アベノミクスの時も景気回復感ないと感じる人が多かったのは確かなのに、そんな声は一部だ、景気は回復していると、政府の太鼓持ちみたいな事まで言わなければ公平ではないとされるなら、それはもはや報道番組ではなく唯の政府広報だ。その声に文句があるなら別の番組でそれを主張すれば良いだけだろう。
アベノミクスでも実質賃金は伸びなかった。景気回復の実感なんて無かった。でも総雇用者所得は増えたと政府は言う。幾ら総雇用者所得が増えても低賃金の非正規雇用ばかりでは意味がないのに。どちらに目線を置くかによって評価は変わる。それを両論併記で誤魔化そうとするのが政府の言う政治的公平だ。
従来、複数の番組で放送内容の中立性を評価していたのが、一つの番組だけでも評価(=狙い撃ち)出来るように放送法の解釈が変更された。それを主導したのが安倍総理の補佐官だった礒崎陽輔(いそざき・ようすけ)だ。安倍政権に批判的な報道番組を黙らせようと、功名心に駆られた礒崎が、総務省に圧力を加え解釈変更させた事が明るみに出た。
放送法の解釈変更を主導する礒崎に対し、最初はマスコミとの軋轢を懸念していた他の官僚や大臣も、これを機にマスコミを黙らせる事が出来るならと、礒崎に加担していく経緯が、今回の情報公開で明るみに。その中で当時総務相だった高市早苗の電波停止発言や、後の森友・加計問題に繋がる動きが白日の下に晒された。
日本も一応は民主国家なので独裁国家の様なあからさまな言論弾圧は出来ない。そこで報道番組に政治的中立を求める通達が乱発される事に。政府を批判しても良いが必ず政府側の主張も盛り込まなければならないと。その為、当たり障りのない番組や政治的無関心を助長するバラエティ番組ばかり横行する事に。
政府による言論弾圧に呼応して、報道機関は政府批判を自粛する様になってしまった。批判しても当たり障りのない範囲で。政府側の反論も必ず明記して。逆に野党や市民運動の粗探しばかりやり、政府には「ダラシない、もっとしっかりしろ」と、批判とも擁護とも取れる報道に終始する御用番組も横行。
その結果、選挙の投票率は年々低下。労働組合も政府に迎合し経営者の言いなりになる御用組合が幅を利かす事に。お陰で日本は30年間も賃上げがなく、先進国一低い最低賃金、報道の自由ランキング71位の三流国家に。しかし新聞には韓国・中国叩きの記事ばかり。テレビも「日本スゴイ!」の翼賛番組ばかり。
その行き着く先がどうなるか?大阪を見れば分かる。大阪で自民党に相当するのが維新だ。関西マスコミは維新ヨイショの報道しかしない。産経・読売だけでなく朝日・毎日も。だから、コロナの死者数が全国一で、保健所職員数が全国最下位でも、吉村知事や松井市長の人気は絶大。選挙でも維新の一人勝ち。
逆に言えば大阪の維新に相当するのが全国では自民党だ。どちらも改憲や防衛費増額に賛成で、労働規制緩和や福祉削減にも大賛成。維新も元は自民党だから当然だが。カジノについても、自民党の地元市議は反対だが執行部は賛成に傾いている。ここで高市早苗も岸田も辞めさせなければ本当に大変な事になる。
今日(3月12日)のサンデーモーニングも、礒崎から偏向番組と名指しまでされたのに、10分程サラッと流した後は、次の宇宙ロケット発射失敗のニュースに早々と移ってしまった。名指しされた事も言いながら、民主主義の根幹に関わる事件なのに、「一応触れときました」で終わってしまった。報道自粛ここに極まり。
礒崎や高市早苗と総務省役人との細かなやり取りについては既に総務省ホームページで公開されている。捏造との噂もあるが、これだけ膨大な量の文書をそんな事の為に役人がわざわざ作るか?この物価高、低賃金、低福祉の中、国民が歯を食いしばって生きる中で、己の功名心の為だけに、検閲に走る安倍・岸田の犬の醜い姿を見よ。
例の文書が捏造だと言われているが、そんな事しても役人は何の得にもならない。次官クラスが大臣の椅子を狙って追い落としにかかったとしても、膨大な文書をわざわざ用意しなければならない、あんなまどろっこい事しない。仮に捏造だったとしても、そこまで恨まれる様な大臣ならもうその時点でアウトだ。
文書を不正確と断じる意味も分からない。文書のほとんどは議事録だ。会議の日時、出席者、議事内容が細かく書かれている。公文書なら尚更。但し部下の事務官が伝えた上司の伝言が又聞きだったり電話を受けた時間が不正確なのは仕方ないだろう。そんな事で粗探しするより関係者を証人喚問すれば済む話だ。
元々、放送法は国家権力の暴走を抑える為のもの。表現の自由を守る(法1〜3条)為には政治的中立であらねばならない(同4条)。だから国により厳しく、報道機関にはあくまで倫理規定(公衆道徳)として運用して貰うと。それを安倍や高市は、1〜3条はろくに守らず、4条だけを言論統制の口実にして来た。(下記の条文参照)
だから、1時間の放送枠の中で野党の主張を30分取り上げたら、残りの30分は与党の主張を取り上げなくてはならなくなった。それではどちらの主張も上辺をなぞるだけになってしまう。そうではなく、野党の主張を取り上げる1時間番組も、与党のそれも、自由に編集出来てこそ、初めて民主国家と言えるのだ。
昔は自民党でも、それ位の常識はわきまえていた。法治国家の常識として。ところが最近は、その程度の常識すらわきまえない輩が増殖。憲法の規定も無視して、安保法制や先制攻撃をゴリ押ししながら、国民にだけ放送法4条を盾に言論統制、検閲の露払い。そんな政治家は今すぐ辞めさせなければならない。