたところ、水たまりの表面は毎時約400ミリシーベルト、空間線量は同約200ミリシーベルトだった。実際に水に漬かって作業したのは、40~50分間とみられる。(以上転載)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc&k=2011032400673
上記記事については、本当はもっと早くブログで取り上げたかったのですが、その時にはまだ「ベータ線熱傷」や許容被ばく線量の知識がなくて、取り上げる事が出来ませんでした。その為もあって、「急がば回れ」で放射能関連の予備知識を仕入れていました。
その為に記事の更新が遅くなってしまいましたが、お陰さまで、この記事の問題点を見抜く事が出来るようになりました。
この記事の最大の問題点は、事故を「ベータ線熱傷」という放射能やけどの問題のみに矮小化している事です。事故原因を暗に「長靴を履かなかった従業員の不注意」に求め、汚染水に漬かった二人の従業員のみ病院搬送され、残りの一人はそのまま放置された事について一切不問に付しているのも、全てはその矮小化によるものです。
しかし、核分裂によって原子核から放出されるのは、何もベータ線だけではありません。アルファ線やガンマ線、中性子線などの他の放射線も、一杯放出されます。そのなかで、たまたま最初に現れた障害が「ベータ線熱傷」だったので、それだけがクローズアップされてしまったのです。寧ろ、後に現れるであろうアルファ線やガンマ線などによる放射能の影響のほうが、より重篤な症状を呼び起こす可能性が高いにも関わらず。
しかも、この3号機については、問題はそれだけに止まりません。この3号機では、ウランにプルトニウムを混ぜたMOX燃料が使われていましたが、プルトニウムの毒性はウランをも遥かに上回ります。何せ放射能量が半減するのに2万4千年も要するような、そんな「死の灰」を燃料に使っていたのですから。
そんな環境下で事故が起こり、「水たまりの表面は毎時約400ミリシーベルト、空間線量は同約200ミリシーベルト」と、やけどなどの外部被曝だけでなく、大気吸引による内部被曝で白血病発症の可能性も充分考えられるのに、記事からはその視点がすっぽり抜け落ちてしまっています。
後に判明した事実によれば、現場には放射線管理者などの資格を持った責任者も配置されずに、完全に下請け業者任せだったというではありませんか。如何に放射線管理区域外のタービン建屋といえども、原発構内には変わりありません。しかも、福島第一原発では、この間の水素爆発や注水作業によって、放射能の拡散がもはや避けられない状況に陥っているというのに、これでは東電は、従業員の安全配慮義務を蔑ろにしていると言われても当然でしょう。
この東電の姿勢は、何も今に始まったものではありません。この東電に限らず、原発企業そのものが、自らは決して手を汚さず、汚れ仕事は全て下請け業者(その中には寄せ場の手配師や暴力団関係者も含まれる)に押し付け、「原発ジプシー」と呼ばれる下請けの従業員の犠牲の上によって、初めて成り立つダークな存在なのです。
原発企業にとっては、下請け作業員なんて、所詮は使い捨てにしか過ぎません。山谷や釜ヶ崎、寿町・笹島といった全国各地の寄せ場から、身寄りのない労働者を集めてきて、原子炉内での除染・検査・部品交換などの業務に従事させるのです。表向きは、防護服に身を固めさせて、如何にも労働者の健康にも留意しているように見せかけながら。
しかし、何故そんな身寄りのない人間を好んで雇うのか。それは、労働者が放射能障害によって使い物にならなくなっても、ろくに補償もせずに闇から闇に葬れるからです。防護服にも放射能防護機能は殆どありません。防護服を着せるのは、作業時に付着した放射性の塵や埃を外部に出させない為です。
確かに、防護服着用中の暑苦しさ息苦しさを除けば、原発労働の作業自体は比較的楽です。力仕事は殆ど無く、30分交代で休憩に入るような作業ですから。実際には、5分も作業すればアラームメーターが鳴って作業を中断しなければいけない程の、高濃度の放射能汚染に晒されながら、それでは仕事にならないから無理やり30分交代にしているような、そんな危険作業に従事させられているのに、そんな事はおくびにも出さずに。
今回の福島原発事故で、自衛隊員や消防団員による救援・復旧活動が華々しく伝えられています。しかし、その陰で、下請け作業員が、今まで何千人と原発で被曝し、白血病やガンで亡くなった事については、一切報じられる事はありません。原発大企業はマスコミの大口スポンサーですから。彼らは厳重に口止めされた上で、身よりもなく、ひっそりと亡くなって行きます。
これが原発の実態です。彼ら下請け作業員は決して英雄なんかではありません。昨年8月に、会社の保安対策手抜きによって落盤で閉じ込められた、南米チリの33人の鉱夫たちと同じ、陋劣なる階級政策の犠牲者に他なりません。今必要な事は、彼らを英雄として崇め奉る事ではありません。再び同じ様な犠牲者を出さないよう、これまでの原発政策の転換を政府・企業に要求する事です。それが福島の被災住民に真に応える道でもあります。
東京電力は24日、東日本大震災で被災した福島第1原発の3号機タービン建屋内で、作業員3人が170~180ミリシーベルトの放射線を浴びたと発表した。累積被ばく量は、特例として認められた250ミリシーベルト未満だが、一度に多量の放射線を浴びており、うち2人が放射線によるやけど「ベータ線熱傷」の可能性を否定できないとして福島県立医大病院に搬送された。手当ての後、25日朝にも千葉市の放射線医学総合研究所に移る。
経済産業省原子力安全・保安院や東電によると、被ばくしたのはいずれも協力会社の男性社員で、30代2人に20代1人。3人は24日午前10時半ごろから仮設電源のケーブル敷設のため、原子炉建屋に隣接するタービン建屋地下1階の現場に入り、放射性物質が含まれるとみられる水たまりに足を踏み入れて作業した。
作業を終え、午後0時10分ごろに個人線量計の数値を確認するとそれぞれ180.07、179.37、173.00ミリシーベルトを示していたことが判明。3人は体調は良好だが、うち被ばく量の多い30代と20代の計2人が搬送された。
水たまりは深さ約15センチ。3人はフィルター付マスクを着け、上下つなぎの作業服に上着、ヘルメットにゴム手袋をしていたが、病院に運ばれた2人は長靴を履いておらず、くるぶしまで水に漬かった。3人の線量計は20ミリシーベルトでアラームが鳴るが、実際に鳴ったかは不明という。
被ばく後に東電が現場を調べたところ、水たまりの表面は毎時約400ミリシーベルト、空間線量は同約200ミリシーベルトだった。実際に水に漬かって作業したのは、40~50分間とみられる。(以上転載)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc&k=2011032400673
上記記事については、本当はもっと早くブログで取り上げたかったのですが、その時にはまだ「ベータ線熱傷」や許容被ばく線量の知識がなくて、取り上げる事が出来ませんでした。その為もあって、「急がば回れ」で放射能関連の予備知識を仕入れていました。
その為に記事の更新が遅くなってしまいましたが、お陰さまで、この記事の問題点を見抜く事が出来るようになりました。
この記事の最大の問題点は、事故を「ベータ線熱傷」という放射能やけどの問題のみに矮小化している事です。事故原因を暗に「長靴を履かなかった従業員の不注意」に求め、汚染水に漬かった二人の従業員のみ病院搬送され、残りの一人はそのまま放置された事について一切不問に付しているのも、全てはその矮小化によるものです。
しかし、核分裂によって原子核から放出されるのは、何もベータ線だけではありません。アルファ線やガンマ線、中性子線などの他の放射線も、一杯放出されます。そのなかで、たまたま最初に現れた障害が「ベータ線熱傷」だったので、それだけがクローズアップされてしまったのです。寧ろ、後に現れるであろうアルファ線やガンマ線などによる放射能の影響のほうが、より重篤な症状を呼び起こす可能性が高いにも関わらず。
しかも、この3号機については、問題はそれだけに止まりません。この3号機では、ウランにプルトニウムを混ぜたMOX燃料が使われていましたが、プルトニウムの毒性はウランをも遥かに上回ります。何せ放射能量が半減するのに2万4千年も要するような、そんな「死の灰」を燃料に使っていたのですから。
そんな環境下で事故が起こり、「水たまりの表面は毎時約400ミリシーベルト、空間線量は同約200ミリシーベルト」と、やけどなどの外部被曝だけでなく、大気吸引による内部被曝で白血病発症の可能性も充分考えられるのに、記事からはその視点がすっぽり抜け落ちてしまっています。
後に判明した事実によれば、現場には放射線管理者などの資格を持った責任者も配置されずに、完全に下請け業者任せだったというではありませんか。如何に放射線管理区域外のタービン建屋といえども、原発構内には変わりありません。しかも、福島第一原発では、この間の水素爆発や注水作業によって、放射能の拡散がもはや避けられない状況に陥っているというのに、これでは東電は、従業員の安全配慮義務を蔑ろにしていると言われても当然でしょう。
この東電の姿勢は、何も今に始まったものではありません。この東電に限らず、原発企業そのものが、自らは決して手を汚さず、汚れ仕事は全て下請け業者(その中には寄せ場の手配師や暴力団関係者も含まれる)に押し付け、「原発ジプシー」と呼ばれる下請けの従業員の犠牲の上によって、初めて成り立つダークな存在なのです。
原発企業にとっては、下請け作業員なんて、所詮は使い捨てにしか過ぎません。山谷や釜ヶ崎、寿町・笹島といった全国各地の寄せ場から、身寄りのない労働者を集めてきて、原子炉内での除染・検査・部品交換などの業務に従事させるのです。表向きは、防護服に身を固めさせて、如何にも労働者の健康にも留意しているように見せかけながら。
しかし、何故そんな身寄りのない人間を好んで雇うのか。それは、労働者が放射能障害によって使い物にならなくなっても、ろくに補償もせずに闇から闇に葬れるからです。防護服にも放射能防護機能は殆どありません。防護服を着せるのは、作業時に付着した放射性の塵や埃を外部に出させない為です。
確かに、防護服着用中の暑苦しさ息苦しさを除けば、原発労働の作業自体は比較的楽です。力仕事は殆ど無く、30分交代で休憩に入るような作業ですから。実際には、5分も作業すればアラームメーターが鳴って作業を中断しなければいけない程の、高濃度の放射能汚染に晒されながら、それでは仕事にならないから無理やり30分交代にしているような、そんな危険作業に従事させられているのに、そんな事はおくびにも出さずに。
今回の福島原発事故で、自衛隊員や消防団員による救援・復旧活動が華々しく伝えられています。しかし、その陰で、下請け作業員が、今まで何千人と原発で被曝し、白血病やガンで亡くなった事については、一切報じられる事はありません。原発大企業はマスコミの大口スポンサーですから。彼らは厳重に口止めされた上で、身よりもなく、ひっそりと亡くなって行きます。
これが原発の実態です。彼ら下請け作業員は決して英雄なんかではありません。昨年8月に、会社の保安対策手抜きによって落盤で閉じ込められた、南米チリの33人の鉱夫たちと同じ、陋劣なる階級政策の犠牲者に他なりません。今必要な事は、彼らを英雄として崇め奉る事ではありません。再び同じ様な犠牲者を出さないよう、これまでの原発政策の転換を政府・企業に要求する事です。それが福島の被災住民に真に応える道でもあります。